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※無料記事※二級建築士学科試験のおすすめ参考書

今回は、学科独学の方に特に読んで頂きたい、市販の二級建築士学科試験用おすすめ参考書についてまとめてみました。

というのも、「おすすめ参考書の情報なんて、ネットに沢山あるだろうな」と思い、幾つかのサイトや動画を見てみたのですが、今一つしっくりこなかったんですよね…沢山スクロールさせる割には特定の会社のものしかなかったり、長時間の動画の割には情報が薄かったり。
(勿論、参考になるものもありますよ~!)

実際に独学を経験した目線で、主だった参考書をレビューしました。
とはいえこの時期。既に買って学習開始されている方が殆どなので、あと一か月早く記事を書けばよかったと思いつつ、まだ学習を始めたばかりで「何かこの本使いにくい」と感じ始めたり、今から巻きで学習される方などに、この記事が届くといいなと思います。

・今回の記事は、法令集は除いています。
・前提として・・・資格学校の通学用のテキスト・問題集のほうが市販のものより優れています。高いお金を出すんですから当然といえば当然です。
でも、二級建築士学科は6割で受かる試験。二級学科は独学で十分、という人向けの記事となります。(現に私はそのタイプでした)



記号の見方
★:おすすめ度
〇:おすすめポイント
△:個人的今一つポイント


テキスト

日建と総合資格は、テキストだけでなく問題集も似たようなまとめ方ですよね。似てるとはいえ違いもあるので、自分に合うほうを選んで頂くといいと思います。


(1)総合資格学院 ポイント整理と確認問題

★★★★★
〇:ザ・王道。出題される範囲はほぼ網羅しているので、本番8割以上をめざす人に向いている
〇:赤シート付2色刷り。赤シートで復習するタイプの人向け。
〇:図や絵は多め。初学者でもそこそこ理解できると思う。
〇:総合資格はテキスト・問題集とも、"小さい版に文字を詰め込んでいる割には意外と読みやすい"のが特徴。書体、空白の使い方とバランスが絶妙なんだと思います。ただ問題集に比べると、総合資格にしては密度高めです。
△:赤字にしてほしいの、ここもなんだよな~という箇所がいくつかありました。でも、そこじゃないよ、という感じではなかったので、自分で濃い青の蛍光ペンで塗って、赤シートで黒く潰すような工夫をすればいいかな。
△:索引はありません


(2)日建学院 要点整理と項目別ポイント問題

★★★★☆
〇:こちらもザ・王道。出題される範囲はほぼ網羅しているので、本番8割以上をめざす人に向いている。
〇:図や絵は多め。総合資格より多いかも。日建学院の特徴は、ステップを踏んで解く問題の解説が丁寧なこと。例えば法規、高さ制限の計算問題。総合資格は絵は1枚で、ステップを全部文章で表現しますが、日建はステップ毎に絵がある、といった感じ。日建のほうが総合資格より本のサイズが大きいのはこの為なのかなと思いました。
〇:ポイント問題は、可能な限り問題と解説が同じ見開きにならないよう配慮してある感じがしました。(左に問題、右に解説だと、解く時解説が目に入ったりしませんか?)
△:文章の読みやすさは、総合資格のほうに軍配が上がります。私が総合資格のテキストに慣れているからかもしれませんが…黒太字、青字、細黒字と色々あり…少し読みにくいと感じました。
△:青黒2色刷り。青字を消すシートは付属していません。市販の青シートで消せるかな?(試した人いたら教えてください)
△:索引はありません


(3)建築資格試験研究会 スタンダード二級建築士

★★★☆☆
〇:この本の特徴は、テキスト+ポイント問題の本と、年度別過去問の本を合体させた内容でありながら、薄くコンパクトにまとまっている、という点です。ただ後述しますが、それはメリットでもありデメリットでもあります…。ある程度勉強経験があり、時間もしくはお金をできるだけかけず、ぎりぎり受かるので構わないから一冊だけを使い倒したい、という人には向いているかなと思います。
〇:2022年版から本文が2色刷りになりました。
 ただ・・・まだ改善の余地があると思います(後述)。
〇:直近三年分過去問と解説が巻末にありますが、問題パート3年分と解説パート3年分がまとまっているので、分冊にして問題と解説が同時に開いて読めます。大手の問題集は年度並び(R5問題R5解説→R4問題R4解説→・・・)なんですよね。
△:いいとこどりニコイチの反面で仕方がないのですが、帯に短し襷に長し感は拭えません。テキストとしても問題集としても物足りなさがあるのです。私は受験時テキストにこれを選びましたが、今だったら別のテキストを選ぶかな。。。
△:せっかくの本文2色刷りなのですが・・・
・手持ちの赤シートでは赤字が消え切らない。うっすら見える。読みやすさの為だけの2色なのかもしれないのですが、赤シートに対応した色をチョイスしてほしかった。
・赤字にする所はそこじゃない感が募ります。受験生がこれ覚えなきゃ、という言葉と数値に色を使ってほしい!
△:索引はありません


(4)コンデックス情報研究所 2級建築士集中テキスト

★★★★☆
〇:コンデックス情報研究所の本の特徴は、割り切りとメリハリかなと思います。たまにしか出題されない内容は載せない、どうせ問題集を別に買うだろうから例題は少しだけ、など。いろんな資格の本を出版している会社なので、使いやすさ見やすさのノウハウがちゃんとあるんだと思います。
〇:赤シート付2色刷り。赤シートで復習するタイプの人向け。赤字にする部分のチョイスは私好みでした。
〇:巻末に索引があります。「この単語載ってたのどこだっけ」という使い方をする人にはおすすめです。
△:情報量は、総合資格、日建学院のテキストより絞っている印象なので、高得点をめざすなら総合資格、日建学院のほうがおすすめです。
△:文字の大きさと余白のバランスは、次に紹介する「スピード攻略」のほうが好みでした。集中テキストの方が文字が大きくてギチギチ感が若干あります。


(5)コンデックス情報研究所 これだけ覚える!2級建築士スピード攻略

★★★★★
〇:こちらは一つ上のテキストより更に割り切って「覚える」ことに振り切ったテキストです。解説はほぼなく、受験生が最低限覚えなきゃいけないことを上手く並べた一冊です。
〇:全体的に見やすいです。
〇:赤シート付2色刷り。赤シートで復習するタイプの人向け。赤字にする部分のチョイスは私好みでした。しかも、見やすくする為の赤(茶)と覚える為の赤をちゃんと使い分けています。
〇:選択肢でよく入れ替えられるパターンに言及しています。たとえば法規の建築工事届。届出先は知事ですが、「特定行政庁に届けるのではない!」という記載まであります。二級建築士の問題は入替えが割とパターン化されているので、地味に感動しました(笑)。効率的に勉強したい人だけでなく、あと数点で合格を逃した経験のある方にもおすすめです。
〇:巻末に索引があります。「この単語載ってたのどこだっけ」という使い方をする人にはおすすめです。
〇:地味に「第2部 頻出項目攻略編」の内容が優秀です。1部と2部を行ったり来たりして読み進めていくと理解が深まります。
△:情報量は、総合資格、日建学院のテキストより絞っていると思います。高得点をめざすなら総合資格、日建学院のほうがおすすめです。
△:解説はほぼないと思っていいです。図や絵が少ないので、「理解」する部分が必要な方は、別のテキストを併用したほうがいいです。
△:せっかくの赤字なんですが、法規は「以上」「を超える」の部分まで赤字にしてほしかった。惜しい。試験問題の面積や高さって、大体オンラインの数字になるんで・・・


(6)建築知識(エクスナレッジ) ラクラク突破の2級建築士スピード学習帳

★★★☆☆
〇:こちらの本は、テキストと"分野別問題集"が一つになった本です。過去問は別の本か試験元のサイトでやってね、という感じでしょうか。
〇:エクスナレッジの特徴は、他の本と比べると写真が多いこと。特に施工など、実物を見たことがなくイメージが掴みにくいという方に向いていると思います。
〇:青を使った2色刷り。
△:受験のためのテキストというよりは、雑誌、辞典寄りの編集です。段組や余白の使い方が雑誌っぽいです。情報を万遍なく伝えるにはいいかと思うのですが、「ここ覚えて!」というメリハリは今一つ。コンデックスが、合格に特化した予備校の先生だとすると、エクスナレッジは知識が豊富な大学教授、みたいな例え。(伝わるかなこのニュアンス)
△:再頻出問題の後ろの方眼、いるかなあ・・・
一級製図のエスキスで、こうした方眼が私は過剰に気になってしまうタイプだと知ったのですが、邪魔でしかないです・・・


(7)神無修二,最端製図.com 二級建築士はじめの一歩

★★★★★
〇:この本は、上記6冊が省いてきた部分に的を絞った本です。タイトルの通り、他社のテキストを読んで「何これ難しくて全然わからない」と挫折しそうな人を救う本なんですね。
〇:手描きテイストの図、女性のつぶやきなど、初学者がとっつきやすいようかなり意識して作られています。
〇:独学で理解できない事があったらyoutubeの動画を検索しがちですが、紙ベースだと手元に形として情報が残ります。(あ、最端製図.comさんも動画は出してます)
〇:初学者がつまづきやすいポイントを熟知している著者が、分からない人の目線までちゃんとおりて言葉を選んでいる印象です。この本で分からなかったら、資格学校の通学をおすすめしたいです。
△:受験範囲全部は網羅していません。たとえば建築作品とか。問題集なり、別の本は必須になります。
△:他のテキストで内容が理解できている人は必要ないかもです。
△:最新の法改正に対応していない可能性があります。(2024年5月に店頭で買ったのが第2版第3冊でしたが、R6年度の内容になってない箇所がありました。)


項目別問題集と年度別問題集(過去7年) 

項目別問題集と年度別問題集、どちらを使えばいい?

両方とも、600~700問の過去問が載っている問題集という点では同じですが、学習スタイルによってどちらにするか選んだ方がいいと感じます。

■項目別問題集の方があっている人
・勉強時間が思うようにとれない人
 例えば施工のコンクリート工事をテキストで学習し、じゃあ問題をやろうとなった時に、年度別の過去問だと各年度から該当問題を「探す」という一手間が加わります。その手間をなくしたのが項目別問題集です。
・テキストでは足りない基本知識を、問題集で補完したい人
 情報量少なめのテキストを使用している人向け、という事です。テキストで範囲の6割がたをカバーし、項目別問題集で2割引き上げるイメージです。項目別問題集の解答解説でカバーしていきます。
・ぎりぎりの点でも受かればいいと割り切っている人
 項目別問題集は、問題が過去問7年の問題集より100問少ないです。これは、出題頻度の低いものを削っているからです。
・4科目通して実践するのはネットで構わないという人
 解説は不要、試験元の問題PDFで十分という方は、項目別の問題集のほうが効率よく勉強できると思います。

■年度別過去問題集の方があっている人
・既受験の人、情報量多めのテキストを使用している人
 基本知識がある程度ある人は、どちらかというと忘れないようにする事がメインの学習になってきます。同じ項目を何日もかけてやるより、いろんな分野を毎日少しずつやったほうがいい、という方にはこちらの方が向いています。
 あと、同じ所をずっとやってると飽きちゃう人も、です。
・出題頻度低めの問題もしっかり学びたい人
 高得点を狙いたい方は、こちらの方があっています。項目別だと掲載されていない問題の解説も、年度別ならちゃんとあります。


ではまず、項目別問題集を見てみましょう。

(8)総合資格学院 厳選問題集500+100

★★★★★
〇:テキストの所でも書いたように、総合資格は「文字数が多い割に解説の文章が読みやすいこと」が優れています。太文字、色文字を極力使わず、正答肢(「誤っているもの」)の誤っている部分にアンダーラインを引く、というシンプルな編集になっています。選択肢のどの部分が正しくないのかが、日建学院よりぱっと目に飛び込んでくると思います。


(9)日建学院 分野別問題集500+100

★★★★★
〇:こちらもテキストの所で書いたように、「ステップごとの解説が丁寧」 なのが特徴です。解き方の手順が不安な方は、日建学院のほうが合うかなと思います。また、総合資格は先に正解番号を載せてから各選択肢の解説が来るのに対し、日建学院は解説が先、最後に正解番号の順です。
〇:地味に優れているのは、問題の上に「R04-01」のような、掲載年度と問題番号がある所。総合資格にはなかったと思います。本番同様4科目通して解く練習に試験元のPDFを使ったりする時、この番号があれば解説を見つけやすいかなと思います。


では次に、年度別過去問題集です。

(10)総合資格 過去問スーパー7

★★★★★
〇:項目別問題集同様、解説文がしっかりしています。
  ちゃんと理屈を理解したい人向けです。
△:1色刷りなので、2色刷りの方が見やすい人は日建学院のほうがいいと思います。


(11)日建学院 過去問題集チャレンジ7

★★★★★
〇:こちらも分野別問題集同様に、解き方が丁寧かなと思います。
〇:2色刷りです。
(個人的には、問題集は1色刷りでもさほど使いにくくなかったです)


(12)コンデックス情報研究所 詳解2級建築士過去7年問題集

★★★★☆
〇:この本は、総合資格、日建学院とは違う特徴があります。一番いいのは解答(解説)のみはずして問題、解説が同時に見開ける所。一冊を行ったり来たりするの、何気に面倒ですよね・・・(ちなみに総合資格の通学用問題集は工作すれば別立てにできます)
〇:総合資格より厚みが薄いです。なので、持ち運びが多い方に向いているかなと思います。
△:厚みが薄いのはなぜかというと、解説がコンパクトだからです。必要最低限と割り切ってます。とりあえず正誤がわかればいい、という人には向いていると思いますが、正しい正答肢もきちんと理解したい、何が間違っているのか理解したい、という方には総合資格か日建学院の問題集をおすすめします。


番外編 暗記といえばこれ

(13)原口秀昭(彰国社)  2級建築士受験スーパー記憶術

私の人生を変えてくれた本です。もし買うなら、2024年5月2日に発売された、「新訂第"2"版」を買って下さい。索引や建築作品が追加されているので、新訂第2版の方が絶対使いやすいです。
この本があれば私のゴロ合わせいらないじゃん、となりそうですが・・・
私のはまた別の切り口で作るんで・・・棲み分けできると思ってます。


まとめ 学習進捗別 おすすめパターン

初学者で、"知る・理解する"を重要視する人向け

・(7)神無修二,最端製図.com 二級建築士はじめの一歩
・(9)日建学院 分野別問題集500+100
これで足りなければ、
・(5)コンデックス情報研究所 これだけ覚える!2級建築士スピード攻略 を追加
知識量としては少なめなので、書き込みして補う感じにはなると思います。
問題を繰り返して丸暗記するというよりは、理解することで解けるようにする、という事を大切にしています。はじめの一歩、本が薄いから不安に思うかもしれませんが、分野別できちんと補えばテキストはこれだけでも最低限どうにかなると思います。

時間が足りない でもなんとか受かりたい人向け

・(5)コンデックス情報研究所 これだけ覚える!2級建築士スピード攻略 
・(8)総合資格学院 厳選問題集500+100
これで足りなければ、
・(13)原口秀昭(彰国社)  2級建築士受験スーパー記憶術 を追加
スピーディーに「覚える」ことを重視した組み合わせです。
テキストはコンパクトに、でも問題集の解説は充実している、というたてつけです。
スーパー記憶術は、ゴロ合わせに目がいきがちですが、実は解説がかなり細かくて丁寧なので、「理解する」部分にも力が入っています。
(全部覚える本というよりは、覚えにくい部分や理解できない部分だけ探して頼る、という使い方を皆さんしているかなと思います。)

じっくりしっかり 確実に1回で受かりたい人向け

(1)総合資格学院 ポイント整理と確認問題
(10)総合資格 過去問スーパー7
結局は安心と信頼の大手が強いです。情報量も十分。
日建学院もよいのですが、テキストに赤シートがついてくる総合資格に軍配を上げました。


いかがだったでしょうか。各社の特徴、良いところがそれぞれありますので、自分が何を重要視するのかよく見極めて、適した参考書を選んで頂ければと思います。

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