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「場の安全性」と「異業種交流会」

昔、最初の起業に失敗したころに、異業種交流会みたいなのに参加したことがありました。

名刺交換をして、どんな仕事をしているかみたいな話をして、「何かコラボできたらいいですね」みたいな、本気にもなれない期待だけぺろっと吐いてお腹もふくれず酔いもせず帰るみたいなことになって全然楽しくなかったんです。

その後、定型文のようなメールが1度だけ届いたり、何かの勧誘メールが届いたりして、あとは何も残らないのに嫌気がさしました。

まあ、覚えてもらえるようなキャラでも事業内容でもなかったから、起業には順調に失敗するわ異業種交流会もつまらなくなるわで、二度と行かなくなったし、たぶんこれからも「異業種交流会」と銘打った集まりには行かない。

ただ、なんか知らんけど話し振りが業界を背負い、業界を代表して語るような人が多く、それから自分の事業をPRしてくる、そんな話ぶりの人が多かった気がしたのですが、完全にぼくの偏見です。

とはいえ、端的に言うとサービス内容のPR合戦。このサービスと組めませんか?このサービスがないとあなた困りますよ?みたいなトーク。初対面の人を信頼してサービス内容を信頼して一緒に何かしようと思うにはなかなかのハードルの高さだ。

「異業種交流会」なる場のぼくの解釈でいくと、もう行きたいという気持ちは涌かなくなりました。


ただ、一度だけ「ああ、これこそ異業種交流会だな」って思った集まりがあって、これならまたやりたい!と思っています。

やりたい!と言っているのはぼくが企画した集まりだったから。


ぼくは日本酒が好きで何度か「日本酒の会」という集まりを開いたことがある。ぼくの知り合いや、知り合いの知り合いで集まりました。キーとなる人物がいる場づくりをしたわけです。

飲むのは日本酒だけ。あとは、自分たちで何か1品持ち寄って、ただただ飲んで喋るつもりの場でした。

キーになる人物以外はお互いに全然知らない初めての人の対面も結構ある場になっていて、最初は会場周辺の話や、その日のお酒の話、たわいもない話が飛び交っていたのに、どこのタイミングからか、自分の仕事内容の話が出始めたんです。

業界の話を食い入るように尋ねあってたり、中には役者さんもいて「応援します!」とか、もう話の集まりの小集団がアメーバのように、話の輪がいろんなところに動いたり集まったりばらけたりしてました。みんな楽しそうに普段の話や仕事の話をして、中には名刺交換をしてる人もでていました。そんな時間は設けてなかったのにね。

それを感じて「ああ、これこそ異業種交流会だな」って思ったわけです。


たぶんこういうことかと。この2つの場の違いは、そこに「場の安全性」があったかどうか。

 ・自分の言葉で心おきなく話せる場

 ・フラットな関係性

 ・そこにいていいという安心感


場の真ん中にあったのは美味しい日本酒。業界も事業のサービス内容も背負わず、素直に自分という人間を出し、人としての関係性を築くことによって「この人の話なら聞いても面白そう」ということになったんじゃないかなと。

キャンプファイヤーなんかで、火を囲んでると何だかいろんなことを話すとか言われている例のあれに似ているんじゃないでしょうか。


話の真ん中に置くのは仕事やサービス内容でない方が、人としての関係性を築きやすく、それからの方が伝えたいことは聞いてもらえると思うんだけど、どう思います?

人によって安全性を感じる程度は違うだろうけど、場の安全性まで気が回っていなくて、意見交換の機会を促している会場って、正直ぼくはしんどい。


あの「日本酒の会」の経験から、場の真ん中に何をおいてどんなグランドルールを作ったら話が促進するかなって考えるようになりました。


最後に、なんか思いついたので。

場の安全性を大事にするファシリテーター、進行を重要視する仕切りテーター。

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