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胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ♯3

ーー夢でもなく現でもない
虚ろなsunshine day
陽だまりの影で泣く
アナタは話題性ーー


3.paradise


男は淡々と準備をする。
格好は至極動きやすい服装。
ランニングスタイル。
両手には指が自由に動かせるグローブ。拳へのダメージが多少でも和らぐ様にするためだ。
ボクシンググローブではドアも開けやしない。
余計なものは持たない。
財布、携帯、家の鍵。
邪魔なものは全て置いていく。
11月1日、23時30分。

ーー行くか。

気負いも何も無かった。
冷静でそれでいて昂っていた。
スポーツ選手の試合前のソレにも似たベストなコンディション。
後は舞うだけだった。

『高垣邸』に差し掛かる。
ランニングで身体は温まっている。
相変わらずの下品な屋敷に門番がふたり。しっかりガタイのいい奴等を置いている。

走る足を止め、ゆっくりと歩いて門番へと向かった。
『なんだお前』
お決まりのような文句と共に門番は悟へと寄ってくる。
ボクシングのフットワークで瞬時に間合いを詰める悟。
あまりのスピードに、門番の男は上半身のガードに入ってしまう。
門番は格闘技を心得ていたのか、定かではないがボクシングのフットワークと判断しての拳での打撃を警戒したが。
悟は身を屈めての門番の右膝へ垂直に蹴りを打ち込む。
反対側には曲がってくれない膝は手酷い関節技を喰らったかのように鈍い音を立てる。
痛みで門番が声を出そうとした刹那、崩れた体勢へ向けて脳を揺らす顎への打撃。
門番の頭の中はぐるんと一周して、気を失った。

ーーまずひとり。

片割れの門番は冷静だった。
じっと悟を見つめている。
『やるねぇ……』
片割れは構えを取る。
総合格闘家のような構え。
悟は身構えることも無く、片割れの元へと歩んでいく。
歩くペースを急に変えて、片割れの懐に潜ろうとする悟!
悟の目の前には片割れの膝!
読まれていた動きに対する膝蹴り。
すんでのところでガード!指が自由になるグローブのお陰で掌で受けられたが、威力があり少し身体が浮いた。
体勢が崩れたのを見逃さない片割れの追撃。容赦ない右回し蹴り!悟の首、目掛けて飛んでくる片割れの足。
消える悟。大きく放った右脚は空を切る。放った勢いが大きいが故に門番は自分が一回転する失態。
悟はダッキングによる回避からのショートレンジで放つ鳩尾へのボディブロー!
声にならない声の片割れ。
息が出来ない程の衝撃。足が崩れ地に伏せる以外の術がなかった。
『ぐ……ぁ……』
土下座の片割れの髪の毛を掴み、問う悟。
「門、開いてる?」
片割れは苦しさのあまり涙目で頷くしかできなかった。
悟は笑みを浮かべ『おやすみ』と片割れの意識を刈り取った。
人が通る前に門番を片付けた悟はふたりを引きずり、門の内側へ。
倒れてる門番を見つけられて通報されたら舞うことが出来なくなる。

ーーしまったな。柔術も見ておくべきだったな。

呑気な心配をしながら、屋敷の内部へと向かう悟。

悟の誕生日が終わるのと、ほぼ同時だった。





戦う描写って難しいですよね……。
昔のわたしはコレ描きたかったはずなんですよ……確か(笑)

あー難しい。
この辺までなんとなくの記憶でやってましたけど……も。
完結までいけるのかが心配です。

サポートなんてしていただいた日には 小躍り𝑫𝒂𝒏𝒄𝒊𝒏𝒈です。