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妖の唄ーエゴの果てにー【スズムラ氏コラボ】


「助けてください……」
ようやっと探し当てた喜びとそれまでの疲労が溜まりに溜まって、掠れた声で助けを求めて来たこの娘はとある地方に財を築いた『西條家』の娘、『西條みなみ』高校生だ。
「おやおや、随分と遠くからお越しのようで」
麒麟は街中での占い師スタイルよろしく、小さいテーブルを出して、腰掛けて言った。
「どちらでわたしのことを?」
「座敷わらし様から」
「おやおや、懐かしい名前だねぇ、『ゆりちゃん』は元気なのかい?」
「やっぱりご存知なんですね」
「ゆりちゃんは?どうしたんだい?」
「実はーー」

『西條家』
地方事業で成功を収めた『西條拓磨』には秘密があった。大きな屋敷に現れた座敷わらし『ゆり』
彼女が現れてから事業は好調。
新しく始めた分野にも成功を収めて飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
『たくま、わっちの御役目は果たした。わっちは出ていくよ』
いつか来るであろうこの日。
それを防ぐ為の開発は行ってきた。
「ゆり、お前は永遠に此処で暮らすんだよ」
ゆりが住む部屋に強力な電磁波が張られた。四方を囲む強力な電気。
ゆりはその電磁波に触れる。
「った……」
バシッと弾かれたゆりの手は怪我をしていた。
「成功だ……」
拓磨は邪悪な笑みを零して言う。
「ゆり、お前はこの家のためにここで住み続けるんだ!!」

「たくま……わっちはそんなことをしても」


「絶対に逃がさん!オレの幸せを!」


「お父さんが……そんなことをやってるなんて……」
「なるほど、キミはゆりちゃん見えるのかな?」
「はい、見えるも何も……子供の頃から一緒に遊んできたから……」
「座敷わらしとは知らずに?」
「はい……」
「助け出したら、ゆりちゃんに会えなくなるけどいいのかな?」
「父のエゴでゆりちゃんを閉じ込めているのなら、わたしは自由にしてあげたい」
麒麟は微笑んで、
「じゃあ、参りましょうか」
「はいっ!お願いします!」
みなみはようやく微笑んだ。


サポートなんてしていただいた日には 小躍り𝑫𝒂𝒏𝒄𝒊𝒏𝒈です。