見出し画像

【イベントレポート】大感激!憧れのあの人と…

どうもグッドウォッチメンズの大ちゃんです。


今回はいつもの映画レビューではなく、先週末イベントに参加していきたので、

そのレポートをさせていただきます。


1月21日、22日に参加しましたイベントとは…


『濱口竜介監督特集』in 高知県立美術館

結局、映画じゃないかよという突っ込みはさておいて、

濱口竜介監督の大ファンを公言(公という単語を使うほど私の存在は世の中へ浸透していませんが)している私としてはこれを逃す手はないと愛媛からはるばる遠征してきたわけです。


この特集上映は濱口竜介監督の過去作品をソフト化されていない作品も含め、

計15本美術館のホールで上映するというもの。

本当は全作品を鑑賞したいところでしたが、そこは社会人の世知辛さ。

平日の上映はなくなく諦めることとしました。

(東北記録映画三部作も観たかった…)


土日の二日間で4時間15分の『親密さ』、5時間17分の『ハッピーアワー』、

アカデミー賞受賞作の『ドライブ・マイ・カー』、商業映画デビュー作の『寝ても覚めても』、ゆくゆく制作されると計画している長編『FLOODS』のパイロット版のような位置づけの『不気味なものの肌に触れる』を鑑賞。


計924分、二日間ほぼずっと濱口作品を鑑賞しているという文字通りハッピーアワーなひとときでした。これだけ長い作品を観ているというのにあっという間に感じられとても充実感を得られるとは本当にすごい作家で、連続して鑑賞することで見えてきたものもあったので後日改めて1作ずつレビューをアップしていこうかと思っています。


えらく情報を小出しにするなと思われたかもしれませんが、

実は映画の上映とともにさらなるビッグイベントが開催されました。




それは、、、、濱口竜介監督のトークショーです!!!!!!


まさかご本人の姿を拝見できる日がこんなに早く来るとは。。

今回の記事はそれに関する出来事を綴っていきます。


実は私、濱口作品好きが高じていまだに毎日SNSで「濱口竜介」とワード検索をしておりまして、その折に特集上映が開催されることはかなり前から認識しておりました。

しかしまさかご本人登壇のトークショーまで開催されるとは…

詳細が発表されてからの1か月はトークショーで質疑応答があった場合は何を質問しようか、ファンレターはお渡しできるのかという妄想に明け暮れる日々でした。


そんな日々を過ごしていたところ、朝日新聞の記事に、濱口監督のお父さんの八十子さんが美術館のスタッフをされているという記事を発見。

おやおや、これはこの方にファンレターをお渡しすれば本人のもとへ確実に届くのではと画策せざるを得ない。

そして、当日その方を発見!緊張の面持ちで手紙を渡す私、意外とすんなり受け取ってくれたスタッフの方。(多分、受け取ったその足で渡しに行ってるっぽい。)



そうか、もう会場入りしているのかと高鳴る鼓動。

何をするにもそわそわしてしまいますが、やるべきことはしっかりやる人間なので、

トークショーの最前列はきちんと確保。



そして、トークショー開演。

うおー、本人だと感激する傍ら、キャリアを着実に整理するかのような内容で

トークショーは進行していきます。

ジョン・カサヴェテス、ダグラス・サークからの影響、高知に来たときの思い出、

ドライブ・マイ・カー撮影時の裏話、代名詞とも言える本読みの演出法などなど和やかな雰囲気でトークは展開されていきますが、舞台袖のスタッフが時間を気にする素振りをしている...。

当日のタイムテーブルは『ドライブ・マイ・カー』と『寝ても覚めても』の上映の間にトークショーがあるという構成。

私もふと時計を見ると、かなり時間が押している...。

前述のスタッフの方がトークショーの進行役を担当していましたが、スタッフから時間の差し迫りを告げられたところ、驚きの表情を浮かべます。

もう、質問をすることは叶わないのかと諦めかけたら、

「寝ても覚めてもの上映時間を遅らせてもいいですか?」という余りにもラフなスタッフさんの問いかけによってトークショーがまさかの延長。

そのまま質疑応答のコーナーに移り、慌てて挙手する私。

自分の腕はここまできれいに真っすぐ伸びるのかと自分でも驚き…。


そして、晴れて指名を受け発言する私。(思わず声が震える)


私「先ほどお手紙を渡したものです。」


濱口監督「ああ。(納得の表情)」



認知されている…!!!



興奮高まるところですが、せっかくのいただいた時間なのでなんとか気持ちを落ち着かせて質問を続けました。


「他者のわからなさというモチーフが頻出するが、それの意図すること。

どうせ他人とは分かり合えないという諦念から映画を作るのか、それとも人とつながり合いたいという思いが強くあるのか」


「回想シーンが少ないが、それの代用として俳優に物語を語らせるというシーンを挿入するのか」


以上の二つを質問いたしました。


一つ目の回答としては、


「他者という言葉からわかるように。他者は自分とは切り離された存在。そもそも分かりようがないもの。そのわからないという認識がないと分かり合えることはまずないと思っている。人生を生きていくうえで他者が描く私像があるとして、それに合わせて生きていく方が楽ではある。ただ、どこかで他者が描く私像と本当の私のギャップが露わになることがある。それがつづくと従来の関係が破局につながることとなる。そうならないために、私があなたが思っている私とは違いますよとどこかで突きつける必要がある。」


映画を超えて、人生観を提示してくれたような…。

ありがたい…。


二つ目の回答、


「回想シーンは基本的には今こういう状況なのは、過去にこういったことがあったからという説明にしかならないので面白くならない。撮影現場では特に‘今‘起こっていることが面白い。回想シーンを撮影していても‘今‘起こっていることの面白さは生まれているのに作劇上それは薄れてしまう。そこで俳優に物語を語らせると、人物の背景を語りながら、今起きている変化を捉えることができる。」


なるほど、、、『ドライブ・マイ・カー』はその最たる例かと思います。


いやー本当にありがたい。

私からの質問に対して、こちらを向いて(最前列に座っていたこともありますが)

目を見て丁寧にお話してくださったことがとても印象的で誠実なお人柄が伝わってきました。もはや全世界から新作を待望されているような存在が私からの問いに対し、私のためだけに答えてくれているようなこの時間が何にも代えがたい貴重すぎるものでした。


上映会終わりにスタッフの方々へお礼とご挨拶に。

短い時間ではありましたが、映画談義に花が咲き、濱口監督は私からの手紙を読んでくれていたとのこと。とても充実した心持で高知を去ることができました。


定期的にこのような特集上映を開催しているみたいです。(素晴らしい取り組み)

本当にこのように素敵なイベントを開催してくださっていくら感謝を伝えても足りません。


濱口竜介監督の今後のご活躍をお祈りするとともに(日・仏共同製作の新作が公開されるという噂も)高知県立美術館の取り組みを応援させていただき、このブログの結びといたします。


本当に楽しかった!!!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?