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【社内SDGs活動事例】自主プロジェクトへ熱心に励む若手デザイナーの姿が、職場の刺激に!

アワードの受賞・ノミネート取り組みに限らず、全国のみなさんが取り組むさまざまなGOOD ACTIONを取材し、ご紹介していきます。

【企業・団体名】株式会社アドブレーン 


こんにちは!GOOD ACTION note編集部です。
本日は広告制作会社・アドブレーンが取り組むSDGsプロジェクトをご紹介します。
日本でも当たり前になりつつあるSDGsは、昨今、個人に限らず企業単位で取り組む活動も増えてきているようです。

今回お話を伺ったのは、社内のシュレッダーゴミを新たなプロダクトに生まれ変わらせる「PAPER CYCLE PROJECT」(以下PCP)のみなさん。なんとこの活動、若手デザイナーが立ち上げた自主プロジェクトなんです!

2021年から取り組みを開始し、現在では9本分の木に相当する紙のアップサイクルを実現。社内にSDGsへの関心を広げるきっかけになることはもちろん、若手デザイナーの新たな挑戦は、職場の活性化にもつながる熱いエネルギーを放っています。

~インタビューに参加してくださったみなさま~
篠原一幸さん:取締役本部長 
藤本真央さん:PCPリーダー/ディレクター 
萩原美佳さん:コピーライター 
菅野 渚さん:プロデューサー 
西島理子さん:デザイナー
野中 栞さん:デザイナー
前田生太さん:デザイナー

●紙を減らせない…広告業界ならではの悩みとひらめき


———プロジェクトが立ち上がった経緯を教えてください

萩原さん「2021年に入社した新人女性デザイナーが発案しました。当時、デザイナーチームの新人研修として、“自分が気になるテーマを探し、それをデザインで解決するアイデア”を考えるという課題がありました。そこで、この取り組みのアイデアが出てきたんです。
彼女は、社内のシュレッダーのゴミが多いことに違和感を持っただけではなく、細かく裁断されたさまざまな色の紙がゴミ袋に入っているのを見て、“きれいなのにもったいない”とも感じたそうです」

篠原さん「あまりにも素晴らしいアイデアだったので、役員会でも提案してもらうことになりました。とにかく熱い想いが伝わってきましたよ。“そこまで言うなら試しにやってみよう”と思えたんです」

萩原さん「私は途中からPCPに加入しました。当時入社4年目で、ゴミが多いことに慣れてしまっていたので、新人の彼女の提案で改めて気づきをもらいました

———実際、シュレッダーのゴミはどれくらい出るのでしょうか?
篠原さん「プロジェクトを始めた当時は、社内に全6台の大型コピー機がありました。メーカーの担当さん曰く、担当エリアでトップクラスの出力枚数と言われました」

野中さん「90リットルのゴミ袋で315個。1年でこれだけの量がでます」

———ゴミが多く出る理由として、広告業界ならではの背景もありますか?
篠原さん「弊社で制作している広告物の中には機密情報も含まれているため、一度印刷をしたら裏紙として使用することはセキュリティのルールで禁止されています。また、高性能なコピー機なので印刷スピードが速く、ミスプリントをしても停止をするのが間に合わないことが多いです。インクや紙も質の良いものを導入しているので、ゴミにするのは余計にもったいないという気持ちも抱きやすいんです」

▲インタビューに参加してくださった(左から)萩原さん、西島さん、野中さん、前田さん


●社内で使いやすいもの。社外で喜んでもらえるもの。工夫と苦労が詰まったオリジナルプロダクト


———シュレッダーのゴミはどのようにアップサイクルしていますか?
萩原さん「山陽製紙さんの「PELP!」というサービスを利用しています。発案者がこのサービスを提案してくれて、導入に至りました。シュレッダーゴミをPELP!BAGに詰めて郵送→回収されたシュレッダーゴミが溶解され、100%再生紙がつくられる→再生紙を加工した封筒にデザインを印刷して、新たなプロダクトに生まれ変わらせる。このような流れです。

2021年の夏頃からアイデアを出し始め、2022年2~3月に実制作を開始。4月にローンチをしています。封筒を作ったのは、業務内で使いやすく、社内に一番貢献できるツールだと思ったから。すでに在庫がなくなってきていますが、社内に展示スペースを設けて紹介しています」

藤本さん「次に、毎年関係各社に配っているお年賀品としてポチ袋を制作しました」

———プロジェクトが立ち上がってから、周りの反応はいかがですか?
野中さん「“かわいい”って言ってもらえることが嬉しいです!」

前田さん「“こんな活動しているんだ”と知ってもらえたのが嬉しかったです。あと、社外の方からも好評でした。取引先の方が来社した際には、展示を見て“これは何ですか?”と聞いてくれたりもします」

菅野さん「コミュニケーションツールとしては、かなり効果が大きかったです。封筒やポチ袋を配ることをきっかけに、取引先の方との話が広がることもあります。“こんなデザインができるんだ”ということを、知ってもらえる機会にもなっているのではないでしょうか」

萩原さん「私も社外の反響が大きいと感じています。noteで紹介した際には、滋賀県に住んでいる小学生の女の子から、夏休みの自由研究でSDGsについて発表するため、このプロジェクトについて教えてほしいとメールで質問をいただいたこともあり、ビックリしました」

———プロジェクトを行う上で工夫したこと・苦労したことを教えてください
野中さん「ポチ袋を制作する際に、初めてリソグラフという印刷手法に挑戦しました。リソグラフはリサイクル用紙など様々な紙質・厚さの用紙に対応する高速デジタル印刷機で、普通の印刷ではできない蛍光色などのカラーが可能です。ただし、色味や印刷位置の調整が難しく、印刷後の見え方を調整するのに苦労しましたね。“思ったより薄いな”とか、“こんなふうにずれちゃうんだ”みたいな」

西島さん「新しいことに挑戦する中で、元々先輩が作ってくれたロゴやデザインのトーンと、自分たちならではの色をどうミックスさせるか悩みました。例えば、Webサイトのデザインをする上でも、途中で野中さんがプロジェクトのロゴを動かしてアレンジしてくれたり、元のデザインを生かしつつ、自分たちの“もっとこうしたら良くなるかな”っていうところを探っていくのが、難しかったんですけど楽しかったです」

前田さん「紙を封筒にするまでの作業を初めて経験したので、はじめは時間や予算感が分かりませんでした。“この方法だとちょっとお金かかりすぎちゃうけど、ここのこだわりはどうしても残したい”みたいなところで悩みましたね。半分自主的な活動とはいえ、予算を組んでもらっている以上、いくらか制限はあるので。

あと、デザイン案を考えるのは一番やりがいがあるところですが、他のメンバーと被らないようにだったり、負けたくないなという気持ちでやっていました(笑)かなり試行錯誤しました」

▲こだわりが詰まったポチ袋


▲社内の一角につくられたPCPを紹介する展示コーナー


●若手の挑戦と負けん気が職場のモチベーションアップに


———PCPに参加してよかったことは何ですか?

野中さん「広告の仕事はもちろん好きですが、全体で決めたコンセプトにそって作業することが多く、自分の好きなアイデアや表現が採用されるとは限りません。なので、自分のデザインを発散できる場があってありがたく感じています」

西島さん「再生利用でできている商品がどのような過程で作られているか理解することができました。あとは、自分が印刷したものをシュレッダーにかけるときに罪悪感があり、これまで以上に気を付けてから印刷するようになりました」

前田さん「罪悪感は私もありますね(笑)あと、普段は若手だと作業だけで終わってしまうことがほとんどなのですが、プロダクトができる行程・仕組みやお金周りを知り、プロジェクト全体の流れを経験できたのがよかったです」

菅野さん「デザイナーが自由に自分たちでデザインや印刷方法を試している姿を見られるのは私も楽しいです。若いデザイナーたちが挑戦している活動が、社内の刺激になっていると感じます」

萩原さん「自分自身のSDGsの関心がとても高まり、他の会社がどんな取り組みをしているかなど、興味のアンテナが広がりました」

藤本さん「最初に出来上がった封筒を手にしたとき、普段大量にゴミを出してしまっている私自身もちょっと救われる気持ちになりました。デザインがかっこよくて、使わずに飾っていたくらいです(笑)同時にデザインにはそれだけ人の心を動かす力があるんだと再認識しました」

———普段の仕事や職場へはどんな影響がありましたか?
藤本さん「ポチ袋のデザインは若手の野中・西島・前田の3人に任せようと思っていたんですが、“先輩たちは(デザイン案を)出さないんですか?”と言われたことがありました(笑)私も頑張らなきゃいけないなと思いますし、若手の負けん気に刺激をもらっています」

前田さん「プロジェクトにかかわっているとモチベーションが上がっていくし、楽しいです。今後は後輩に引き継ぐこともあると思いますが、そうやってどんどん周りを巻き込んでいきたい。そうすると社内のモチベーションもどんどん上がっていくのかなと思います」

篠原さん「来年度の新入社員も巻き込んでいけたらいいですね。採用面接をやっていると、“素敵な活動だと思った”“入社したらPCPに参加させてほしい”と言ってもらうことがあり、会社としてもやっていてよかったなと感じます。
新しい印刷方法に挑戦したり、作業工程を一からマネジメントしたり、普段の業務では得られない成長・スキルを取得できるので、メンバーにとってはとても良い経験になるのではないかと思い、見守っています」

藤本さん「弊社のようなプロダクションだと、クライアントの課題にデザインでどう答えていくかという仕事がメインですが、PCPでは、自分の表現したいものを作るので脳の切り替えが必要。自分の持ち味を普段の業務のクライアントワークにも組み込んでいく力を身につけることもできるし、PCPの作業は大切な時間になっていると感じます」

———今後の展望を教えてください
藤本さん「社内の人たちにもっと自分ごと化してもらいたいと思っています。新しいプロダクトを作るだけではなく、社内の人たちにもっと再生紙を使ってもらうにはどうしたらよいか。今は、ポチ袋を作る際に出る端材を使ってメモ帳をカスタマイズできるブースを社内に設置しており、このようにプロジェクトメンバー以外の社員にも関わってもらえる活動を考えていきたいです」

▲ポチ袋制作時の端材を使った試作品。社員はメモ帳を自由にもらうことができ、スタンプでアレンジもできる



メンバーの一人ひとりが熱意と楽しさを持って取り組んでいる職場のSDGs活動をご紹介しました。みなさまの新たなACTIONのヒントになると嬉しいです。
インタビューにご協力いただきありがとうございました!次回の更新もお楽しみに。

WRITING:GOOD ACTION アワード事務局 大沼かな子
※本ページの情報は2023年10月時点の情報です


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