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次期日銀総裁候補と注目ポイント

今年の4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田総裁の後任人事が注目を集めています
10日にも日銀総裁および副総裁の人事案が国会に提出される見通しとなっており為替・株の動きに大きな影響を与えるとみられています
日銀は長期に渡って大規模な金融緩和政策を取ってきましたが、グローバルなインフレや金利上昇圧力から政策の一部であるイールドカーブコントロール(以下YCC)の上限を引き上げるなど、政策に変化が出てきました

今後、日銀は金融緩和政策を転換されるのではという憶測も出ており、いずれ訪れる出口戦略について手掛かりとなる総裁の後任人事の選出は目が離せません

ここでは後任人事の主な候補者と、注目されるポイントについて解説したいと思います

【候補者①】
雨宮正佳 氏
東京大学経済学部卒
現日銀副総裁で、2018年3月より黒田総裁と共に大規模な金融緩和政策を実施してきた
昨年7月には出口戦略について「考えてないわけではない」と発言
しかしながら長年デフレ脱却と金融緩和政策を推進してきた雨宮氏が総裁に選出された場合は、YCCやマイナス金利政策長期化の長期化を市場が推察する可能性がある
そうなれば円安株高の構図になりやすい

【候補者②】
中曽宏 氏
東京大学経済学部卒
前日銀副総裁で、2013年から2018年まで担当していた
現在は大和総研理事長を務めている
リーマンショック時は金融市場局長として危機管理に対応しており、日銀内では国際派として知られる
一度日銀を離れている立場のため、総裁に選ばれた際には金融政策の変更にメスを入れやすいとも言われ、同氏が選出された場合は円高株安に振れやすいとの予想がされている

【候補者③】
山口広秀 氏
東京大学経済学部卒
元日銀副総裁で2008年から2013年まで担当
現在はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の経営委員長を務める
副総裁時代は当時の白川総裁の下で政府・日銀の共同声明の策定に関わっている
昨年12月のロイターのインタビューではインフレの過度な高まりを防ぐために、日銀はYYCの修正を検討する可能性があると発言している
そのため同氏が選ばれた場合は最もタカ派な印象を市場に与えると言われており、円高株安の反応が大きく出やすいと予想されている

【候補者④】
浅川雅嗣 氏
東京大学経済学部卒
元財務官で、現アジア開発銀行(ADB)総裁
国内外の経済や金融に精通し、自民党の麻生太郎氏の信頼も厚いとされている
副総裁の候補としても名前が上がっています
上記候補者と比べると、黒田総裁と同じく財務官を経て、アジア開発銀行総裁からの選出となるため、同じキャリアからの選出はないのではないかと予想されており、確率は低そうです


【bloombergが予想する候補者のスタンス】

決定迫るポスト黒田人事、日銀出身の雨宮・中曽両氏が引き続き有力 Bloomberg

【注目のポイント】
岸田首相は2月中に日銀の総裁および副総裁2名の人事案を国会に提示することを明らかにしており、10日にも提示されるとみられている
世界的なインフレの高まりから、日本においても物価は上昇しており、海外投資家からの国債の売り圧力も大きくなっている
日銀は12月の政策決定会合で長期金利の変動幅を0.25%から0.5%へ拡大した
市場はついに日銀が政策転換へ動き出したと注目した
しかしながら1月の会合では政策を原則現状維持とし、黒田総裁はYCCについて「存続可能」であることと、変動幅の再拡大は「必要ない」と発言した
政策転換という大きなトレンドを狙う投資家は年初から大きな火傷を強いられる結果となったが、まだまだ日銀の政策転換に賭ける投資家は多い

欧米の金融政策は金利の先行きが明確に見通せない状況が続いており、景気の減速がどの程度なのかも不透明なまま
もし日銀が政策転換をするのであれば、投資先として最もストーリーのハッキリするイベントとなるため世界中の投資家が注目している


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