うたかたの場面 1

 1
「何もないはずの空中に花が咲いているのが見えないというの?」
「いや夢か魔法だよ。現実じゃなく誰かが仕掛けた魔法なんだ」
「魔法ですって、目の前の現実を認めたくないのね」
「夢だって魔法だって有り得ることじゃないか、事実にだってなり得るさ」
 2
「世の中への不平不満は社会にたいする無知だってことよ」
「君は不公平だと思わないのか、同じ人間のはずなのにこの生活の違い」
「自然の地形と同じことよ、これが環境なの」
「自然環境ならばみんなの力で住みよく変えることができるはずだ」
 3
「絵とか詩は乱暴に言えばだれでも描けるものよ。だから難しいの」
「誰でも描けるのにどうして難しいんだい、簡単なはずじゃないか」
「他者の心を動かすのにって、訂正するわね」
「つまり独自の作品を上手く描くことが困難だってことかな」

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