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8225 タカチホ もはや「コロナ後」ではない。

 戦後日本経済の回復の速やかさには誠に万人の意表外にでるものがあった。 -中略-
しかし敗戦によって落ち込んだ谷が深かったという事実そのものが、その谷からはい上がるスピードを速やからしめたという事情も忘れることはできない。経済の浮揚力には事欠かなかった。 -中略- 
消費者は常にもっと多く物を買おうと心掛け、企業者は常にもっと多くを投資しようと待ち構えていた。いまや経済の回復による浮揚力はほぼ使い尽くされた。 -中略-
戦後の一時期に比べれば、その欲望の熾烈さは明らかに減少した。
もはや「戦後」ではない。

昭和31年経済白書より

本日は、8225タカチホです。

  • 1949年 久保田恵一氏により設立のオーナー系企業、現久保田一臣社長(42歳)は3代目。東日本におけるお土産卸売がメイン。本社長野市。

  • 長野オリンピック開催年(1998年)に売上ピーク、136億円。以降緩やかに右肩下がり。

  • コロナ禍を通じた構造改革を通じて、2023/3期に過去最高営業利益。


決算資料等を元に作成
棒グラフ:売上 折れ線グラフ:営業利益

今回は、下記をメインに書いていきます。
・23/3期 過去最高営業利益となった要因の分析
・26/3期 中計達成可能性についての考察

なお、現状株価が割安か否かや、買った方が良いか。等については、分かりようがないので書かないです。そんなん知らんがな。

更新履歴
24/2/13 3Q決算を踏まえての追加記事を第3部に記載


第1部 - 23/3期 過去最高営業利益のウラ

営業利益の分解

営業利益を以下のように分解します。
営業利益=粗利(売上総利益)ー販管費
23/3期のタカチホの数値を当てはめると下記(単位百万円)。
329 = 2081 - 1752
粗利が増えたのか、あるいは販管費が減ったのか、あるいはその両方だったのか。

粗利は増えたか?

Yes - 粗利率が3%改善している。
下記は過去10年の粗利、販管費の推移。粗利率がコロナ禍を経て、3%程度改善しています。
なぜ、改善したのでしょうか。一過性なのか、あるいは、何らかの構造的変化なのか?

決算資料等を元に作成

粗利率改善の要因は、下記と想像。

・商品企画部門へのリソース集中を通じた高粗利率商品の開発
・温浴事業(低粗利率)からの撤退
・商品価格改定の実施(土産物という商品特性上、値上げがしやすいとの事。決算説明動画内にて社長コメント有り)

一過性のものではなく、内部環境の変化に起因している点から今後も粗利率の改善が期待出来る。かもしれませんが、そうではないかもしれません、どう思いますか?
尚、中計における26/3期の粗利目標は30%。

販管費は減っているか?

Yes - なぜならば、人が減ったから。
But - 販管費率は(まだ)変化無し

決算資料等を元に作成

過去10年で、連結ベース(臨時雇用を含む)で従業員数が約半分となっています。
タカチホの場合、販管費の約半分が人件費関連ですので、人が減れば販管費も比例して低下。
但し、売上も減少している為、販管費率自体に大きな変化は無し(24%前後)。
*販管費の多くは固定費の為、今後の売上増加により販管費率の低下が期待出来る。

なぜ、人が減っているのか。今も減っているのか。この減少トレンドで、果たして中計は達成出来るのか。
第2部で考察してみます。

ベリーレシオ

ベリーダンスでもストロベリーナイトでもなくて、ベリーレシオ
ベリーレシオ=粗利÷販管費
固定費的要素の強い販管費を元に、どれだけ効率的に粗利を稼げているか。を測る(多分マイナーな)指標です。商社の管理会計等で見かけます。
タカチホも商社(土産卸売)ですので、ベリーダンスレシオ推移を確認。

決算資料を元に作成

16/3 - 23/3は、ほぼ同額の営業利益ですが、23/3の方が利益の質が良いです(粗利率が改善した為)。
この傾向は、現時点も続いているのか?
については第2部で四半期別データを利用して確認していきます。

第1部(23/3期 過去最高営業利益のウラ)まとめ

  • 各種取り組みを通じて粗利率が25%->28%へと改善している

  • 人員減少を起因として販管費が大きく低下

  • 粗利/販管費の比率が改善し、利益の質が良くなっている

しかし、なぜ、このような変化が発生しているのでしょうか?人が減っていて、平気なのでしょうか?
第2部では、現社長就任以降の変化をトレースしつつ、今後について考察してみます。

第2部 - 26/3期 中計達成可能性についての考察

社長

現在の社長は3代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(略してJSB3)。ではなく、3代目久保田社長。
もしかして、、、KBT3というニックネームですかね???

有報等を元に作成

1代目が最終的に(会長職及び取締役職を)退任したのは2017年、実に70年近くに渡って経営に関わっていた模様。
KBT3は34歳で就任し、現在8年目。青学卒、リゾートトラスト就職後タカチホ入社、マーケティング部長を経て社長に。結構イケメン。

お顔やインタビューはこちらで。
俺の親父社長なんだよねって言いながら、青学でさぞや楽しく遊んでたのかなぁぁぁ、、、、、

仮説

ここまでを元に、下記仮説です。
地元に根ざした歴史あるオーナー系企業であるが、先代の関与が長期に渡っており、仕入先販売先共に小規模かつ地方の企業が多い、等の要因により、下記のような問題があったのではないか。
・採算が取れない(が辞める事が出来ない)ビジネス
・非効率な商慣習
・アナログで無駄の多い社内プロセス

人で例えるなら、
57歳メタボのおじさん。趣味はyoutubeでこっそりももクロの動画を見ること。でもスマホは小さくて見にくいからタブレットで見たいけど、使い方が分からなくて、でも誰にも聞けないから老眼鏡かけて見てます。フリック入力って何?クリックすれば良いの??

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