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レコード徒然物語・その7

僕がレコードを買い始めたのは、大学入ってアルバイトしてコンポを買ってからだから1974年の夏からだ。

初めて買ったLPは”Beatles No.5”。これには深い訳があるが、それはまたの機会に譲るとして、何を言いたいか、と言うと、まずは近所のレコード店に初めて足を踏み入れて、お目当てのレコードを探して、ついに買うと言う、誰もが初心者の時に体験したウブな勇気ある行動を覚えていると思う。そして経験を積んで、相当場数を踏んで、店員や店長と知り合いになっても彼らとなんとか渡り合えるくらいに鍛えられると、あたかも友達ん家にでも行くような気安さと馴れ馴れしさで店のドアを開けるようになったと言う進化を辿ってるんじゃないか、と思う。

自分が住んでいる町のレコード屋さんから始まって、ロック雑誌に載っている新宿や渋谷のレコード店へと行動範囲を広げる。なになに、輸入盤てのがあるの?えーっ、こんない安いんだ!でも新宿か。行ってみるか!なんて感じで埼玉県人な僕は、メッカに進出するのである。

輸入盤を買うこと自体、かなりの通である。訳詞どころか、歌詞自体どこにも印刷がないなんて当たり前で、日本語の丁寧な解説やライナーノーツなんてない。まさに裸一貫、荒海に飛び込むようなものだ。でも、慣れてくると、それが普通になり、丁寧な日本盤は逆に偽物ぽく感じられてしまうと言う思い上がったヤツになる(苦笑)。困ったモノだ。

そんな思い上がったヤツに持って来いの状況が到来したのが1981年、渋谷にタワーレコードが開店したのだ。

初めて店に入った時のことは流石に覚えてないが、スーパーマーケットみたいなスケールのデカさと品揃え、まさに国内で体験するアメリカだ。小売店と違って、店長に見られている訳でもないし、買わないで出て来ても後ろめたさは皆無だ。しかも、安い。仕事の帰り、週末を問わず通ったものだ。

そして、海外出張するようになると出張先の町のレコード屋に行くようになった。オーディオ関係の仕事だったから、現地の同僚も音楽好きで、仕事の合間に連れてってくれる。1980年には初めての海外旅行をロンドンでキメていたので海外のレコード屋体験は初めてではなかったが、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、アメリカそして住んでいたベルギーと随分廻ったものだ。

量販店で言えば、ドイツはケルンのSaturn、フランスはパリのfnac、勿論、ロンドンのHMVにVirgin mega store、Towerなどがワクワクしたが、やはりとどめはハリウッドのAmoebaだろう。初めて連れてって貰った時は、その体育館みたいなデカさと品揃えのパラダイス感に圧倒されたものだ。

続く

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