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【ランニング】高騰するレース参加費をどう考えるか、今後どうなるのか

 板橋Cityマラソンのゼッケンが届きました。今年はとうとう参加賞のTシャツがなくなりました。昔は参加費と同じ金額分くらいの参加賞があったのに。1万円を超える参加費がかかったレースなんて東京マラソンと横浜マラソンくらいだったんじゃないでしょうか、それも飛びぬけて高額だった印象です。

 いやいや、マラソンの運営に疑問を抱くなんて、非常に良くない考えがよぎってしまいました。
 初心に帰って反省してみようと思います。 

初レースの感激

 2012年、北上マラソン(岩手県)が初フルマラソンでした。全日本マスターズ選手権も並行して行われた公認コースで、参加費は4,500円です。
 北上市は北上盆地のほぼ中央に位置し、西に奥羽山脈、東に北上山地にを眺める自然豊かな都市です。沿道には、東京マラソンのようにビッシリと並ぶわけではありませんが、年に一度のお祭り騒ぎを楽しむように、地元の方々が玄関先に出て応援しています。
 すると、初マラソンである私に、おばあちゃんに連れられた4~5歳ほどの女の子が「がんばれ~」と声援を送っているではありませんか。有名人でも、トップランナーでもない、ただの趣味で走っている見ず知らずのおじさんにです。
 その後も「がんばれ~」「もう少しだぞ~」「よく頑張った」と沿道の見知らぬ方々が、ただのおじさんに温かい声援を送ってくれました。

これがゴルフなら・・

 それまで、ゴルフ、釣り、ビリヤード、下手くそな麻雀などいくつかのおじさん趣味を経験してきました。しかし、こんな風に声援をもらえたことはありません。
 普通、おじさんの趣味のゴルフに応援なんてありませんから、当然と言えば当然です。釣りもそうだし、麻雀もそうですね。

ゴルフなら、たとえ250ヤードを超える会心のティーショットを打ったとしても、褒めてくれるのはキャディさんだけです。
 本当はそのナイスショットには10000発以上の地道な練習があったのかもしれません。クセのついたフック・スライスはなかなか治らないです。何度も自己否定と自己嫌悪を繰り返しながら、誰にも褒められない練習を続けてやっとの思いで克服していきます。この姿勢は真にストイックと言えませんでしょうか。しかし、そんな10000発の背景がある250ヤードのティーショットに、純粋無垢な声援は送られません。そもそも応援する人がいません。
 家族も冷たいです。早朝、家族を起こさないよう物音を立てずに出発し、夕方は近所のスーパーから帰ってきたかのように、何食わぬ顔で家に入ります。極力何事もなかったかのように帰ってくるのですが、家族はゴルフで遊んできたことを良く知っています。耐え難い緊張の中、申し訳ない顔をすべきか、笑顔を維持すべきか、適切な表情がわからなくなります。
 おじさんは、これを趣味を楽しんだ報いとして耐えるのです。
これがおじさんの趣味の認識です。

恵まれているマラソン

 ところが、走っていると、それが趣味であっても「えらいね」って言われるんです。自分はゴルフの練習で狙ったところに打つことと、ランニングで狙ったタイムで走ることは同じように楽しいのですが、ゴルフ練習に熱心で「えらいね」って言われることは、まずないです。

「毎週走ってます」
「毎週ゴルフです」
この発言に対する周囲の受け止めの違い。
自分としては同じように楽しんでいる趣味ですけど、明らかに違います。

 マラソン大会では家族が応援に来てくれることもあります。ゴルフに家族が応援に来ますか?

 ゴルフでスコアがよくなるのと、マラソンでタイムがよくなるのは同じように嬉しいのですが、マラソンはほぼ誰もがエラいと言ってくれます。ゴルフはスゴいと言ってくれる人はいても、エラいと言ってくれる人はいません。

 初マラソンで沿道から声援を受けながら、
「なんてお得な趣味なんだ、もし、これをずっと続けていたら、当たり前になってしまい、立派なことをしているように勘違いしてしまうかもしれない。応援してもらって、ボランティアの方々に給水もしてもらっているクセに、運営がどうだとか、コスパがどうだとか言ってしまうかもしれない。」
ただの趣味なのに、こんなに応援してもらっていいものなのか、嬉しいながらも謙虚に違和感を感じていたのでした。

マラソン参加費高騰の背景

 なぜ、マラソン参加費は高くなってきているのでしょうか。コロナ後の感染予防対策、ボストンマラソン爆破事件後の警備体制の強化、参加費高騰のジレンマとしての参加者数減など、いろいろと言われているようですが、下記の記事を読みますと、そもそも参加費は運営費の一部しか負担できておらず、そのほかは自治体や協賛企業からの負担で成り立ってる背景があります。参加費だけで運営を賄おうすとするならば、東京マラソンなら一人5万円強、函館マラソンも一人2万円強、かかる計算となります。

 マラソンレースの運営には多大な費用がかかるのです。当初は、集客による自治体の経済的メリット、宣伝効果などを狙い、自治体が積極的に取り組んでいましたが、回数を重ねるごとに累積する赤字の方が問題になってきています。

高騰するレース参加費をどう考えるか、今後どうなるのか

 そう考えると参加費は、走りたいランナーがもう少し負担してもいいのだと思います。趣味で走っている人がほとんどですから、それで良いのではないでしょうか。極論ですが、運営側がお願いして呼んでいる招待選手以外は受益者負担でも理屈は通ります。
 ゴルフだって遠方から来て自治体の経済を潤していますが、完全な受益者負担です。趣味人の態度としては、ゴルファーの方がエラいのではないでしょうか。
 マラソンも受益者負担が大きくなってこそ、一人前の趣味といえるのかもしれません。

 おそらく、今後もレース参加費は上がっていくでしょう。ゴルフと同じくらいまで上がるかはわかりませんが、参加者数の動向を見て、余地を埋めていくように上がっていくものと思われます。
 しかしそれでこそ、ランナーのためのランナーによるマラソン大会に近づいていくわけですから「一人前になったぞ」と誇りをもって参加したいですね。
 今はちょっと恵まれています。初マラソンの気持ちを忘れないようにしたいです。


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