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南の涯にて

日本の南、島かもしれない。
とある海沿いの町、旅館などもある結構大きな町、今晩はここで寝ることにした。

宿が混んでいるようで、受付の順番を、車に乗って待つ。
やがて後ろからまぶしいヘッドライトを点けた車がやって来る。
狭い道なので、前へ進んで、大きなホテルの前が広かったので、そこで車をやり過ごす。

車を転回させて、元の方へ戻る。
宿のある右側は、奥は鬱蒼とした森。
大きな神社の境内のようだ。

進んで行くと、右側の森が途切れ、人が入っていける入口があった。その先は玉砂利が敷いてある。
奥は結構広いようで、薄暗くてよく分からなかったが、コンクリート製の白い像などがあるようだった。

前方は、海のようだ。

左側は、墓地のようだ。墓石があり、花が活けてある。

その墓地の奥に、立派なお堂がある。
お堂には大きなガラスがはめ込まれていて、中の様子はよく分かるが、中に入ることは出来ない。

お堂の中は、蛍光灯が煌々と点いている。近付いて中をよく見れば、畳の上に、漆塗りの豪華な寝台があって、誰か和服を着た人間が横たわっている。顔が横を向いている。

ガラス越しに見物している客が多数いる。それをかき分けて回り込んで、別の側からよく見れば、何とその顔は西郷隆盛。これは西郷隆盛の遺体らしい。

こんなところに遺体が保管されていたのかと、しげしげと眺めていたら、ガラス張りのお堂の中に、どこからか多数の人が入って来ていた。

白装束に身を包んだ人も多い。やがてその中の一人、頭から白装束を被った女性が、装束の前をはだけて裸になり、西郷隆盛の遺体に跨る。そして何と、遺体と交接しはじめた。

あまりの出来事に呆然としたが、はっと我に返って、スマホで撮影しようと思い立つ。そしていざ撮影しようとシャッターを押した時、フラッシュがオンになっていることに気付いた。

これはまずい、儀式の邪魔になる。そう思って慌てて瞬時にカメラを下に向けた。フラッシュは地面に向かって放たれて事なきを得る。

見物客の何人かがこちらを見たので、
「ははは……すいません」
などと笑って誤魔化した。

儀式は続いているので、改めて写真を撮影した。女性が激しく動き、はだけた白装束が、マントのように翻っている。

やがて儀式が終わり、目の前に白や青の大量の布団が雪崩を打つように積まれた。
お堂のガラスの下半分が開いて、お堂の中から外に押し出したらしい。

この布団が視界を塞いで、もうお堂の中は見えない。
ここで、沖縄名物の冷やしぜんざいを食べながら、儀式を撮影した写真を見て見たが、何故かデータは全て青黒いCGになっていて、一つも上手く撮れていなかった。

まあ、本来撮影するようなものでもないし、いいだろう、と諦めた。冷やしぜんざいが甘く冷たく、快かった。

写真は、鹿児島県南部、沖永良部島の南洲神社に立つ、西郷隆盛の像である。

西郷隆盛が流刑、幽閉されたものの、島民が手厚く迎え、西郷隆盛も島民らに学問を教えた、ゆかりの深い島である。ここでは、西郷隆盛は神として祀られている。

同時に、江戸時代以前は琉球王国の版図であり、琉球文化の濃いところでもある。

今回の夢から覚めて沖永良部島を思い出したので、ヘッダー画像として使用。
なお、沖永良部島の名誉の為に言っておくと、別に西郷隆盛の遺体をミイラにして保存している訳でもなく、このような淫靡な儀式もない。

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