「岩田さん」
「岩田さん」岩田聡
任天堂の前社長、岩田聡氏の言行集です。
ガンの闘病生活の末に亡くなった氏ですが、宮本茂ら同僚は、いまでもふらりとドアを開けて入ってきそうな気がすると懐古します。
僕は岩田さんが任天堂HPで連載していた
「社長が訊く」を大学生の頃書き写すほど読んでいました。社長に、ではなく社長が、聞くのです。聞いて聴いて訊きまくって、そして限界を迎えてオワコンと思われていた任天堂イズムを先に進めた氏の経営者像は、僕の理想像です。毒を正面から吸い込みすぎてそれが夭折の原因となった節も無くはないけれど、ワクワクして、まるで天使のようでした。
“全体をどうにかしたかったらボトルネックを直さねばならない。本質的に解決せずにそつなくやるアピールしても意味がない。アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである。”
“やった方がいいことの方が実際にやれることより絶対多い。全部やるとみんな倒れる。最低限やるべきことをなるべく小さくするのがリーダー。”
“別の価値観を持っている人たちに「敬意を持てるかどうか」が大事。それが仕事をおもしろくする。“
”「正しいこと」を言う人は後ろめたいことがないから何故相手がメッセージを受け取らないのかという気持ちがない。コミュニケーションには理解と共感と上手な妥協が必要。“
岩田さんの言葉は優しさと力強さに溢れている。僕は今まで結構な量のビジネス書を読んできた方だと思うけれど、読み終わって、
癒された
と感じたのはこれが初めてでした。
かなり辛い時期に読んで、頑張ろうと思った一冊です。
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