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ウェブ解析を巡る連想 Vol.2  ~  PDCAサイクル というお話し

今回はウェブ解析の方法論について書き出してみたいと思う。

Google Analyticsの使い方はひととり覚えたけど、さて実際に何をどのように分析評価していけばいいのか。最初に行うべき簡単な集計は、自社ホームページの基本指標を取得する。おもな基本指標は、アクセス指数(セッション数、UU数、PV数、新規数)と、閲覧/回遊指数(訪問頻度/平均PV数/平均滞在時間/直帰率)。これらを月次や週次の時系列に見ていくだけでも、えっ、どうしてこうなるの?と疑問に感じるところが少なからず出てくるはすだ。そこを突っ込んで深堀して要因を探していけばいい。言うなれば、探偵小説における「事件」を自分でみつけ、手掛かりと仮説から自らが探偵となり解決していく。これがウェブアナリストの醍醐味であり、そこに面白さをみつけられれば成長は早い。

でも次第に、費用をかけて一生懸命更新しているホームページが、たくさんのユーザーに来てもらって多くのページを何度も長く見てもらってるようです、めでたしめでたし、本当にそれだけでいいの?と感じ始めるだろう。もしこのように、ウェブ解析の有用性を感じながらもどうしたらよいか迷ったなら、前提が間違っている可能性がある。しかし、責任はあなた個人にではなく、ホームページを担当する部署にあり、それを統括しているマーケティング部門にある。なぜならそこに、検証に値する明解な戦略/戦術がないからだ。

PDCAはよく知られているが、このサイクルをうまく回せないという声をよく聞く。しかし、四角四面に考える必要はない。計画(PLAN)し、実践(DO)し、検証(CHECK)しない施策なんてない。成果を夢見て予算を計上する企画書と結果を記録する報告書がない施策は、上司の印をもらえないだろう。あとは改善(ACTION)だが、上記の時系列で基本指標を見るだけの単純な例でいえば、課題を見つけてそれに対応する段階であり、例えばリピーターが再訪しなくなっている傾向が顕著なら、コンテンツの更新頻度を上げる、メールニュース配信やオウンドSNSへの投稿を増やす、リターゲティング広告を打つなどが、ACTIONになる。PDCAはなんら難しいことではなく、マーケティング担当者なら普通に行っていること(行うべきこと)を、方法論化したに過ぎない。ここで言いたいのは、ことオンラインに関しては、P⇔C関係は一体であり、シームレスにPDCAを為しうるように戦略/戦術を立てる必要があるということだ。

ある新商品のキャンペーンで広告を投下する場合、オフラインのTVCMは、入力(CM投下による商品認知)から出力(消費者による購買)へ直結させうる究極の手段であり、もしそのプロセスの成果を正確に検証できるなら、結果の再現が可能なはずだが実際にはそうならない。流通や消費市場の環境や競合等のブラックBOX的な要素が大きく、これらを数値化できないからだ。かろうじて、CMの視聴率や好感度調査は検証の材料とされるが、それらは結果との相関性の域を出ない。つまり、オフラインのPDCAは、CHECKが曖昧なので所詮それらしくしかできない。余談だが、広告会社はBOXの研究に労力を割かない。宝の箱だからだ。BOXの検証レポートは想像力の賜物となる。しかし、これはオンラインでは許されない。入力(Web広告投下)から出力(コンバージョン)までプロセスが明解であり、その成果検証も詳細に行える。結果として広告会社が、最も利潤が小さい分野に多大な労力を割かねばならないのは皮肉である。

ではPDCAしうる戦略/戦術とはどのようなものか。以下に私案を記載する。それが唯一絶対とは主張しないし、そぐわないブランドや商品も多い。またDX化の荒波で今後あっという間に一掃されてしまうかもしれないが、Web解析の方法論を説明する上ではわかりやすい例だと思う。

但し、解説を始めるにあたり、まずある程度CRM(Customer Relationship Management)を知っておく必要がある。ところがこのCRM、世間一般的にかなり誤解されている。次回はその説明から始める。 [ 続く ]

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