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【東京物語】東京うららか

約5年間のアメリカ生活を終えまして

東京での新生活が始まった。

帰国してから

ちょうど1週間くらいだけど

家のセットアップや役所の手続きで

バタバタしているし
(にも拘わらずまだカーテンすらない。笑)

部屋の中はがらんとしてて

床でご飯を食べてる。笑

アメリカでも

その前に赴任してた

日本の少し大きい街でも

生まれ育った町でも

車での生活だったから

何をするにも電車やバスに乗らないといけない

東京での生活に少しカルチャーショックがある。
(チェーンのスーパーに行くのに電車だなんて!帰りどうすんの!)

そしてゴリはパニック症なので

なおさら

これからの不安が拭えなかった。

パニック症の症状が強いときは

家からたった10分の距離の徒歩移動も

不安になったりする。

そんな不安を抱えながらも

始まった東京生活。

けれど始まってみると

外見はボロだけど

意外に静かだった我が家とか

安定に親切なスターバックスの店員さんとか

困っている外国人の方を

助けている方がいたりとか

都会の中でふとした

あたたかさに触れることがあって

そんなあたたかい

春うららかな日々を

これからはのんびり

エッセイみたいに綴っていこうと思う。

アメリカの時のような

派手さはないけれど

自分のペースで歩いていけたらな。


東京で初めて食べたもの

羽田空港に到着したのは

夜21時過ぎ。

着陸のために降下する際に

とても揺れた。

どうやら東京は大雨らしい。

わたしは

「積乱雲にでも当たったかしら」

真ん中の席を取っていたので

雷ピカピカであろう

外の様子をのぞけないのが

悔しいくらいだった。

隣で大の雨男が

神妙な面持ちだ。

夫は揺れが怖いらしい。

知ってはいたけれど

思ったより重症だ。

いや、前の人は座席をつかんでいるので

ゴリが軽症なのかもしれない。

タワーオブテラーごっこをしながら
(怖くてのったことないけど)

無事に羽田空港に着いた。

出発時には

「予定より早く着きます♪」

と意気揚々だったパイロットも

最後のアナウンスは

虫の息だった。

ありがとう、無事につきました。

そして機内から出ると

思ったより到着便が多い。

初めてだったかもしれない。

飛行機が大型なので

荷物もかなり時間がかかった。

イミグレも長蛇の列だ。

それでも空港職員の人は

いつも的確で安心感がある。

我々は引っ越し荷物の税関手続きもあるので
(とても重要)

なんかいろいろ聞かれて

やっと入国できた。

そういえば

今日はマリオの「おかえり」壁画を見てない。

あぁ、あれは成田だったか…?

自分はいまどこにいるんだ?

何日だ?何時だ?

ボケている、完全に。

入国してさらに

引っ越し荷物の手続き

その2が待っている。

夫に任せて
(会社関係はわからないので)

ベンチがないので

少し端の床にボーっと座っていた。

「あ、床ピカピカ…」

ここが空港だと思えないくらい

床がニューメキシコで見た

ホワイトサンズのように光っている。

お掃除の方が

M字開脚みたいな

巨大クイックルワイパーを手に

「すみませーん」と迫ってくる。

すみませんはゴリのほうだ。

すぐによけて

M字開脚のクイックルワイパーを眺めている。

小さいごみは

スタッフの方が手で拾う。

これが空港の床に

「チクフィレ(アメリカのチキン屋)の破片が落ちてない理由だな」

税関の手続きが終わり

今夜のお宿に向かう。

空港からバスに乗った。

夜の11時くらいだったけれど満員・・・!

ある母娘の方が

スーツケースを棚に上げられず

困っていた。

「どうしよう」と娘さんが嘆いていたけれど

周りの男性たちは

手を出す様子はない。

夫よ、出番だ!

「手伝ってさしあげたら?^^」

となぜか貴族のような話し方で

夫にヘルプを促す。

なんだか周りの男の人たちが

悪者みたくなってしまったら

不本意なので

ゴリ的解釈を付け加えると

だんだん日本で過ごすうちに

感じたことは

直接「ヘルプミー!」と言えば

けっこう皆さん親切にしてくださる。

ただアメリカのように

隣の人が急に教えてくれるとか

周りの人が自主的に・・・

みたいなのは少ないかもしれない。

場所が変われば文化も変わる。

ゴリは正直、苦手な行動なのだけれど

こちらから大胆に

助けを求める自主性や勇気も

時には必要なのかもしれないと

個人的に感じてる。

と、こういう視点を持てたのは

海外で過ごす経験ができたことが大きい気がするなぁ。

そんなこんなで

宿から最寄りの場所についた。

本日のお宿はアパホテル。

スマホがまだ使えないので

場所がわからない。

辺りを見渡す。

千鳥の大吾みたいな

強面のお兄さん。

たぶん、客引きだ。

おそるおそる

「すみません、アパホテルは・・・」

と言いかけたところで

「あ!アパね!そこを~~~」

と親切に教えてくれた。

怖かった。

けど、優しかった。

しばらく歩いてホテルに到着。

チェックインをしようとすると

ラブホテルのように

パネル式だった。

この効率の良さに

少なくとも10年前くらいからは

目をつけていた

日本のラブホテルには脱帽だ。

そういわれると

このアパ・・・

シャンデリアがある。

まるで夜のお店のような

煌びやかさだ。

そういうコンセプトなんだろうか。

ふと見ると

「お水無料」と書いてある。

さすが水資源豊富な日本。

すっかり疲れていたので

年甲斐もなく喜んでいると

スタッフの方が出てきた。

「あの、これよかったら」

と差し出されたのは

アパホテルの社長のうまい棒だった。


「え!!すごい!!」

思わず爆笑した。

スタッフの方もなんだか

まんざらでもなさそうに

「ごゆっくり」

アパのうまい棒を

山口百恵ちゃん引退コンサートの

マイクのようにスッと置いて

奥に消えていった。

しかも

たこ焼き味だ!!!!

気が利くじゃないか。

そうしてエレベーターに乗り込むと

田舎から孫を見に来たらしいおじいちゃんと

東京に住んでいるっぽい娘さんが

何やらもめている。

エレベーターは

カードキーをかざさないと

止まらないタイプだった。

娘さんが一生懸命に

カードキーをさすように

レクチャーするが

おじいちゃんは

「さっきはできた!」と言って聞かない。

そんなやり取りを見ていたら

我が家もカードキーをかざす前に

エレベーターが動いてしまい

なぜか全員で娘さんが泊っている階まで

一緒に行った。

全員で「間に合わなかったね」なんて笑いながら

娘さんと可愛い赤ちゃんを見送った。

しかし問題はおじいちゃんだ。

一度みんなで降りて

下の階行きのエレベーターを待つ。

再びエレベーターに乗り込むと

夫がカードをかざす。

おじいちゃんが何もしないので

「カード大丈夫ですか?」と言うと

なぜかニチャァァァと笑うだけ。

そしてゴリたちの階になった。

おじいちゃんが降りようとする。

「あ、同じ階だったのか」と思ったら

すごいドヤ顔で

「な?カードなくてもいけるんやぁ!」

と去っていった。

エレベーターで同じ階の人が

常に同乗している

おじいちゃんの強運に脱帽した。

さて、部屋に入ると

スーツケースも置くのがキツイくらい

ミニマムな部屋だった。

ただ、とても綺麗に清掃されていて

シャワーはミラブルという

女の人が体を張って

バブルの細かさを披露するCMのやつだ。

使ってみたかったので、とても嬉しい。

さてはて

そんなことより

お腹がすいた。

色々食べたいけれど

買いに行くのめんどくさいな・・・

ふと視線を感じる。

というより目が合う。

机の上に転がっている

社長!!!!!!

「これが東京でのファーストバイトか」

社長を一皮むいてみると

内面は普通のうまい棒だった。

「うま。」

やっぱり、うまい棒は美味しい。

社長のうまい棒は

東京で初めての食事にピッタリの逸品だった。

これから東京で

どんなものを食べるんだろう。

どんなものがあるんだろう。

まだここに住むなんて

実感ないな。

変な感じだなぁ。

その日は疲れ果てて

いつの間にか眠りについた。

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