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『きらめき』

賑わう週末の街角。
ダンディな男と、花束を抱えた女が、名残り惜しそうに言葉を交わす。

女「今日は色々本当にありがとう。とても楽しかったわ!本当にありがとう。」

男「いやいや。君が喜んでくれるのが一番だからネ!また来週も会ってくれるかな?」

女「もちろん!!また来週も会いましょうね!私、観たい映画があるのよ!!」

男「よし!じゃ、来週は映画デートに決定だ!今から楽しみだよ!!」

女「じゃ、また来週ね。」

男「うん。また来週。」

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殺風景な部屋を背景にして、モニターに映る女。それと男。
リモートアプリを使っての会議の有用性は疑う必要が無い程だ。ストレートな二人の物言いを聞けば、更に納得が行くだろう。


女②「今日は花束をありがとう!さっき私のところに届いたわ。」

男②「いやいや、お礼なんて大丈夫だよ!
あの二人の模範的な付き合い方の賜物さ。」

女②「今まではデート代行人にお願いしてきたけど、そろそろ私達も直接会いたいわね」

男②「そうだね!!来週は直接会おう!!代行人の二人には本当に感謝するばかりだ。僕達の距離をこんなに縮めてくれたんだからね。」


女②「来週は直接お会いしましょうね!私、観たい映画があるのよ!!」

男②「よし!じゃ、来週は映画デートに決定だ!今から楽しみだよ!!」


女②「じゃ、また来週ね。」

男②「うん。また来週。」


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殺風景な部屋を背景にして、モニターに映る女。それと男。
を、各自のモニターにより観察している男女二人。
勿論、リモート会議用のソフトを稼働させてのモニタリングだ。
今期のモニタリングのテーマは、ズバリ『心のきらめき』。

男女の付き合いから生まれる『ワクワクする気持ち』を『心のきらめき』とし、どういったタイミング、かつタイム感を生み出すのか・・・実に興味深いものだ。


男③「おっ?!遂に男が女をデートに誘ったぞ!」

女③「今日は記念すべき日だわ!!間違い無く二人の間に『心のきらめき』が生まれたのよ!!」

男③「いいデータが取れて本当に良かった!今日は何てスペシャルな日なんだろう!!!いよいよ、この二人のモニタリングもクライマックスに突入だな!!」

女③「この後の二人の動向が凄く気になるわ!!更なるモニタリングを継続すべきね!!」


男③「そうだね!!事細かくモニタリングを継続しよう!!
・・・ところで今度、一緒に映画を観に行かないかい?
なんか、僕の『心のきらめき』が止まらなくて!」


女③「あ。結構です。貴方に全く興味が無いんで。」


男③「・・・・・・・・・・


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『きらめき』野口五郎 

作詞・山上路夫

作曲・筒美京平

筒美京平先生のスウィートメロウ・ナンバーを、野口五郎さんが素敵な歌声で歌い上げて下さいます♫




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