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【小説】天国のこえ

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「私」木村朝子が、堕ちていくスピリチュアルの世界
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記事一覧

【小説】「天国のこえ」8章・休職(1)

 私は、がさごそとビニール袋に手を入れた。  青く光る薬の包装シートを取り上げて、眺める…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」7章・薬を捨てなさい

 「うつ、なんてね、無いのよ」  初老の女性占い師は、少しだけ私の方に身を乗り出して言っ…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」6章・駅ビルの占い(2)

 「お疲れ様っしたー!」  「はい、お疲れ様です…」  時刻は十八時になるところだった。 …

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」6章・駅ビルの占い(1)

 「社内メール室」  それは、個室の入り口に取り付けられている銀色のプレートに、明朝体で…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」5章・うつ病(3)

 「初めまして、こんにちは。今日はどうされたのかな?」  ロマンスグレーで痩せ型の、優し…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」5章・うつ病(2)

 「心拍は正常ですねえ。特に肺も問題ないかと思いますよ」  心電図検査を受け終わったあと…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」5章・うつ病(1)

 「あのおー…今日って空気薄くないですか」  ほぼ他人のパソコンのタイピング音しか聞こえないようなオフィスで、おずおずと私は真向かいの同僚に尋ねた。  「え?」  同僚のマナは目を丸くし、私の方を向いた。  「息苦しくないですか…?」  そっとオフィスに響かないように私はささやき声をあげた。  「いや…あ?そんなことないけどねえ?どうしたの、木村ちゃん」  「えっと…」  私が言い淀むと、マナは私の隣に座るお局様ことトモコに目線を向けた。  「トモコさん、空気薄いですかあ?」

【小説】「天国のこえ」4章・空先生(2)

 「皆さんは、天国からのプレゼントを受け取る用意ができていると思いますか?」  空先生が…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」4章・空先生(1)

 少し肌寒い日だった。  「天国のこえがきこえますか?」の著者、「空先生」の講演会へと向…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」3章・天国への扉

 「ここに居る皆さん、そしてこれを見ているアナタ、あなた達の目覚めは近い。もうすぐ冬の時…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」2章・天国のこえがきこえますか?

 仕事に忙殺され、毎日毎日、重い身体を引き摺るようにして、会社と、家とを往復していた。 …

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」1章・オーラ

 「ねえ、朝ちゃん、私の指先を見て」  そう言って、私の長年の友人である「葉月」は、真っ…

じょーま
1年前
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【小説】「天国のこえ」序章・私とスピリチュアル

 私、木村朝子は子供の時から、「おまじない」が好きだった。  小学生の時は、「意中の人を…

じょーま
1年前
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