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#56 ロープ(1948)

ニューヨークのアパートの一室。大学を出たばかりのブランドンとフィリップは同級生を絞殺し、その死体をチェストに隠す。動機は自分たちが他者より優れている事を証明するためだった。2人はさらなるスリルを求め被害者の恋人、両親、恋敵、大学時代の恩師を招きパーティーを開く。

Blu-rayヒッチコックコレクションより

実話が元となった舞台劇を始まりから終わりまでワンショットで撮ろうとした実験作。当時10分以上続けてフィルムを回す事が不可能な為、つなぎ目の部分は人物の背中をズームで写したり物陰にカメラを入れて無編集のように工夫されている。

ヒッチコックといえば「サイコ」「鳥」のようにショットを何度も切り替えての効果的な演出が魅力の1つで、それを捨てて冒険した今作は部屋から部屋に動き回る流れるようなカメラワークとふと一時停止した時の構図に感動する。

撮影スチール写真で写ってるどデカいカメラで撮ってたと思うと俳優だけでなく、カメラマン、照明、大道具の仕事ぶりにも頭が下がる。

どうしてもカメラワークばかり触れてしまうけど、当時のタブーに触れてる点、自分の賢さを強調するために殺人を客にほのめかす心理戦、ユーモアある会話も楽しめた。手をフォーカスするのも良かった。


カメラ割が単調になってくる映画やドラマと遭遇したら、1回くらいロープのようにズームで転換するあそびがあればいいなーとムズムズする事が時々あったりする(撮影側からしたらおしゃれなYouTuberがよくやってるからこそばゆい?)

いろんな手法の中、とっさに「ロープのような」と出てくる時点でこの映画は大当たりだと思う。

もう1つ良いなと思う所はどこに注目しているのか?とヒッチコック流の舞台観劇の見方を少し感じられ対話している気分になる所もいい。

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