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まっせ末世とはこれいかに。ワタクシも行きまっせ

徳島新聞デジタル版に、昨年(2022年9月)に四国放送を定年退職されたアナウンサー保岡栄二さんのインタビューが掲載されていました。以前、四国放送ラジオの番組「ラジオ大福」にお伺いした際、お話をさせていただいた縁もあり、同年代ということもあって親近感をもって活動に注目していました。保岡さんは現在、フリーアナウンサーとして東京を拠点にされ活躍されているとの由。何だか嬉しくなりました。

***都会の人すげー

記事の中で興味をひいたのが、「都会の人の学ぶ意識の高さ」や「取り残されてしまう感覚」という言葉でした。それは、東京や大阪のような大都市になると人口も多く、人々の個性も存在する価値観もさまざまで、探求心や向上心を持って何かを学び、自らがアクションを起こして経験値を高めない限り、どのジャンルにおいても時代の流れやトレンドに取り残されてしまうそうです。非常に厳しい環境です。

それに反して地方都市に目を向けてみると、何だか時間が止まっているようで、横並びで前例主義に支配され、競争心に欠けているような。それでは、新しい価値観やブランドは生まれやしない。ましてや、そんな環境に若者達が満足するはずもなく、結果として若者の大都市への移行という地元離れが進んでしまっているような気がします。それはまた卑下するばかりのことではない、とも考えておりますが。

***三津寺というお寺

先日、大阪で打ち合わせがあり、難波のホテルに宿泊しました。そのホテルは七宝山大福院三津寺がホテルグループとタッグを組んだ「カンデオホテルズ大阪心斎橋」というニュータイプのホテルであった。1階から3階までが本堂をはじめとする寺院、4階から15階までがホテルとして使用されています。

三津寺は西暦744年に創建された永い歴史と由緒あるお寺であり、十一面観音さんを本尊さんとし、「大阪ミナミの観音さん」として親しまれています。そんな立派な寺院さんがなぜホテルチェーンとコラボレーションをしたのでしょうか。三津寺さんは、本堂や庫裏等が老朽化し、その改築のための資金繰りにおいてご苦労をされていたようです。その時にホテルとのコラボ
の話が持ち上がり、これからの新しい時代のお寺の維持・管理のモデルとして決定されたといいます。

宗教施設を維持・管理するためには資金が必ず必要となります。令和の時代、どのような寺院経営が望ましいかは、非常にシビアな課題となっています。ホテルとのコンビネーションには賛否両論はあると思いますが、ボクは一つの決断として、一つの回答として凄く興味があるし、凄く頼もしくも思えます。

***現福寺ではちょっとね

それは都会の寺院であるからということではなく、地方寺院においても全く同様であり、これから徳島で活動する住職さんも、寺院維持に関する方法を、前例にこだわることなく突き進んでいかなければならない状況にあることは間違いないことです。ホテルとコラボするというアイディアは、わが現福寺にとっては夢のまた夢、非現実な解決策ですが、それに匹敵する何かを考えないと社会からの退場しなければならない、切羽詰まった状況が来つつあります。

巷では「パーパス」という言葉をよく耳にします。「パーパス」とは、目的や意図を意味し、企業経営の理念などの用語として使われています。企業経営には、経営の持続性が求められ、その基本として「志」、要するに「社会貢献」というコンセプトや使命に根ざしているようです。これは企業経営に留まらず、どのようなジャンルにおいても同じです。お寺とて同じことで、人々をどのようにして笑顔にするか、人々をどのようにして幸せにするかという志が根本にあるわけで、その理念がない限り経営は持続しません。させてはいけません。

***地方でもやらねば

地方に残っていればもっと楽な道があっただろうに、保岡さんは定年退職をされた後にも、フリーアナウンサーになられ、自分の夢や志を忘れず、東京という大海に歩みを進め、多くの人々を笑顔するために、また新たに学び道を切り開き新しいアクションを起こしています。

還暦を越えて、地方都市・徳島にて住職をしているボクも前例や慣例にとらわれることなく、新しいパラダイムを求めて、よりポジティブに時代や社会と関わっていかなければならない。保岡さんや三津寺さんを参考にさせてもらって、自分らしくやっていきたい。愚僧チョークー、また心新たにしているのであります。


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