ひとりで構築を考えるにあたって【採用理由】

1. なんでこの記事書いたの?

所謂「初心者に向けて」といったお題目で流れてくることが多く感じた主張に対して、個人的にちょっと違和感を覚えたためです。

僕がよく見かける主な主張2つを以下に挙げます(特定の誰かの意見を取り上げたものではありません)。

①強い人の構築・立ち回りを模倣する
例)○○さんの構築をレンタルし、生放送でどのように立ち回っているかを調べる
②試合中の選択肢が少ない(=思考量が少ない)構築を使う
例)初手ダイマックスで荒らして、後続の2体で詰める構築から使ってみる

この2つは割と耳にすることが多いと思うのですが、個人的に、どちらの主張も「対象者が独りで思考することを妨げている」ことが気になりました。

勿論、既に結果を叩き出している構築・人があって、それを元手に練習するのは、優れた情報を効率的に吸収する手段の一つだと思いますし、まずは「勝つ実感」を得たいという理由で上級者との差が広がりにくい構築を使ってみる、というのも、ボロボロに負け込んでそのまま辞めてしまうよりかは余程良いです。

そういった点で、これらの主張はこれから拙記事で書き散らすあーだこーだより的確であると思います。


ただ、自分が一番ポケモン楽しく感じる瞬間って、所謂「ぼくのさいきょうのぱーてぃー」を必死に考えている時なんですよね。例えその「ぱーてぃー」が弱かったとしてもまぁまぁ楽しいんですが、偶に「ぱーてぃー」が本当に強いって場合があって、その時がもう最高で。

で、「ぼくのさいきょうのぱーてぃー」を考えるためには、何より独りで思考することが大切になってくるというのが僕の考えです。

他人の思考を取り入れることが大切なのは当然なのですが、初心者に「ぼくのさいきょうのぱーてぃー」を考えてる時の楽しさをミリ単位でも伝えられるような記事を書きたいな、というのがきっかけで今あくせく文を書き散らしています。


2. 本記事で取り上げる内容

構築を組むにあたって最も大切な要素と考えている「採用理由」について、触れていこうと思います。

「採用理由」というのは、「何故そのポケモンをその型で構築に入れたのか?」に対するアンサーです。どの構築の6体も何かしらの「採用理由」があって入っているわけですから、これ無しではそもそも構築を作り始めることすら出来ません。

構築を組むための根幹の要素であるということは、ここの良し悪しで構築の強さが大きく変わってくるということです。


3. 良い例・悪い例から見る「採用理由」

簡潔にですが、以下に「採用理由」の良い例・悪い例を一つずつ挙げます。

【良い例】
エースの竜舞珠ドラパルトを「ステルスロック+欠伸」から展開したかったため、展開補助役としてカバルドンを採用した。
は、採用理由に直結する「ステルスロック」「欠伸」は確定。
次に一致技として「地震」を採用。
最後は、構築単位でエースバーンが重かったため、物理受けを兼任できるように回復技の「怠ける」とした。
調整は、エースバーンをしっかり受けられるようにHB。
持ち物は珠キョダイカキュウを2耐えするために「オボンのみ」にした。
特性は、相手ポケモンの「気合いの襷」を砂ダメージで削って、エースのドラパルトを通しやすくするために「砂起こし」とした。

どうでしょうか。「何故そのポケモンをその型(=技構成・努力値調整・持ち物・特性)で構築に入れたのか?」がはっきりと分かると思います。


次に悪い例です。マジで短いです。

【悪い例】
構築全体でナットレイが重いと感じたので、エースバーンを採用した。

さっきの例と比べると、あまりに情報が少なすぎることが分かると思います。

「例が極端過ぎやしないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自分がポケモン対戦をやり始めた当初、こんな感じで「重いポケモンに強いやつの中で一番強そうなやつを入れておしまい」とすることが多かったため戒めとして挙げてみました。

情報量の少なさも良くないポイントの一つですが、最も悪い点は「ポケモンは1対1で殴り合うゲームではないこと」が呑みこめていないことです。

ナットレイが重いからエースバーンを入れた。持ち物と技は一番個体数が多い珠+フルアタ。これで相手のナットレイを倒そうとした時、相手の裏に【良い例】で挙げた型のカバルドンが居たらどうなるでしょうか。当然、エースバーンはカバルドンに受け切られ、相手のナットレイに火炎ボールは直撃しません。

ここで、「ポケモンは1対1で殴り合うゲームではないこと」を加味した上で、【悪い例】をちょっぴり改善してみます。

【悪い例・改】
構築全体でナットレイが重いと感じたので、エースバーンを採用したい。
しかし、襷や珠を持ったフルアタ構成のエースバーンだと、相手の裏にカバルドンが居た時、受け切られて返り討ちに遭う危険性がある。
そこで、カバルドンを起点に「ビルドアップ」を積むことができれば、「カバルドン+ナットレイ」の並びを倒せるのではないかと考えた。
技構成は、型のベースとなる「ビルドアップ」とナットレイへの打点且つ「キョダイカキュウ」の元になる「火炎ボール」は確定。
残りの2つは、サンダーとダイアタックで撃ち合うための「ギガインパクト」、ドヒドイデで止まらないための「思念の頭突き」とした。
持ち物は、カバルドンの欠伸で眠らないよう「ラムのみ」を持たせた。

ナットレイの裏に居るカバルドンまでまとめて倒せるように「ラムのみ+ビルドアップ」という構成で採用してみました。

「実際にマッチングするような並びを仮想敵と出来ているか?」という意識が、採用理由を考える上で大いに助けになると考えます。


後、ここまで読んでくださった方の中に「カバルドンの特性は、検討するまでもなく「砂起こし」の方が優秀なんだから、「砂の力」まで視野に入れて考察するのはくど過ぎないか?(【良い例】の最終行)」と思われた方がいらっしゃると思います。その通りです。実際、砂の力カバルドン入りの構築なんて3〜4年に1回見かければ良い方です。

ただ、ぱっと思いつくのは「味方の襷を砂ダメで削らない」辺りでしょうか、「砂起こし」には出来なくて「砂の力」にしか出来ないことがあるのも確かです。この構成がメジャーだから、殆ど採用されているところを見たことがないから、でマイナーな要素を切って捨てるのではなく、時折考慮の内に入れてみると新しい発見があるかもしれません。

それに、そういった発見が独自の強い発想に結びついたらきっと楽しいと思います。


<まとめ>

・「ポケモン」「技構成」「努力値調整」「持ち物」「特性」それぞれに理由付けをする

・単体ではなく、実際にマッチングするような並びを仮想敵と出来ているか意識する

・採用率が低い要素についても(時々)検討する



4. 考えたことは文章に起こす

これは主に「自分」にありがちなことなのですが、ちゃんとした理由付けを元に1体1体を採用したつもりでも、いざ構築が完成してから全体を俯瞰してみると、それぞれの役割分担がガタガタということがあります。

このような事態に陥った際、構築を後から修正できるよう、構築を組むに当たっての思考は文章に起こすことをお勧めします。

例えば、サンダーと霊獣ランドロスの対策として特性:トレースのHDポリゴン2を採用した構築が完成したとしましょう。しかし、構築全体を見返してみると、エースバーンと撃ち合うことのできるポケモンが殆ど居なくなっていたことに気づきました。

こう言った時、「HDポリゴン2の採用理由」を見返すことができれば「代わりにサンダーエスバ両方と撃ち合えるドサイドンを採用してみるか?ポリゴン2と違って霊獣ランドには弱めだから他の枠でカバーしないとな......」といった流れに持ち込めるわけです。


まぁ構築作るたびに文章化するのは流石に面倒くさいですけどね。上手く構築組めないな〜ってなった時に書き散らしてみる、程度でも良いと思います。


5. あとがたり

この記事3200字あるらしいです

(ここまで読んで頂きありがとうございました!)

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