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「CAMEO」全曲解説! vol.1

記念すべき第1弾コンテンツは、GOODWARPのソングライター吉﨑拓也による『CAMEO』全曲解説!
以前よりバンドを愛してくれている元・ライターの方に、たっぷりインタビューしてもらいました!

【01 ラブシティ】

──さっそく1曲目から行きましょう!まずは「ラブシティ」。3年ぶりのニューアルバムの皮切りにふさわしい、勢いがある曲ですね!

でしょう? 「新しい時代がはじまる」って、高らかに、明るく言い放ってみました。


──やっぱり「令和」を意識したんですか?

いや、それはたまたまです(笑)。ほんとだよ。曲自体は4年くらい前からあったんです。当時から「新しい時代がはじまる」って言っていて。でもアレンジがなかなかかたちにならなくて。ずっとお蔵入りしてたんだけど、今回のアルバムを作るにあたって、朋生(Gt/Cho)が「これ入れてもいいんじゃない?」って拾い上げてくれて。しかも、「一回おれ作ってみるわ」って言うから預けてみたら、見事に仕上げてくれたんです。
そしたら結果的に、令和で、新メンバーのケンゴ(Dr/Cho)も入ったタイミングで、3年ぶりのニューアルバムの一曲目で・・・って、いろいろハマりましたね。GOODWARPの曲は横ノリが多いんですけど、これは縦でノレる。


──なるほど。まさに「新しい時代」の中を突き進むような疾走感のある曲ですが、歌詞の世界は少しノスタルジックですよね?

そうですね。ノスタルジーを抱えながらも、しっかり前を向いている感じ。僕が小さい頃に住んでいた地元を引越しで離れる時に、親友だった女の子との別れがあって。なんとも言えない感情に包まれた出来事で、それをときどき思い出すんですけど、人に前を向かせるのって、案外そういうことなんじゃないかって思っていて。


──吉﨑さんの個人的なストーリーが下敷きになっていると。その女の子には、恋愛感情があったんですか?

いやいや、そういう野暮なことじゃないんですよ!(笑) みなまで言うな。


──すみません!(笑)

苦しいことを振り返って、でも頑張ろう!っていう歌は多いと思うんです。だけど、僕はこういう言葉にならないような思い出や感情、ノスタルジーを誰もが持っていて、逆にそれが次の一歩につながっている。そんな気がしているんです。ノスタルジーって、不意に襲ってきませんか?
夕方6時くらいの薄暗い帰り道とかでなぜかフワッと思い出して、急に過去が眩しくフラッシュバックするんだけど、すぐに現実に戻る。でもそれは悲しいことでは全然なくて、むしろそれで前向きに、元気になるんですよね。


【02 BOY】


──次は「BOY」。2018年3月に配信されたシングルで、春らしい優しさと高揚感にあふれた曲。この曲でアルバムに期待を膨らませたファンも多かったと思います。

出したのもう一年以上前なのか・・・(笑)。でも、この「BOY」はまさに3月の空気の中でというか、春のあの気分で聴いてほしい曲です。出会いと別れの季節、大切な人にふだん言えない言葉を届ける。もう5月だけど、そういう気持ちになって聴いてください(笑)。


──『言葉にするなら他愛ない/あなたにいてもらいたい』 このフレーズのリフレインが印象的です。

これは、実は僕の父を思い浮かべて書きました。だから「ミスター」なんだけど、ミスでもミセスでもダーリンでもよくて。誰にだってそういう「誰か」がいると思うんです。自分にとって大事な人を心に描きながら聴いてほしいですね。


──サウンド面での聴きどころはどのあたりでしょうか?

「BOY」に関しては、ディレクターのIkomanさんとも話し合いながら、どちらかといえば「歌を聴かせる」ことを意識してメンバーがアレンジしてくれました。僕が歌詞に苦戦している間に(笑)。サウンドは、音を丁寧に積んでしっかりと歌を支えるっていうイメージ。音数を絞った3曲目の「wolf tap」とかとはまた違うアプローチ。そうすると割と歌謡曲っぽくなりがちだったりするんですけど、そこはGOODWARPらしくダンストラック感は失わないように、絶妙なバランスでやりきれたんじゃないかと思ってます。サウンドとしても心地よくなるように、かなり試行錯誤して作ってるんですよ!(笑)


──今回のアルバムとは違いますが、「BOY」は桜色のアートワーク(吉﨑が制作)も評判でした。これはどんな狙いが? 


いや、なんといっても、春といえば桜色でしょう!それが狙いです!(笑)


【03 wolf tap】


──次は、アルバムリードチューン「wolf tap」!繊細でエモな「BOY」から一転、壮大な世界観が広がります。まず「wolf tap」とは?

まずそこですよね。これ造語なんですけど、オオカミの足音、オオカミのタップダンス、っていうイメージの言葉。猛々しいオオカミたちが狩りに向かうとき、鬨の声の代わりに足を踏み鳴らすみたいな感じ。演奏してても「うぉぉ!」ってなります。やる気出ます。デカい音で聴いてほしいです。


──いきなり激しくなりましたね(笑)

うん。これは「イラだち」から生まれた曲で。
なかなかうまくいかなかったり、思い通りにならなくてイライラすることって、誰だってあるじゃないですか。かといって、周りに合わせるのは、楽かもしれないけど、もっとつまらない。疲れ切った自分と、その自分を吹き飛ばす内なる声、そういうものを表現したかった。
苦しい時でも、いや、苦しい時こそ、自分らしくやっていくこと。それだけはいつだって正しい。そう思った時にパッと頭に浮かんだのが、最初「海賊」のイメージだったんです(笑)。


──えっ、海賊ですか?

そう。荒くれ者の船乗りたちが、大海原に漕ぎ出す前の夕暮れに、デッキで宴を開いているイメージ。水平線に真っ赤な太陽が沈むころ、命を失うこともある危険な航海を前にして、足を踏み鳴らし大声で歌う。そうやって自分たちを鼓舞する。そんな勇ましい海賊の歌を作りたくなった。でも、あまりに海賊感を丸出しにするのも「なんか違げーな」っていう話になって(笑)。


──そこで、オオカミになったと。

まあ、そんな感じです。でも、ところどころ海賊感が残ってるんだよね。「風のタンバリン」とかね。風と波音をBGMにして宴をしてるようなイメージが気に入ったんでそのまま使ってます。あと、「ザッ、ザッ」ていう音は実際の足音です。海賊感出てるでしょ。


──そうだったんですね!レコーディング楽しそう。そういえば「wolf tap」は「BOY」とはまた違うアプローチということでしたが、サウンド的にはいかがですか?

主人公の抱えた焦燥感と、そこに差し込む光、そしてジレンマを吹き飛ばすサビ、という歌の物語を、サウンドでもしっかり描けたんじゃないかなと。
あと、楽器の音数をなるべく絞ってアレンジできるよう、歌のメロディの隙間はすごく意識しました。これまでも踊りやすさは意識してきたけど、今回はもっと踏み込んだダンスサウンドにしたくて。そう思ってつくったのがこの「wolf tap」のメロディ。
もちろん、鼻歌みたいに口ずさめるシンプルなものをっていう、GOODWARPらしさは忘れないようにしながら。一歩踏み出せずにいたり、現状に葛藤を抱える人の背中を押せる曲になったと思います!




(vol.2に続く)

お読みいただきありがとうございます。GOODWARPを周りの人にもぜひオススメお願いします!管理人のフェイバリットソングは「直線距離」です!