見出し画像

公庫から創業支援融資を満額借りた条件と方法

日本政策金融公庫の融資制度に新たに事業を始める方、事業開始後税務申告が二期目を終えてない方向けに「新創業支援融資」という制度があります。
融資限度額は、3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。自己資金で事業を始めた方や小規模で事業を始める方にとっては、大きな額ですよね。
この融資制度ですが、条件次第では比較的借りやすいです!
今回は実際に融資を受けた方法を体験談を交えてお伝えします。

融資を受けると決めた経緯
融資を受けようとしたタイミングは創業して9ヶ月目のことでした。
経営上、特に問題はなく今後のグロースを考えた上で融資を受けようということになりました。
融資の目的としては新規事業の立ち上げのための運転資金の調達です。
状況としては
 ・創業後、9ヶ月経過している
 ・今期の黒字着地はほぼ確定している
 ・今回の借入が初めてである
 ・キャッシュフロー的にも問題はない
 ・子会社及び複数社経営は行なっていない
 ・負債無し
という状況でした。

運転資金と設備資金について
融資限度額は運転資金と設備資金でそれぞれ限度額が分かれているので、簡単に補足します。

・運転資金
経営を行うにあたって必要な資金のことである。
創業支援の場合は、事業をスタートしてから3ヶ月〜6ヶ月で必要な資金を算出することになります。(多くの場合は3ヶ月で算出するのが基本です)
人件費、ソフトウェア費、オフィス賃料、広告費、外注費、仕入れ費などがこれに当たります。

・設備資金
商品仕入以外の設備、資産等を購入するためや契約などのためにスポットで発生する資金です。
商品仕入以外の設備、資産等を購入するためや契約などのためにスポットで発生する資金のことです。
車、店舗内装、機械、事務所・店舗賃貸のための不動産初期費用、パソコン、電話、机などの事務用品などがこれに当たります。

弊社の場合は、設備資金が必要なかったので、今回は運転資金のみで算出しました。
業種によっては細かいこともありますので、下記を参照して確認ください。

利子と返済返済期間
今回の場合は、下記の通りです
利子:2.11%
返済期間:7年

準備したもの
借入申込書
企業概要書
・事業計画書
・予測損益計算書
・予想資金繰り表
・確定しているBS、試算表
・月次の損益計算書
●履歴事項全部証明書
・運転免許証
・代表者の履歴書
・代表者の住民票
・賃貸借契約書(オフィス及び代表の自宅)
・預金通帳、取引履歴(実際のキャッシュフローが分かるもの)
・代表者の預金通帳及び資産が分かるもの
・代表者の前職の源泉徴収票または課税証明書
・受注した案件の契約書、請求の一部
・会社紹介の資料

●は申し込み時に必須です。
その他の資料は申し込み後に必要になるため、申し込みと一緒に送付すると申し込み後の打ち合わせがスムーズになります。

事業計画書
新規事業の立ち上げを目的としていたので、簡単にですが資料を作成しました。マストではないのですが、どんな会社でどんなことをしているのか、またはしようとしているのかを聞かれるので用意していた方が良いです。
弊社、自己資金で運用していたので起業時には作っていなかったので、けんすうさんの企画書を参考に作成しました。

VCではないので、この記事の「【11】今回のラウンドと資本政策」などは省きましたが、その他の項目は作成しました。ここで作った資料はプレゼン資料でなく、あくまで送付資料となるのでシンプル過ぎず、内容の詰まった読みやすい資料の作成を心がけました。

構成的には
・会社概要と主な取引先
・役員の紹介
・ビジョン、実績
・新規事業の概要(事業内容や実現したい世界など)
・ビジネスモデル
・スケジュール
・開発の詳細
・市場調査結果
・競合状況
・KPI設計など
・予測収益
収益計算などのお金の部分は別紙にまとめて提出しました

予想損益計算書
ここが一番大変でした。
1期目が9ヶ月過ぎていたので、今期分と来期分の作成が必要でした。
1期目はすでに確定している月が多いし残りの売り上げもほぼ確定していたので、それを参考に作成しました。
2期目は、運転資金も含め予測しないといけなかったので、まず融資希望額の算出をして落とし込みました。

公庫側はなぜその希望額が必要なのか、借入した金額及び利子を返すことが出来るのかを詳細まで見ますので適当に記載できる資料ではありません。
売り上げ予測などは不確定要素ですが、ある程度根拠が必要ですのでKPI設計などをよく行い算出してください。

予想資金繰り表
こちらは損益予測とは違い、実際のキャッシュフロー予測を記入するものになります。
多くの場合、発生主義で経理されているところが多いかと思いますが試算表とは異なりますのでご注意下さい。
特に仕入れある業種や売掛、買掛の発生日と入出金に数ヶ月のズレがある方は、現金が動く日を基準に作成してください。

予想損益計算書も予想資金繰り表もネットに書式が落ちてありますので、使いやすいものをダウンロードして作成するのがおすすめです。
ちなみに公庫のホームページでもサンプルがあります。

融資決定までの流れとスケジュール
1日目:まず公庫へ行き融資制度の説明と必要資料をきく
7日目:資料作成と必要書類の準備完了
8日目:申請書と一緒に書類一式を公庫へ送付
15日目:公庫へ行き担当者と面談(代表の同行が必要)
18日目:公庫の担当者が来社(どういうオフィスで仕事してるのかを見るのが目的)
27日目:電話にて融資金額決定の連絡が入る
30日目:融資手続きに必要な書類が届くので、記載し返送
37日目:指定した金融機関の口座へ入金

融資の決め手になったもの(あくまで個人的見解です)
基本的には返済能力を見られています。
創業支援の場合、税務署への申告が終わっていないので、これまでの実績と将来性それに加え代表者の資産、お金の使い方を確認されました。
またオフィス環境も確認されますので、5〜10分ほど担当者が来社します。
幸い弊社、代表共に特に問題なく審査が終わり、希望融資額を満額で借入する事が出来ました。
もちろん反社会的勢力でないや過去の賞罰有無なども確認されます。

まとめ
初めての融資でしたが、公庫の場合は比較的早く融資が決定したと思います。他の融資なども検討していましたが、各自治体で行なっている融資斡旋などは2〜3ヶ月かかると言われているので、1ヶ月での決定は早いなという印象。
提出資料もそこまで多くなく、追加の書類提出もほとんどなかったのです。
創業時の忙しさを考慮してるなと感じました。
これから事業をスタートしようとしてる方、グロースさせたい1期目の方など融資を検討している方は公庫を利用してみてはいかがでしょうか?

弊社の場合は、1ヶ月強時間がかかりましたが、スケジュール調整が上手くいけば1ヶ月弱で融資を受けることも可能かと思います!
また担当した当方は、過去に経理、財務の経験がありません。
税理士さんやコンサルティング会社を利用して進めるという方法もありますが、書類作成は特に問題なく出来ましたし、自身の会社のことですので不要なコミュニケーションコストを無くしたかったため、全て自分で行いました。
恐らく資料作成をどこかにお任せするとしたら、事業内容や経営状態を細かく説明しないと行けないと思います。
その他、手間だったのは税務署や市役所、区役所などに証明書の発行するのがめんどくさかったです…

時間的に余裕のある方は自身で行ってみてはどうでしょう!

融資斡旋についてもまとめました





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?