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技術とアイデアの昇華〜2020年度グッドデザイン賞 審査ユニット04(レジャー・ホビー)審査の視点

グッドデザイン賞では、毎年その年の審査について各審査ユニットごとに担当審査委員からお話する「審査の視点レポート」を公開しています。グッドデザイン賞では今年、カテゴリーごとに20の審査ユニットに分かれて審査を行いました。審査の視点レポートでは、そのカテゴリーにおける受賞デザインの背景やストーリーを読み解きながら、各ユニットの「評価のポイント」や「今年の潮流」について担当審査委員にお話しいただきます。
本記事では、審査ユニット04(レジャー・ホビー)の審査の視点のダイジェスト版をレポートします。
ダイジェストではない全部入りは、YouTubeで映像を公開していますので、よろしければこちらもどうぞご覧ください。

2020年度グッドデザイン賞審査の視点[Unit 04 - レジャー・ホビー ]
担当審査委員(敬称略):
渡辺 弘明(ユニット04リーダー|インダストリアルデザイナー|株式会社プレーン 代表取締役)
色部 義昭(グラフィックデザイナー|株式会社日本デザインセンター 取締役 制作研究本部本部長 色部デザイン研究所所長)
清水 久和(プロダクトデザイナー|S&O DESIGN株式会社 代表取締役)
ムラカミ カイエ(デザイナー / クリエイティブディレクター|SIMONE 代表)

レジャー・ホビー用品の概況

渡辺 このユニットの審査対象は、レジャー・ホビー用品ですが、非常に分野が多岐にわたっています。スポーツ用品、キャンプ用品、アウトドア製品、ペット用品、釣り具、ヘッドホンやスピーカーなどの音響機器だったり、かなり幅広いものを一同に審査します。
その中で、評価基準をどう定めるかということが非常に難しかったと思います。
コロナ禍の中にあって、アウトドア用品やスポーツ用品の売れ行きは活況だという話も聞きますが、このユニットの審査でも、そういった傾向が顕著に表れている印象を受けました。
スポーツ用品で今回グッドデザイン・ベスト100に入っているものが2つありますが、素材やセンサーなど技術をうまく生かして新しい製品に仕上げている印象を受けました。
アウトドア用品は、「技術」というよりも「気づき」「インサイト」というか、実際に使われている方が製品開発をしていて、使いやすいものやデザインも非常に良いものが多く見られたという印象がありました。
ちょっと残念だったのが、通電を伴うプロダクトで、例えばヘッドホンやスピーカー、電子楽器など、停滞しているというか、新しい技術がなかなか出てこないということも少し感じて、デザインにも元気がないなという印象を受けました。

陸上競技用スプリントシューズ [メタスプリント トーキョー/1093A148]

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渡辺 グッドデザイン金賞を受賞した陸上競技用スプリントシューズです。まず従来のこの種類のシューズは、底にスパイクと呼ばれる金属のピンがついていて、土に刺さって土を掻きながら走るという構造が一般的です。このシューズでは、使用するアスリートが「走るときに、地面にピンが刺さって抜ける感覚がある」と言うんですよね。ということは、そこに時間のロスが発生しているということになります。そのため、開発者やデザイナーは「ピンが刺さらなくても速く走れる」ことを目指して開発したそうです。
アウターソール(底の部分)にカーボンを使って、ハニカム構造にすることで強度が生まれ、突出している部分とフラットな部分を作ることで、突出部分が地面を掻くように走れるけれど、地面に刺さることはない。千分の1秒を争うことが可能なシューズができました。
アシックスというと、シューズの側面に印象的なラインがあって、デザイン面でもかっこいいというイメージがありますが、実は、このラインの革には意味があり、靴本体の塞革が伸びないような構造になっているということを知りました。単なる意匠だけではなく、しっかりとした機能があるのです。そういったことにも非常に感銘を受けました。

清水 底面の形状がうまく考えられた形状になっており、とてもいいフォルムで機能的な側面も併せ持っています。

渡辺 軽いということも非常に評価ポイントとして高い。軽量化ということでかなり無駄を削いでいるのです。そういう意味では、我々デザイナーは、よく「引き算のデザイン」とか言うんですが、その引き算のデザインの典型的な例だと思います。

野球ボール回転解析システム [MA-Q]

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清水 学生の野球部というと、根性論で行われている部分があるかと思います。練習した成果を目に見える数値で見たいと、誰もが思っているはずですが、この商品は「実際にボールを投げて、そのスピードがわかる」ことで、それを確認できる素晴らしい商品だと思います。
これまでのような根性論の指導だけではなくて、目に見える数字で確認することによって、自分のピッチングを解析し、自分の野球の練習がデザインできるところが素晴らしい。
私も二次審査の時に実際に投げてみたのですが、公式球とほぼ変わらないので、違和感なく高校球児も投げられると思います。
単純に数値がわかって楽しい、というような楽しみにも使えると思います。
既存の、回転軸や回転数を測れる機器はおそらく相当高額なものになると思いますが、MA-Qのこの値段なら、学校の野球部などに設置するハードルも低いのではないでしょうか。
アプリはこれからという感じもしますが、これからどんどんバージョンアップしていくことができる商品だと思います。

渡辺 このような機器は、プロ野球選手でも先鋭的な方はかなり高く評価されているようです。それまではとにかく根性論で、旧態依然としたトレーニング方法だったのが、これを用いることで根拠のあるトレーニングができるようになったのかなと思います。

色部 今まで感覚値で測ってたものが、ビジュアライズされることによって、何をすればいいかということがわかり、その分、身体へ過度な負担をかけずに習得できるというのはとても画期的だと思います。

テント [ゼクーM]

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ムラカミ アウトドア用品もこのユニットの審査対象の中に色々入っていますが、アウトドア市場は年々少しづつ伸びている業界の一つです。今年はコロナ禍ということもあって、ワーケーションやアウトドアのブームが起こっている状況があります。
そのような状況下で、まだローンチしてそれほど経っていない新しいブランドではありますが、デザイナーがかなり実績のある方で、本当に自然を楽しむために「ライト&ファスト」という原則的をきちんと守りながら、今までにない構造のテントを作りました。造形的にも、審査会ではいろいろな議論があったのですが、少なくともフォルムはこれまで見たことがないフレームの構造をしていて、中の居住空間もかなり広く取れていること。そして値段も、他社の同じレベルのテントに比べると、かなり野心的な価格設定で抑えられていて、幅広く多くの方たちにアウトドアを楽しんでもらえるように、というコンセプトのもとに作られているというところを高く評価しました。

色部 僕もワンポールテントを所有しているのですが、居住空間はどうしても形が三角形になってしまいがちなんですね。端っこのほうは全然スペースがなくなってしまう。でも、このテントは、寝転がった時に本当に広く感じるんですよね。中に入ってみると驚きがあるという、そういうプロダクトだったと思います。
ブームということもあって、キャンプ場に行くといろいろなテントがみられるのですが、やっぱり設営がネックなんですよね。設営する時間が長くかかって、その間に日が暮れたり、設営だけで疲れてしまったり。そのような中で、本当に簡単に女性でも組み立てられるテントというのは、改めて見直されているのかなと思います。
このゼクーという商品は、デザイナーの意志がとても強く反映された象徴的な製品なんじゃないかと評価しています。

クッカーセット [HOME&CAMPクッカー 26/19]

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ムラカミ 今回のこのスノーピークのクッカーセットは、サイズが2種類あって、ガラスの蓋が付いています。家で、この鍋で簡単な下ごしらえをして、それにガラスの蓋をして、そのままキャンプ場に持っていって現地で調理することまで想定されたかなり優れた製品です。
シリコンのサブの蓋というか、穴を閉じるパーツが付属していて、無水鍋としても使えます。
先ほども申し上げたように、今、アウトドアの世界は拡張してはいるものの、大量生産消費社会からの脱却というテーマが、なんとなく社会課題としてある中で、家の中でもちゃんと使えて外でも使える、その利便性や汎用性の高さは素晴らしいと思います。プロダクトとしての完成度も高く、家の中に置いてあっても違和感がない。入れ子のように収納できるようにもなっていて、かなりコンパクトにまとめることもできます。おそらく車のトランクに入れても、全然場所をとらずに小さくまとまります。そういうパッケージングのクオリティの高さもあります。
モノとしての魅力もありつつ、利便性もかなり考えられていて、審査委員一同高く評価させていただきました。

双眼鏡 [HYPER-CLARITY HC8x42/10x42]

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渡辺 これも道具としての完成度が高い双眼鏡に仕上がっています。これも完全にアナログの双眼鏡なんですが、堅牢感というか重厚感というか、そういったところが非常によくできています。重厚感といっても、重いということではなくて、かなり軽くできています。双眼鏡を覗いた時に、空気がクリアになったような画像になるんですよ。そこは驚きました。
デザインも非常に完成度が高くて、シンプルで余計なものがない。
双眼鏡の眼の間のところ、この距離を合わせるところの重力感がとてもいい。素材はアルミ切削だと思うのですが、覗いたときに肌に触れる感じにも、違和感や不快感がないんですよ。手で持つ部分はエラストマーという
柔らかい素材になっているんですが、その素材の使い分けというところも
非常によく考えられていると思いました。

折りたたみ式モバイルジンバル [DJI Osmo Mobile 3]

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ムラカミ  DJIは元々ドローンを作っている会社でした。このジンバルは、カメラやスマートフォンにつけて撮影すると、ブレを補正してくれるスタビライザー的な機能を果たすものです。もともとスタビライザー付きの小型の
カメラもいろんなものが出ているのですが、ドローンのトップメーカーであるDJIの製品だけあって、かなり小型化されています。ほかのメーカーが追随できないくらいの完成度の高いもので、プロユースとして使えるぐらいの価値があるのに、価格もかなり安価です。
誰もがフォトグラファーやビデオグラファーになれる時代ですが、この製品によって、それをより一段レベルを上げるようなことができてしまう。そういったデザインの公共性みたいなところが高く評価されてグッドデザイン・ベスト100に選ばれたのではないかと思います。

電子楽器 [電子和太鼓 TAIKO-1]

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渡辺 こちらの製品は、和楽器を電子化した意味という点で、審査委員の間でも評価が高かったですね。とくに太鼓は重くて、持ち運びが難しいという問題があったのが、この製品では、いろんなパーツにすべて分解できるようになっています。かなり小さくなってもいます。当然アンプなどは必要ですが、音質も良い。今までこういう技術革新の分野では日の当たらなかった和楽器や和太鼓ですが、そういったところに光を当てたというところが非常に評価できるポイントだと話していました。日本の文化を絶やさないということを考えても、非常に意義のある商品ですね。

野球用バット [レガートゼロ/3121A266]

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清水 こちらは軟式野球用のバットです。軟式野球は愛好者がだいぶ高齢化してきている部分もあるのですが、野球は年をとってもできるスポーツです。そういった力が落ちてきたときにもっと飛ばしたいという要望に応えたのがこちらの製品です。ゴルフのクラブみたいな感覚に似ているかもしれません。軟式野球のバットはこの15年くらい変わってなくて、バットのまわりにゴムをつけて、それをボールに柔らかく当ててボールを飛ばすという種類だったのですが、なかなか新しい商品が出てこなかった。
そこで今回これを見たときに、すごいなと思いました。空気を棒の中にいれて、空気圧で打つ、というすごい発想の商品が出たな、ということでビックリしました。残念ながらまだ試用してないのですが、たぶんこれ相当飛ぶと思います。相手のピッチャーの球に対して調整ができるんですね。空気圧の調整で、たとえば球が速いピッチャーだと空気圧高め、変化球投手だと空気圧を低めにして打つ、ということができて、すごいですね。野球の楽しみが増えたという感じがします。草野球の世界は狭い世界なんですけど、楽しさの枠を押し広げたなと思います。

渡辺 これはボールメーカーと協業して作ったというところも評価できると思います。

猫様専用首輪型デバイス&アプリ [Catlog®]

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色部 猫用の首輪型のデバイスとアプリなんですが、人間だと腕時計のように身につけて健康管理ログをデバイスが受けて解析するということができますが、これは猫用のものになります。この商品はなにがすばらしいかというと、首輪という装身具として自分の愛猫につけるものなので、かわいらしさということもよく考えられているんですけれども、アプリ側のUIの設計も丁寧に作られています。猫が今どういう状態で過ごしているかということがわかりやすいイラストで表現されています。ペット用品もこのカテゴリーではたくさんあるんですが、ペットと飼い主の間をつなぐものとしての佇まいは、結構難しいところもあって、猫にとっていいもの、人にとっていいもの、必ずしも合致しないのですが、これはバランス良く商品として全体が作られているなと思いました。

ムラカミ こういうアプリでデバイスを制御するものは今回多かったのですが、これはアプリ側のデザインや機能もよくできていて、ベスト100に入ってもいいかなと僕は思っていました。

ネコ用爪切り補助具マスク [もふもふマスク]

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色部 これは、もともと自宅で使用していました。うちの猫もなかなか爪を切らせてくれなくて、悩みのひとつだったのですが、こういうプロダクトがあるんだという最初の驚きがあり、猫にマスクという発想がすごいなと思いました。今年はいろんな意味でマスクが注目されましたが、爪を切りやすくするアイディアがいいなと思いました。見た目的に、さっきもお話しましたけど、ペットと飼い主の間をつなぐようなもので、そういうものの顔つきとしてもかわいらしくていいなと思います。素材もちゃんと考えられていて、そこもきちんと配慮されていると思います。

Pet Nest [pidan Dry landscape Pet Nest]

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色部 これは猫用のペットベッドなのですが、不思議なプロダクトで、賛否両論ありました。単純にモノとして見たときの仕上げのきれいさがいいですね。中国のプロダクトで、おそらく暑い地域で開発されたものだと思うのですが、冷房などの電気設備を使わずに、猫が涼しく安心して眠れる場所を作るというのがこのデザインのポイントです。枯山水のモチーフが引用されてますけど、それがひんやりするネストの機能にも繋がっているのがいいポイントかなと思います。

渡辺 金属の絞り加工という方法だと思うんですけど、端の面がきれいに処理してあって、怪我をするようなことはほぼないですし、表面のテクスチャーもかなりよく考えられています。中国の製品は、品質の面で過去はちょっと問題かなというところはあったのですが、かなりレベルが上がってきてるなという印象があります。ものとしての完成度もかなり良くなっている印象があります。

色部 今回全体でみると、中国からの応募は全体的に品質が高かったですね。ものとしてのつくりとか仕上げとか。

まとめ

清水 ユニット4はいろんなジャンルの商品があるので、頭を切り替えるのが大変でしたが、楽しくしっかりモノを見て審査できるのが良かったと思います。同じ商品がずらーっと並んでいるようなことではなく、そういった楽しみがあったのが印象的でした。中国からの応募がとても多く、CGがとても多かったのですが、商品を送ってきてもらえるともう少し我々も審査がしやすいというのがあったかもしれません。いろんな製品が見れてよかったのですが、プロダクトデザインの質という点では、皆さんいいデザインをされていると思います。

ムラカミ 今年はコロナの影響もあって、メンタルヘルスが課題になっている中で、レジャー・ホビー分野の果たす役割というのはかなり注目されてきたのではないかと思います。来年もますますこういった分野は堅調に伸びていくのかなという印象はあります。エントリーの数が、世の中にリリースされているものに比べたらまだまだ少なく、もっといい製品もあると思うので、もっとそういうものの応募が増えるといいなと思います。
グッドデザイン賞は影響力があると思うので、その中で良質なものをちゃんと審査して、世の中の人たちにそういったものをもっと多く知られていくことで、アウトドア・レジャーホビーが意識があがっていくといいんじゃないかなと思いました。
インディペンデントメーカーがすごく強くなってきたなと思います。いま、クラウドファンディングなど、小さいメーカーでも大きなものづくりができる環境が整ってきている中で、小さいメーカーが工場と組んで新しい活動や製品づくりができるようになってきている潮流は、今回エントリーされているものをみても感じました。そういうところの製品のクオリティの向上も他の分野でも顕著に見られたという点で、多くのすべての人を満たす商品というよりは、局所的にそれぞれの多様化したニーズに合わせてみんなが渇望している商品が生まれつつあるんだなという機運を感じます。デザインの幅の広がりだったり、奥行きの付け方みたいなところは、わりと顕著にあらわれてきたんじゃないかなという印象を持ちました。
イヤホンとかスピーカーなどの製品について言うと、求められる機能がどんどん限定的になってきている印象があって、それゆえにプロダクトデザインやサーフェスのデザインがすごく似てきていて、完全にコモディティ化し始めたなという印象がありました。もちろん骨伝導など、いろいろな提案はあるものの、本当にこれがベストだねといえるようなところまで、まだ技術的にもデザイン的にも至ってないのかなという印象はたぶんみなさんなんとなく感じられたところなんじゃないかと思います。

色部 このカテゴリーはペットからアウトドアからスポーツからいろんなものがあつまっていて、なかなか総評は難しいのですが、とくにレジャー・ホビー・ペットというところでいうと、新しい生活様式が始まったときに、ものと向き合う時間が変わってきたかなと思うんですね。そういう意味で、今までそんなに気にしないで使ってきたものも注目される、そういう時代になっていくんじゃないかなという中で、今後いろんな意味でビジネスチャンスがたくさんあるカテゴリーかなと思いました。新しいチャレンジがここでどんどん生まれてくるといいと思いますし、そういう画期的なチャレンジをしている商品がこのユニットに今後集まってくると面白いなと思いました。

渡辺 製品にもUIなどグラフィック的な要素は重要だと思うのですが、そういった印象はどうでしたか。

色部 さっきのキャットログの話もそうなんですけど、新しいハードウェアとソフトウェアが連携しているような製品では、ハードウェアに注目が集まりがちなんですけど、実際に体感しているのはむしろデバイス側の画面だったりすることも多くて、使い心地は結構そこで左右されていたりすると思います。そういう意味では、まだUIのレベルが高いものはなかなか多くないかなと思いました。キャットログはその中でもレベルが高い定着だったかなと思います。
一方でUIの場合は、デバイスのOSが変わったら、常に更新しないといけないという非常にハイコストなビジネスでもありますので、そこはなかなかアイディアだけで参加してクオリティの高いものを作るというのはほんとうに難しい。日本でもどんどんそういうチャレンジが、いろいろ見られてくるといいなと思いました。企業が本気になってそういうものを作ってくれるといいなと思います。

渡辺 大体皆さんが言われた通りなんですけど、アウトドア用品やスポーツ用品は、気象条件など過酷な条件下で使われることを想定されて、いろいろ難しい部分もあると思うんですよね。そういった中でものづくりをして、それが他のいろんな製品にも応用されたり展開されたりできるのかなと思いました。
たとえばテントは非常に構造が重要で、もちろん居住空間も大事で、設置・設営する時間も非常に大事なわけですよね。そうなるともう小建築とも言えると思います。表層の部分は布だったりするわけですが、それがアパレルに応用されたりですとか、防災用品などにも応用される可能性があるわけです。
そういうことを考えると、プロダクトのプリミティブな部分をフォーカスしている分野で、この分野からいろんな製品が生まれてくる可能性があるなと感じました。非常に可能性のある分野だなと思いましたね。
さきほどムラカミさんのお話でもあったように、主に通電して機能するような分野のものがコモディティ化してるということで、我々が期待したほどのものがなかったというところがちょっと残念でしたが、新しい技術がなくても、気付きとかそういうことで、なにか新しい製品ができる可能性は秘めていると思うんですよね。今後そういった分野でもアウトドアやスポーツ用品にあるように、革新的な製品が出てくることを期待したいと思います。

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