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ウェブ解析を巡る連想 Vol.11  ~ ロイヤルティプログラム

想定しているのが、ウェブ上で購買行動を完結せずに店頭で商品を販売するブランドなので、Step4はオフラインとの関係が欠かせない。

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Step3でユーザーは自主的にCVのLevel1や2に達し、再びエンゲージメントを経てCVのLevel3に達する。さらにLevel3のステイタス(スコアリングによるクラスター判断)で店頭への誘客となる。そしてセールスからクロージング(商品の購買成立)に至る過程は、ブランドにとって最大の試金石だ。ユーザーMはここへあくまで自分の意志でたどり着いたので、前提として買う意志がある。なんの事前準備もなくふらりと店頭に現れた客に比べると、商品を買う確率ははるかに高い。だから、その購買意欲を挫くマイナス要素さえなければクロージングに導けるはずなのだが、実際には店の環境から接客まであらゆる要素がMを押し留める要因となり、Mは「買わない」理由を探している。そのMの疑心暗鬼を「私は間違っていない」という確信に変える接客が、その場だけのクロージングに限らない将来への入り口となる。

ID統合されたデータベースでクロージングのフラグが立つと、Mは見込み客から顧客へ格上げされる。一度でも自社ブランドの商品を買った経験のある客は企業にとって大切な資産である。ここからリセル、アップセル、クロスセルと、LTVの最大化へ向けたロイヤルティプログラムが稼働を始める。メインテナンスが必要な商品の場合、Step4はとくに有益だ。問い合わせや要望に常時応える仕組みのほか、商品には寿命があるので、それに合わせていつ頃どんな対応が必要かおよそ予測がつく。その個対応したきめ細かなコミュニケーションほどユーザーに感動を与え、ロイヤルティを向上させる。
オンラインに戻るとStep4の施策としては、マイページの設置が最も効果的だろう。ID統合ができていれば、顧客が今マイページ内の何に関心が向いているのか、自社ウェブ上の異なるブランドや商品に興味を移していないかを知ることができ、ユーザーへいち早くアプローチすることも可能だ。またID統合できていない場合でも、見込み客か顧客かはユーザーの自主的な登録情報等で判別は可能で、それだけでも同様のOne to One施策を実施することは可能だ。

2エンゲージメントと3コンバージョンと4クロージングは切り離すことはできない。必ずしも2→3→4と順調に進むことは稀で、2→3→2→4→2→4というように、エンゲージメントはその中心にあり、この仕組みを流動的に回していく原動力ともなる。このようにウェブ解析は、各Step内とStep間の流動的変化を検証し、そのボトルネックを取り除くとともに、流動性がさらに活性化するために何をどうすべきなのか、を具体的に示唆しPDCAサイクルを回す原動力である。

ひと通りウェブ解析の私的方法論を書き終えたので、次回はこぼれ話で補足で締めくくりたい。[ 続く ]

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