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言葉のアップデートについて

言葉について考えている。

僕は自他共に認めるおしゃべりである。放っておいたら、とにかく、たくさん、しゃべる。そして声もでかい。よく人に言われるし、自覚もある。

「おしゃべりがストレス解消になる」という話はよく聞きますが、僕もストレスが掛かると無性に誰かと話したくなって、飲み屋に繰り出ちゃいます。お酒を飲んで話すと悩みはすっかり忘れてグッスリと眠ることができるのです。おしゃべり効果絶大です。

しかし会話というのは楽しい一方、言葉の扱いはとてもデリケートなものです。余計な一言や、言葉のチョイスを間違えてしまうと楽しい雰囲気も、そして人間関係さえも一瞬でぶち壊しにしてしまったりします。僕も今まで何度となく言葉を間違えてしまい、深夜の浴室でシャワーを浴びながらうわぁぁー叫んだことか。

またツイッターとかでも変なリプライを送ってしまい、ギクシャクしてしまったことも何度となくあります。出来ることならタイムマシンに乗って『そのリプはやめておけ!』と全力で止めたいリプはいくつもあります。しかし一度自分から放たれた言葉は当然取り消すことは出来ません。謝ることはできるけどね。。。

会話は楽しいけど、失敗しちゃうこともたくさんあるのです。

人の悩みの9割は人間関係だと言われていますが、対人関係でのトラブルの発端は会話であることがほとんどだと思います。当たり前のことですが、誰かに何かを言わなければ、そもそも問題は起こらないのです。しかし人間は毎日多くの言葉を発しながら、コミュニケーションを取らなくては生きていけません。

女性だと1日平均20,000単語、男性だと7,000単語。毎日これだけ膨大な数の言葉を組み合わせて、考えながらコミュニケーションを取るっているのです。よくよく考えてみるとめちゃくちゃ難解なことをこなしていると思いませんか?

世の中には話すことに苦手意識を持っている人はたくさんいると思います。そりゃそうです。毎日の会話のなかで相手を楽しませながら、イヤな思いをさせないように注意を払い続ける行為、会話。何気ないやり取りでさえ数ある言葉の中から適したワードをチョイスしているのです。性格的に慎重派なら『話さない』という選択するのも賢明な判断かもしれない。まさしく沈黙は金。

しかし社会の中で生きている限りずっと沈黙をしているわけにもいきません。アメリカではご近所さんに積極的に挨拶をして話し掛ける文化があると聞きますが、その真意は隣に住んでいるヤツが銃をブッ放すようなヤバい奴でないか確かめておく必要があるというのです。銃社会に生きている人たちはお互いに『敵意はないですよ〜』とちゃんと伝え合うことによって心理的な安全を守られるのです。

日本は銃社会ではないので、そこまでの危機感はないかもしれませんが、人間関係において相手に『敵意はないです!どうぞよろしくお願いします』と伝える必要性はいつでもあります。安心感を抱いてもらうことによってよりスムーズな人間関係を構築することが出来るし、ひいてはそれが生き易さにも直結するからです。

そして会話のファーストステップが敵意がないことを伝えて安心感を持ってもらうことだとしたら、その次は『好感の持てる会話』を学ぶ必要が出てきます。

言葉の使い方は少しの表現の変えるだけで『たしかにそうかもしれない』と納得感を持ってもらえたりするようになります。そして『もっと聞いてみたい』と前傾姿勢で聞いてもらえるようになるかもしれません。ちょっとした工夫や言葉選びで聞き手の受ける印象がだいぶ変わってくるものです。興味を持ってもらえるというのは友達になれる可能性が生まれたり、仕事がもらえるチャンスに繋がります。しかしその会話の中での『少し』の言い換えが非常に難しかったりもします。

『好感を持てる会話』にはいくつかの要素があります。

『面白く』
『感じよく』
『わかりやすく』
『ユーモラスに』

パッと思いつくのを挙げてみましたが、どの項目もゴールを目指そうと思うと道のりが果てし無いです。

例えば『面白い』と思わせる会話。
これにはそれ相当の長い年月を要します。トライアンドエラーを繰り返しです。そして知識や知見、体験、エピソードを積み重ねていかなければなりません。明日急に面白くなるとかってマジで無理だと思います。それを経て、『面白い』の最上位であり最難関でもある『笑わせる』というレベルがあります。ここを目指そうとするなら、更なる研究が必要になります。まずは面白い人の話を観察して、真似して、実践してみる。はっきり言って最初は全然上手くいきません。僕もオモシロの高みを目指している一人ではありますが、勉強のために吉本興業の小藪さんのトークを本当に毎日熱心に聴いてひとつの結論に辿り着きました。

『到底真似できるようなものではない』

絶望しました。小藪さん、当たり前だけど本当に話が上手すぎる。聞けば聞くほど無駄がなく、完璧。もちろん素人の僕がプロの芸人の方と比較するつもりはないんです。しかし憧れはあるので特訓はしてます。

努力、友情、勝利、みたいなテンションで笑いについて書いていますが、生まれながら笑いの才能に恵まれていない人がこの世の中のほとんどだと思うので、その一人として、人を笑わせるためにはどうすべきなのか凡人の努力を赤裸々に綴っております。

あと余談ですが、笑いの修行していて難しいと感じるのは、笑わせようと強く思えば思うほどスベるように出来ている『笑いの構造』です。どうすりゃいいのよって話です。笑えるトークって話し手の安心感と安定感がないとヒヤヒヤして聞いていられないんですよね。僕はあと何回、脇汗が吹き出そうになるようなスベリを経験して、心臓に毛を生やすトレーニングも積まなければならないのでしょうか?これらの細かい特訓方法に関してはまだまだ研究中なので何か発見があったら報告します。

笑いの他にも『感じよく』『わかりやすく』『ユーモラスに』といくつかの要素を挙げてみたが、話すとキリがないのでそれはまた別の機会に書くとして、『好感の持てる会話』のこれらの要素が絡み合って完成するわけですが、その難易度がどのくらい高いものなのか再認識していただけたと思う。

『言葉』『会話』についてここまで書くと、世の中でコミュニケーションを武器にしている人たちが、どれだけすごいかを改めて感じさせられる。テレビなど話芸を披露する人たちはマジですごいと思う。しかし諦めてはいけない。正しい努力と練習を繰り返せば、上達するものだと僕は信じています。

多くの人がコミュニケーションの難しさについては課題に感じていると思います。その証拠に本屋さんに行けば会話術の本が平積みされているし、新しい会話術の本がもしかしたら会話というのは一人で生きていくことの出来ない人間にとっては普遍的な悩みなのかもしれません。

今回、小竹広海さんの【言葉のアップデート術】を読んで言葉について改めて考えてみました。前述した会話の難しさには色んな要素が含まれますが、本著には会話の『言い換え』という更なるハイレベルなことが書かれています。言い換えにもいろんな要素がありますが、

【ボキャブラリー】
【言葉のチョイス】
【会話の構成】

これらを要素を体得して組み合わせをマスターすれば、相手に対して反対意見を感じよく伝えることや、仕事のプレゼンなどで相手を納得させなくちゃいけないシーンなど、会話術の中でもかなり難しい状況に対応出来るようになります。議論や提案などのレベルになると小手先の会話テクニックでは通用しません。普段から思考のレッスンしながら、変わりゆく世相や時勢の流れを敏感にキャッチして学んび、考え方をアップデートしていく必要があります。
良くも悪くもの話ですが、言葉には自分が思っている以上に思想や考え方が滲み出てしまうのです。なので表面的なテクニックでは誤魔化しが効かないのです。

もちろん自分の中の信念とか真心の部分は変える必要なないと思います。自分のブレない主柱はしっかりと持ちつつ、しかし言葉として自分の外に出す時には世の中とのチューニングは必要になってくるわけです。そのチューニングのときに必要になってくるのが言葉のアップデートなのだと思うのです。

ダイバーシティという言葉が世の中に拡がりつつありますが、世の中にはたくさんの違う意見と信念を持っている人たちいます。人は誰でもその時々でマイノリティにもマジョリティにも立場が変わっていきますが無自覚、無意識に生きているとマジョリティの立場で相手を傷付けるようなコミュニケーションを取ってしまいかねません。

誰だって人を傷付けるつもりでコミュニケーションを取ろうとは思いません。いつでもトラブルが起こるときは無意識、無自覚に間違いを犯してしまうのです。

だから理解しようとする気持ちと自分の認識のアップデートを続けることと、どう言葉の工夫をすればお互いに気持ちの良いコミュニケーションを取れるのか努力をしていく必要があるのです。

好感度を高める話し方も大切ですけど、それ以上に自分の意見と考えをしっかりと持ち、対話の中では柔軟性を忘れずに、意見の違いがあったとしても理解しようという姿勢で相手と気持ちの良いコミュニケーションができるようになればより良い会話が出来るようになると思います。そして会話を恐れずに、言葉と向かい合っていけば、出てくる言葉にも変化が出てくると思うのです。

何度も失敗を経験して『もう絶対喋らないぞ!』と砂を噛みながら苦々しく決意をした夜がいくつもありました。しかし今日も話し続けています。誰かを傷付けてしまうかもしれないと怖くも思いますが、それでも僕はより良い会話と言葉を模索していきたいです。

そして5月28日に【言葉のアップデート術】の刊行イベントを青山ブックセンターでやります。著者の小竹海広さんと一緒に言葉のアップデートについてお話しをします。まだ空席があるので是非聞きに来てください。

5月28日 (土) 14時~ 青山ブックセンター

『言葉のアップデート術』刊行記念

小竹海広さん×5歳さんトークイベント 

これからの「言葉」の話をしよう





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