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#9 普通の人々(1980)

弁護士の父と聡明な母を両親にもつ高校生コンラッドは何不自由ない生活を送っていた。だが彼はかつて自分の過失で兄を事故死させたという自責の念から自殺未遂を起こしていた。
映画はコンラッドが精神病院から帰って来るところから始まる。

監督はロバート・レッドフォード。
アカデミー作品賞に輝いた名作だが他の候補がレイジング・ブルだったためにオスカーによる最も有名な誤審と言われ不遇な作品。しかし、一見暗く地味だと思われる映画だが実はサブテキストが多く含まれていて心の機微に富んでいる。作品賞はフロックではないと思う。

家族3人は傷ついてる。
家族3人の目的は「普通に戻ること」。
しかしやり方が違うことで亀裂が生じ、ぎこちない。

コンラッドは以前のように学校に通ってもうまくいかず精神科の先生に話す事で普通に戻ろうとする。

兄を溺愛していた母親は事故についてもコンラッドが精神科に通っていることも触れない。感情を否定し、世間体を気にして変化を避ける事で、完璧に振る舞う事で普通に戻ろうとする。

父親は妻が要求する暮らしを送り、対立する二人の関係をごまかす事で普通に戻ろうとする。二人の円滑材になろうにも感情を上手く表現できない。

同じ目的だけに悲しい。
パズルのように過去が断片的に流れ、淡々とした映像が確実に家族の闇を浮き彫りにする。

ありふれた幸せを再認識させてくれる。

商品紹介
クラシック作品以外のアカデミー作品賞の中では未だにブルーレイになっていない。ドライビング Miss デイジーとどちらが早いか(^-^;
アウターケースを引っ越しの際なくして軽くショック。

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