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二人展書下ろし短歌「ステージの下から四首」紹介

ここまでの顛末について

4/4(日)から西院夕方カフェにて開催していた、絵と短歌の二人展「陸離たる日々」ですが、感染防止対策で会場が臨時休業になり、二人展は西院のライブハウスである和音堂さんに一時お引越ししております。ライブもBAR営業もできないなか、夕方カフェに戻れる日までギャラリーとして営業していただけることになりました。
5/1(土)も当初の予定通り、感染症対策下で在廊いたしますので、ご無理のない範囲でお立ち寄りいただけると幸いです(この日だけ早めの13時から開けていただけることになりました。作家二人ともオープンから在廊いたします ※酒類提供はございません)。
また、こんな状況でも逆手にとってというわけではありませんが、作家二人とも和音堂搬入のタイミングで展示替えもしております。場所が変われば思うところもあり、また応援してくださる周りの方々のおかげでこうやって創作活動ができることに感謝しております。

ここから先は歌集に所収されていない何点かの書下ろし作品「ステージの下から」について少し解説します。

書下ろし短歌「ステージの下から」について

夕方カフェで展示ができることになって、そこで出会ったアーティストの音楽ユニットやその楽曲について、ステージの下から眼差し続けた憧れを短い歌に乗せて会場に飾りたいと思いました。展示をライブハウスである和音堂に移動したときにも、もちろん連れていきました。
ここでアーティストの紹介を交えながら、簡単な解説をしようと思います。

「やわらかい羽音の記憶祝福の声と六弦の律は歇まない」(Pigeon
塚本邦雄の「夏至の夜の孔雀瞑れる孔雀園くれなゐの音楽は歇みたり」に出会ったときの感銘と、反発心をもってオマージュしています。Vo.ハカマダユウキ、Gu.ぶちころりによるデュオ・Pigeonは、今は活動休止中ですが、もう一度二人の音楽、ハカマダちゃんの天使のような歌声と、ぶっちさんの超絶技巧のギターを聴ける日を願っています。

「光差す雨上がりの最後の雫波紋の歌は岸辺の君へ」(はもンズ
この作品は最初に考えていたものから大幅に推敲した思い出が。最終的にとても納得のいく形になりました。はもンズはVo.Shogun、Gu.鈴木克行によるデュオ。ライブのレアな二人ですが、去年の11月に初めての音源「raindrop」が発売されました。二人らしさが存分に表現されたこの世界観が、波紋のようにまだ見ぬ人たちまで広がっていけばいいな、と。

「新波立ち対の六弦琴響く転び進める音の良き哉」(ZKYKZ
ZKYKZ(ズキカジ)はカジワラアキヒロzky(鈴木克行)によるギターデュオ。インストデュオですが、ギター2本が複雑に絡み合う多彩な楽曲を聴いていると、こちらの創作意欲まで刺激されるよう。短歌は代表作「新波進転」を詠み込みました。「節目を迎えるときにきっといい方向に転がる」というイメージでいつかの年始から演奏されはじめた曲ということもあり、縁起もので有名な古い回文歌「長き世の遠の眠りの皆目覚め波乗り船の音の良き哉」を意識しています。
コロナ下で途切れる月もありましたが、彼らはかれこれ4年以上夕方カフェでマンスリーライブを開催しています(今月は配信に変更になりました)。最近は、逆境を切り抜ける願いを込めたMCとともにこの曲で締めてくれるのが恒例になっていて、毎月飽きもせず聴いている中でこの短歌が生まれたのでした。

「雨支度雲の向こうに七色の橋を悟って桃始笑」(ZKYKZYS)
ZKYKZYS(ズキカジヤス)はZKYKZにフルート安田直弘を加えたユニット。先日のZKYKZマンスリーでリリースされたセルフレコーディング音源「ZKYKZYS」に入っている「雨支度 -Amajitaku-」を聴いて詠みました。この曲はもともと安田くんの書いていた曲ですが、ZKYKZYSで演奏されるようになり、そこにはもンズのShogunが歌詞をつけたものが今回レコーディングされました。歌詞にはわたしたちが愛してやまない、一人の小さな子どもが歌われているとのこと。「桃始笑」は七十二候で「ももはじめてさく」と読み、その美しい子どもがこの世に誕生した季節と、周りを癒すその子の笑顔を詠み込んでいます。
※こちらは5/1から和音堂に展示します。

本当は今月の夕方カフェでのZKYKZマンスリーでZKYKZYSとはもンズが、そしてハカマダちゃんも企画をしてくれていたので、展示と併せてライブを観に来ていただけるはずだったのですが、残念ながらどちらも配信に切り替わっての開催となりました(それぞれのアーティストのアカウントにアーカイブが残されていると思います)。
また理想的なかたちでお目にかかれる日が来ることを願いながら、いつも元気づけてくれる彼らの音楽をお守りに、これからも創作活動を続けていきたいと思っています。

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