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2度に亘る緊急事態宣言、障害者の仕事への影響度に関するアンケート調査

こんにちは。ゼネラルパートナーズです。

今回は、「2度に亘る緊急事態宣言、障害者の仕事への影響度に関するアンケート調査」の結果についてお届けします。

新型コロナウイルスが発生してから、日本政府は2回の緊急事態宣言を発出しました。それに伴い、皆様の働き方にもなにがしかの変化がみられたところも多いと思います。

そこで、障がい者総合研究所では、この緊急事態宣言を受けて障害者の働き方にどんな変化が生じたのかその実態を知るべくアンケートを実施いたしました。

■調査回答者の属性
対象者:障がい者総合研究所のアンケートモニターにご登録いただいた方
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2021/1/19~2021/1/22(有効回答者数:222名)

【質問1】1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)が発出されたとき、あなたの職場ではテレワークやローテーション勤務は導入されましたか?

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【質問2】1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)が発出されたとき、あなたの仕事の内容に変化はありましたか?

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【質問3】1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)が発出されたとき、あなたの仕事の量はどう変わりましたか?

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【質問4】2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)が発出されました。あなたの職場ではテレワークやローテーション勤務は導入されますか?

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【質問5】2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)以降、あなたの仕事の内容に変化はありそうですか?

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【質問6】2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)以降、あなたの仕事の量はどう変わりそうですか?

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【まとめ】

[1]1回目の緊急事態宣言時にテレワークやローテーション勤務(以下テレワーク等)の導入があったと答えた方は62.2%。 職種別では、全体平均と比較してテレワーク等の導入割合が高かったのは、
  技術系      84.6%、
  事務系      82.1%、
  企画・管理系   80%、
  営業系      66.7%となった。

職種別で、全体平均と比較してテレワーク等の導入割合が低かったのは、
  販売・サービス系 13.3%
  クリエイティブ系 25%
  その他      25%
  作業系      40%、
  専門職系     42.9%という結果になった。

[2]1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)の時に仕事内容に変化があったと答えた方は全体の37.4%だった。

[3]1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)の時に仕事量が増えたと答えた人は15.8%、減ったと答えた人は31.1%、変わらないと答えた人は53.2%だった。
職種別にみると、全体平均と比較して仕事量が減ったと答えた割合の高い職種は、
 クリエイティブ系     100%
 作業系       46.7%
 技術系       46.2%
 販売・サービス系  40.0%
 営業系       33.3%という結果になった。

[4]2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)が発出されたときに、テレワーク等が「導入された、あるいは1回目から継続している」と回答した割合は全体の57.2%となり、1回目の緊急事態宣言と比べ(62.2%)5ポイント低かった。

[5]2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)が発出されたときに、仕事内容に変化があると回答した割合は全体の15.3%だった。

[6]2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)が発出されたときに、仕事の量は「変わらない」と回答した割合が最も多く、全体の66.7%であった。

2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)が発出されたときの仕事の変化に関するモニター様からのフリーコメント(一部抜粋)

・不景気解雇にあった
・出社は必要に応じて自己判断。
・会社への出社日数が更に減った事
・今回の緊急事態宣言では在宅勤務は正規社員はあるが、非正規社員には在宅勤務が無くなったため、正規社員が少なくなってる場所の応援が必要になるので仕事量が増加した。
・出張が禁止になって、オンラインや電話で対応することが多くなった。
・前回はローテーション勤務しかなかったが、今回はテレワークが出来るようになり、パソコンを持って帰らないといけなくなった。
・テレワークやリモート、zoomの活用は、聴覚障がい者にはプラスの感じがあります。(中略)ただ、「障がい者雇用」の枠の確保目的で雇用される限り、同一賃金とはなかなか困難で、聞くための機器や設備の費用が掛かるため、結果的には残るお金はないかもしれない。
・今回は50%勤務で同僚と交代で1日おきに出社。職務は会社でないと出来ない事がほとんどなので、在宅勤務用には雑務を少し持ち帰る程度。
・初めに3日に1度の出勤シフトになり、郵便物の処理担当が一人おりましたが、その担当者も3日に一度のシフトになりましたので、その仕事を出勤した人が代わりにすることになり、結果的に仕事が増えました。
・シフトが9割減って、契約更新されない事を伝えられた。実質解雇通告されている。
・週3回の出勤が週1、2回へ減った。

【総研の報告】


2回の緊急事態宣言が発出されたわけですが、この間に障害者の働き方にどのような変化があったでしょうか。

アンケート結果によれば、1回目の緊急事態宣言でテレワークやローテーション勤務(以下テレワーク等とします)の導入率は62.2%でした。

質問1.1回目の緊急事態宣言(2020/4/5)が発出されたとき、あなたの職場ではテレワークやローテーション勤務は導入されましたか?

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そして、2回目の緊急事態宣言でテレワーク等が導入される見込みと回答した割合は(前回から継続導入されているという回答と合わせ)57.2%と、1回目の62.2%より5ポイント低下しており、第1波のときと比べ新しい働き方の浸透具合はあまり進んでいない様子が伺えます。

質問4.2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)が発出されました。あなたの職場ではテレワークやローテーション勤務は導入されますか?

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次に、仕事内容や量について変化があったかどうかについてですが、仕事内容に変化があったと答えた方は全体の37.4%となりました。

質問2.1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)のときあなたの仕事の内容に変化はありましたか?

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仕事量の変化に関する質問に対して、おおよそ3人に1人(約31%)は仕事が「減った」と答えました。(変わらないと答えた方は約53%、増えたと答えた方は約16%)

質問3.1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)のときあなたの仕事の量はどう変わりましたか?

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これをテレワークの導入有無で分けて見ましたが、仕事量の増減の傾向に大きな差はみられませんでした。

質問3.1回目の緊急事態宣言(2020/4/7)のときあなたの仕事の量はどう変わりましたか?

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■仕事内容の変化について
2回目の緊急事態宣言によって仕事内容に変化はありそうか、という質問に対して変化があると答えた方は約15%でした。
1回目の緊急事態宣言では仕事内容に変化があったと答えた方は37.4%(Q3参照)だったので22ポイント減りました。

質問5.2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)以降、あなたの仕事の内容に変化はありそうですか?

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仕事内容の変化についてもう少し詳しく見ていきます。

1回目の宣言時に変更があった人で、さらに変更があったと答えた人は26人、1回目の宣言時に仕事内容に変化がなく、2回目に変化があった人は8人でした。

■仕事量の変化について

次に2回目の緊急事態宣言によって仕事量は変わらないと答えた方は66.7%と最も多く、増える(17.6%)、減る(15.8%)の順となりました。

質問6.2回目の緊急事態宣言宣言(2020/1/7)以降、あなたの仕事の量はどう変わりそうですか?

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仕事量の変化についてもう少し詳しく見ていきます。

1回目の緊急事態宣言時に仕事量が「減った」と答えた人69人のうち、
2回目の緊急事態宣言時に
 「増える」と答えた人は    9人(13.0%)
 「減る」と答えた人は    26人(37.7%)
 「変わらない」と答えた人は 34人(49.3%)となりました。

1回目の緊急事態宣言時に仕事量が「増えた」と答えた人35人のうち、
2回目の緊急事態宣言時に
 「増える」と答えた人は   19人(54.3%)
 「減る」と答えた人は     2人( 5.7%)
 「変わらない」と答えた人は 14人(40.0%)となりました。

1回目の緊急事態宣言時に仕事量が「変わらない」と答えた人118人のうち、
2回目の緊急事態宣言時に
 「増える」と答えた人は    7人( 5.9%)
 「減る」と答えた人は     11人( 9.3%)
 「変わらない」と答えた人は 100人(84.7%)となりました。

ここから推測できることとしては、
・1回目の緊急事態宣言時に仕事量が「減った」方の場合、2回目の緊急事態宣言時も仕事量は減ったまま、もしくはさらに減る傾向にある、
・1回目緊急事態宣言時に仕事量が「増えた」方の場合、2回目の緊急事態宣言時も仕事量は増えたまま、もしくはさらに増える傾向がある、
・1回目緊急事態宣言時に仕事量が「変わらなかった」方の場合、2回目の緊急事態宣言時も仕事量は変わらないことが多いということです。

1回目の緊急事態宣言時に起きた働き方の変化が前例となり、2回目の時も同じような対応が取られることが多いようです。
緊急事態宣言により仕事量が増えた(減った)、そのことが望ましい変化なのかどうかはそれぞれの人の立場によって違うかと思いますが、一部の人に仕事が偏っていく傾向は見てとることができます。

テレワーク等導入の割合を職種別で見てみると、以下の通りとなりました。

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9職種中、前回よりも導入割合が低くなった職種は4職種。変化なしが3職種。前回よりも高くなった職種は専門職(翻訳、通訳等)と販売・サービス系の2職種となりました。

1回目の導入割合が全体平均より高かった4職種のうち3職種で減少となったこと、作業系が1回目よりも2回目で半減(40.0%→20.0%)したこと,
2回目の緊急事態宣言時のテレワーク導入割合が高い職種と低い職種とでは、はっきりと差が出ていることなどが特徴的です。


【総研の見解】


緊急事態宣言は誰にとっても未曽有の出来事でした。企業においても新しい働き方の導入については手探りの状態だったと思われますが、1回目の緊急事態宣言では、障害者の勤務する職場のおよそ6割でテレワーク等の新しい働きかたが導入されました。

また、2回目の緊急事態宣言ではテレワーク等の導入が見込まれるケースは、1回目の時よりも5ポイント下がり新しい働き方への変化が鈍っているように見受けられます。

当初よりコロナ禍は第2波、第3波の到来が予見されていたことを考えると、テレワーク等の新しい働き方の取り組みが一過性な対応として導入しただけのケースもあったようです。

全般的な傾向として、緊急事態宣言で新しい働き方を導入するたび、副作用として一部の人の仕事量が偏るケースも見受けられました(仕事が増え続ける、仕事が減り続ける)。
今回の調査で、障害の種類によって仕事内容や仕事量に偏りが出るかも確認しましたが、蓋を開けてみるとさほど大きな差はみられませんでした。
これは裏を返せば、今回のコロナ禍による緊急事態宣言で迎えた働き方の変化は障害の種別や有無に関係なく、すべての国民に等しく降りかかった災厄であったということを改めて実感させられます。

コロナ禍は当面収まる様相を見せておりません。いわゆるウィズコロナの観点から、安心して働ける制度や働き方をいち早く導入、持続できることが今後企業に求められる社会になっていくのではないでしょうか。

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【属性情報】

■性別

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■障害種別

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■属性詳細

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■職種別

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これまでに実施した新型コロナウイルス関連のアンケート

外出自粛要請下における、就労状況の変化に関するアンケート調査(2020年5月)
勤務先における新型コロナウイルス(COVID-19)の対策に関する緊急アンケート調査(2020年2~3月)



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