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ドサクサ日記 10/9-15 2023

9日。
食品に含有されるプリン体の量をまとめた資料を読むと、鶏のレバーの数値が高いことに気がつく。これは要注意だなと思っていると「焼き鳥屋に行けへんか」と誘われる。焼き鳥は好物なので断る理由がない。半個室みたいなところで葱間やら笹身やらをハモハモと頬張る。美味しそうな筆字で書かれた「肝」という文字が目に入る。隣には「背肝」とある。むちゃくちゃ食べたい。けれども我慢した。

10日。
ミキシング作業。そして、16日に札幌のカウンターアクションで行うアコースティックライブの練習を行う。サカナクションの「忘れられないの」をひとまず練習。Aメロの半音ずつ降りていくコード進行が素敵だと思う。サビは血管が破裂しそうになるほど高い。原曲通りだと喉から血を噴いて死んでしまうので、1音半低いキーで歌う。それでも高い。恐ろしいことだ。名曲には名曲ゆえの苦労がある。

11日。
静岡で打ち合わせ。昨年から何度も足を運んでいる静岡。捨てる神あれば拾う神あり。石の蔵は驚くほどあっさりと更地になって跡形もないけれど、一緒にいろいろなことを考えてくれる仲間が見つかった。とはいえ、やりたいことはなかなか大きなプロジェクトなので、ここからが肝腎だと思う。音楽から得た一切合切を、ちゃんと街や人や社会や文化に返すようなことを始めようと思っている。

12日。
LINKのアルバムのマスタリングが完了。12年ぶりのアルバム。制作に1年半もかかったけれど、録音した曲を並べてみると33分強。この33分のために費やした時間や情熱やその他諸々の全てが愛おしいと思う。感想を述べるのも、批評めいた言葉を書きつけるのも簡単だろうし、表現者はそうした言葉のすべてを受け入れるしかないのだけれど、どんな言葉でも、多額の金銭をもってしても、この33分の魂の震えを傷つけることはできないと思う。作業が終わって、誇らしい気持ちでいっぱいだった。プロとか趣味だとか、音楽やアートはそういうステレオタイプな分類では峻別できない。働きながらでも素晴らしい音楽はできるし、むしろそれで食べていないからこそ収録できる、想像できる、美しい瞬間がある。君がそれを金で誰かに売らないなら、好きなことをやるだろう。パンクロックは手段じゃない。人生だ。

13日。
スタジオで作業諸々。季節の変わり目は身体がキツい。気管支があまりよくないので、うっかりすると咳喘息みたいな状況になってしまう。予防的な薬は持っているけれど、そこそこに強い薬剤なので、これを恒常的に使うのは問題があるよなと思う。しかしながら、呼吸器の健康なくしては成り立たない仕事なので悩ましい。もっとも、薬で抑え込まれている炎症を健康と呼んでいいのかという問いもある。

14日。
原稿を書いたり、散歩をしたりする。秋になるとそこらで子供たちの体育祭が行われている。海外には運動会という文化がないらしいという話を聞いたことがある。みんなで協力して催し物を作ることには、一定の意味があるんだろうけれども、勝ち負けみたいなところに妙にこだわったり、自分の運動神経の未発達ぶりについて変に凹んだり何かを呪ったりしないでほしいなと思う。楽しくやってーって感じ。

15日。
札幌公演。NOT WONKはとても格好よかった。轟音のところもありながら、むちゃくちゃ静かなところもある。MIDIなんかで曲を作っていると、うっかり全部の音が同じ強さになってしまう。しかし、強弱こそが音楽の肝であると思う。そういうことを高い感度で感じ合っていて、羨ましいなと思う。アジカンのライブはとにかく爆発という感じで楽しくやった。今週はハードだが、倒れずに完走したい。