水中撮影ではシャッタースピードを速くした方がいい2つの理由 #5

水中写真を撮影するとき
みなさんはシャッタースピードを
どのくらいに設定してますか?

人それぞれ目指しているレベルも
ダイビングスキルも違うし、
撮りたい写真も違うので
私が言っていることは強制でも
なんでもありません。

ただ、これまで10年もの間
フォト派インストラクターとして
活動してきた経験から、
水中写真を始めたばかりの人は
こういう点を気を付けると
その悩みが解決するよ
ということが伝えたくて
再びnoteを書きます。

今回の内容は、
水中写真を難しくしている2つの原因と
シャッタースピードの関係です。

基本的にシャッタースピードは速い方がいい
と思って説明を書いています。

シャッタースピードを選択するときの
参考にしてみてください。

①青被りを防ぎたい

①シャッタースピードは、例えばまばたきみたいなもの

シャッタースピードを簡単なものに例えるとすると、
それはまばたきです。

シャッターボタンを押したときに、
設定した秒数の間だけ
シャッター幕、つまりまぶたが開きます。

まぶたが開いているときだけ
光が取り込まれるわけです。

まぶたを閉じると
まぶたの裏に
光の跡が浮かびますね。

それが写真です。

暗いところで目を開けてもまぶたのうらには何も映りません。

露出がアンダーな状態です。

強い光を見たらよりはっきりと残像が見えますね。

その光を長い間じっと見ていたら、
まぶしくなって目を開けていられなくなるし
まぶたの裏にはいつまでも残像が残って消えません。

露出オーバー、「白飛び」と言われる状態です。

強い光を見ながら視線をはずせば残像は流れてみえます。

これはうまく利用できれば流し撮りで、
無意識に起こっていたら手振れです。

ここで写真の明るさを決めていたのは
光源の強さと、まぶたを開けている時間です。

水中で使える光源は、
太陽光とストロボとライトの3つです。

水中撮影では、
ストロボとライトの位置と強さ、
そしてまぶたを開けている時間の長さを
みなさんの好きに調整することができます。

②水中で太陽光が当たるところは青色になる

ここで一つ、
思い出してほしいことがあります。

オープンウォーターの教科書にあった
色にはそれぞれ波長があって
水中に入ると赤色から消えていく

というアレです。

陸上で白く見える太陽光は
海の中に入ると青~緑色になります。

深く潜れば潜るほど赤色が失われていくので
人工的な光源を使わずに撮った写真は青くなるわけです。

これを「青被り」と呼びます。

ちょっとだけ難しい言い方をすると、
色は光です。

白色は全色含まれた存在で、すべての色が失われると真っ黒になります。

物体は、白に含まれている波長の中から
特定の波長を反射することによって発色しています。

つまり、そもそも赤色が含まれていない水中の太陽光が
いくら当たってもポストは青なのです。

そこで我々ダイバーはストロボを持ち込んで
赤い物体が反射できる赤色を含んだ白色を
改めて当てているんです。

③水中写真は青色の太陽光vs白色のストロボ

私は常日頃から「水中写真は太陽光との闘いだ」と
口を酸っぱくして言っているのですが、
「青色の太陽光と白色の人工光源の戦いだ」
と言い換えられます。

ストロボの白い光が当たっている場所は
色がちゃんと出るので、
青被りする場所は以下の2つです。

  • ストロボが当たっていないところ

  • ストロボより太陽光が強く当たっているところ

ほとんど同じ意味ですが説明しやすくするために分けました。

ストロボが当たっていないところとは、
岩や隆起した砂といった遮蔽物の影です。

ストロボの光が遮断されると
陰となっているところは太陽光が当たるので青被りします。

つまり、青被りはこの影を消さない限り防げません。

そしてもう一つ、水中写真を難しくしている要因が
ストロボより太陽光が強く当たっているところ
をどうするかということです。

カメラはシャッター幕が開いている間中、
ずっと太陽光を取り込み続けます。

被写体の背景に海を配置することを
「青抜き」と呼びますが、
青色の濃さは
シャッタースピードによって
調整することができます。

この、シャッターが開いている間中、
ずっと太陽光が取り込まれている
という事実、
このことの重要性が多くの方の意識から
外れているんじゃないかなと思うことがあります。

水中では、ストロボが発光したあとに
取り込まれ続ける太陽光が「青」だということです。

せっかく白色が当たったところに青を上塗りすることになります。

ワイド撮影時は最大限に利用させてもらう太陽光ですが、
マクロ撮影時は打ち負かすべき強敵だと
私はとらえているので自ずとシャッタースピードは速くなります。

私と同じように白に魅せられ、
なんか青被りしちゃってやだなーと思っている方は
シャッタースピードを見直すと解決するかもしれません。

②シャッターぶれを防ぎたい

シャッタースピードを遅くすると写真が淡くなります。

淡い写真はかわいいので
撮りたいと思う方も多くいらっしゃると思いますが
特に女性には速いシャッタースピードを強くおすすめします。

それはシャッターぶれを防ぐためです。

昨今の水中カメラはコンバージョンレンズや
大型のストロボ、大容量バッテリーのカメラなど
超重量級化しています。

力のない方はシャッターボタンを押すときに、
カメラが若干沈んでしまんです。

おそらく淡い写真を撮りたい方は
F値を開放気味に設定されている方も多く
もともと太陽光を取り込みやすい状態にあります。

きっとストロボの設定は弱くしているはずなので
ストロボ光によって被写体のブレを抑制したつもりでも、
シャッターボタンを押したときの揺れが影響してしまう可能性が高いです。

カメラの水中バランスを的確に調整するか
しっかりカメラを固定するスキルを養うことで防げますので
淡い写真を撮りたい方は気にしてみてください。

まだご自身が撮影する写真の色味に特別なこだわりがない方は、
シャッタースピードを速くすることをお勧めします。

目安は使っているレンズの数値と同等と言われています。

100mmなら1/100、60mmなら1/60ということです。

ただ、水中マクロ撮影に関していえば、
私は光源をストロボだけに頼りたいと思うことが多いので
速ければ速いほどいいと思っています。

現在、私はcanon 5Dmk4というフルサイズ一眼レフを使っているので
ほぼ1/200以下にすることはありません。

カメラのセンサーサイズによって
レンズの画角も違ってくるので
みなさんがお使いのカメラとレンズに合わせて
おすすめのシャッタースピードの下限が変わります。

遅いことが悪だと言っているわけではありません。

私だって
流れもうねりもない場所で
青抜きしたいなと思うときには
1/80で撮影したりすることだって
もちろんあります。

シャッタースピードが速い方が
写真は撮りやすくなりますよと言っているだけです。

以上のことを理解したうえで、ご自身の撮影を楽しみましょう!

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