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おいしいコーヒーは自分だけのもの。

コーヒーが好きだ。
毎日必ず豆から挽いて、お湯を沸かし、ドリップする。
新鮮な豆にお湯を注いだときに泡が溢れてくるのがいい。
今日もコーヒーがうまい。

コーヒーの科学という本を読んでいる。
コーヒー好きの医学博士が、コーヒーを”科学的に”語りつくす本で、美味しいコーヒーの淹れるには●度のお湯で●分で抽出して・・・といった一般的なコーヒー本とはだいぶ様子が違う。

コーヒーの栽培法や焙煎の歴史を遡ってみたり、はたまた、コーヒーの苦味成分はどんな物質によるものなのか詳しく解説したりする。
余談だが、一般的に言われるコーヒーの苦味の主因はクロロゲン酸なる物質だそう(カフェインじゃなかった)。ほかにもさまざまな苦味成分が含まれており、それが重なり合って複雑な苦味を醸し出しているらしい。

この本によれば、コーヒーの「おいしさ」は、人間の味覚がキャッチできる5つの基本味(甘味・苦味・酸味・塩味・うま味)にはじまり、香りの要素、カフェインに代表される薬理的な要素(病みつきになっちゃうアレ)、口内でのコーヒーの流れや唾液の状況など、めちゃくちゃ多様な要素に影響されるそう。冒頭の基本味の感覚ですら、人それぞれ相当に違いがあるらしく、ひとえに「おいしい」なんて言ったって、そこにたどり着くまでのパラメータが多すぎて想像もできない。

これを読んではたと感じたのは、当たり前だけど、人は思っている以上にそれぞれ違うってこと。もし食べた人全員がおいしいって言うモノがあったとしても、本当はそれぞれが感じていることは違くて、そのそれぞれの感覚をめちゃくちゃ端折って表現した結果の「おいしい」なんだよね。

これはあらゆる物事に共通することだと思う。
人と人が完全に共感することなんてないし、表向き同じ言葉で語られていても、それは似て非なるもの。
だから、相手の感覚に無理して迎合する必要なんて本質的にはないんだよね。他者の考えへのリスペクトさえ忘れなければ。

星野源の「ばらばら」という歌の歌詞が浮かぶ。

気が合うと 見せかけて 重なり合っているだけ
本物はあなた、私は偽物

星野源  ばらばら

自分の感覚を信じつつ、謙虚であること。むずかしいねぇ。

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