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青梅の観光を考えてみた

2023年2月16日、青梅市観光協会主催の「青梅の観光を考えるシンポジウム」にパネリストとして参加してきました。
青梅は広く、東は市街地、西は御岳渓谷や御岳山、成木の山林など、山と川の豊かなところです。「青梅の観光」といっても、かなり振り幅があります。
今回のシンポジウムをきっかけに、考えたことをまとめてみました。

今回ゲストスピーカーとしてお話しされたのは、岩下尚史さん。

6年前に思い立って吉野梅郷と吉川英治記念館、玉堂美術館をめぐり、青梅に移住を決めたのだそうです。眺めのいい古民家を改築して、5年ほど前から軍畑(うちの近所!)にお住まいです。

青梅の西側には、戦時中に吉川英治が住んだ家や河合玉堂などが住んだ家が残されています。岩下さんは、二俣尾から西は、文人が好んだよさがまだ残っている。今でもコンビニや大手資本のチェーン店だとかがなく、俗化していないところがいいそうです。

講演中の岩下さん。
話が軽妙でおもしろく、あっという間に時間がたちました。

1時間はあっという間でした。講演で印象に残ったのは、景観の価値。たぶん地元のひとは「何にもない」と言うような、山や川です。どこに行ってもそんな傾向があるのですが、田舎に住むひとは山や畑を潰してコンクリートで固めたりしてしまいがち。自然の豊かさを保つのが一番の価値なのですが、そこがわかっていないひとが多いように思います。また、「こうやったら喜ぶだろう」と独り合点な方向性でものごとをすすめてしまうことも多いです。岩下さんは「まずはお客さんにきいてみては?」と何度もおっしゃっていました。

シンポジウム後半は、パネルディスカッション。泊まる、食べる、買う、体験するなどについて、話しました。
正直な感想としては、20年後、30年後の青梅の観光の姿をどうイメージしているのか、さっぱりわかりませんでした。
誰が、どんなふうに滞在しているのか。そのとき何を食べて、どう楽しんでいるのか。特に重要なのが、誰に来てほしいのか。もっと明確にして先手を打って準備しておきたいのだけれど。これまでの世の中の流れから、どのように変わっていくかを考えているのだろうか? お話を聞いていて、まるで見えてきませんでした。

パネルディスカッションでは話す時間が限られてしまって、用意してたことが話せなかったので、ここに記しておこうと思います。

青梅の強み

青梅はいくつかの強みがあります。そこに焦点をあてて観光戦略を作っていきたいです。
ひとつは、立地。東京の水源であること。東京の水道と繋がっている山や川が青梅の景色を作っています。御岳渓谷は清流でありながら、川下りできるサイズ、流量があるのも強みです。(秋川、浅川は川下りできない)
電車でのアクセスもいいので、車がなくても訪ねやすいです。
もうひとつは、歴史や文化。特に御岳山の上の御嶽神社や宿坊は、特別感がはんぱないです。夕方以降や早朝は観光客がいないので、プライベートな環境を作りだしやすいです。

ちなみに弱みは、「何もしないこと」です。

① 日本に住んでいる外国人に向けた観光

青梅は、都心から日帰り圏内の観光地。電車のアクセスも悪くないので、車を持っていなくてもふらりと訪れやすいです。朝、天気がいいから出かけようみたいな感覚で遊びに行きやすい場所です。
狙いたいのは、都心に住む外国人が自国から家族がやってきたときに「連れていきたいとっておきの場所」がいいんじゃないかと思ってます。海外から目的地として目指すというよりも、都心に住む外国人が好きになってもらえるような、プチ遠出したくなる場所です。東京なのに自然が豊か。それも、都心からの電車だと緑が増えていくワクワク感があって、気分も盛り上がります。わたしも海外に住む家族を訪ねたときに、近隣のスポットに連れていってもらいました。似たようなシチュエーションは考えられるんじゃないかと思ってます。
青梅の歴史的な背景や水源林など、都心での生活といかに関連付けて見せていけるのか、案内のしかたを工夫していけるといいです。
また、情報を都心に住む外国人にどうやって届けられるのか、注力して積極的にしかけてていくのもいいのではないでしょうか。

② 早朝や夕方など、時間帯をずらした観光

昼過ぎに出て夕方の体験に参加して泊る。ゆっくり家を出て、泊って早朝の体験をして混雑しないうちに帰るなど、ちょっと時間をずらして混雑しない快適な観光を提案していきたいです。青梅は日帰りのお客さんしか来ないから・・とはじめからあきらめるのではなく、宿泊するといかに特別な時間を過ごせるのかを見せていけたらいいんじゃないかと思ってます。

特に夏の日が長いときには、早朝から活動できるし、夜も寒くないのでいろんな体験を考えられます。早朝の川での体験もいいですし、宿坊に泊まってトワイライトトレッキングもいいです。宿泊しているひとしか見られない景色がまだまだあります。

③ 今後やりたいこと

行政、民間で役割を分担しながらすすめられるといいです。
行政は、景観を棄損せずに保つ取り組みをやっていただきたいです。例えば、派手な色の看板やノボリなどを規制する。欲をいえば、いいデザイナーを紹介して看板や店頭の外観までセンスをよくしていけると、いいな。
ちなみに景観を守るために、ブルーシートを使わず茶色いシートの購入を補助する施策を、小菅村ではずっと前から取り組んでいます。こういった小さなことを地道に重ねていけるといいです。
また、観光関連の方どうしが対話する機会づくりもお願いしたいです。できれば優秀なファシリテーターをお呼びして、どんな観光をやっていきたいのかを話し合いできると、目線をそろえていきやすいと思います。目指すべき北極星はどっちなのかを。

また、外部のプロデューサー的なひとがいるといいだろうな。外からの視点があると、方向性を定めやすいでしょう。

民間は、青梅の強みを生かしたツアーづくりをしたいです。同時に、それを伝えられるガイドを育てることも重要です。
いかに見せていくか、どんな案内をするかで感じられ方は違ってきます。林業の歴史から、川で木材の運搬は流していたことリバーアクティビティを関連づけられます。山も渓谷もあるので自然も豊か。野鳥ひとつとってもいろんな種類が季節ごとに見たり聞いたりできます。水源林から、最初の一滴から都心の蛇口までの体験を作ったりもできます。おいしいお酒など、青梅で作られた酒や食べ物も、水と関連させて飲食店と一緒に展開していけるとさらに喜んでもらえそうです。
秩父や丹沢、水上にはできない「東京の川、東京の山」を題材としたツアーを作れます。

といったかんじで、青梅の観光を考えてみました。他のひとの意見もお聞きしたいです。ご意見募集!

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