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倫理的行動を組織の文化と価値観の基盤におくことが大切

ボルドリッジで、企業の社会的責任と企業倫理がどのように扱われているかを確認しました。

カテゴリー1.リーダーシップに「倫理的行動」に関する質問があるので、いま一度振り返っておきます。

1.2 ガバナンスと社会貢献
(4)すべてのやり取りにおいて倫理的行動をどのように促進し、確実にしていますか?
(ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】、7ページ)

「倫理的行動」はボルドリッジの主要な用語集に定義されています。

倫理的行動(ETHICAL BEHAVIOR)
組織のすべての意思決定、活動、および利害関係者とのやり取りが、道徳的および職業上の行動原則に則っていることを保証するために組織が行う行動。これらの原則は、適用されるすべての法律と規制をサポートするものであり、組織の文化と価値観の基盤でなければいけません。
‎(Baldrige Key Termsより。翻訳筆者)

 「倫理的行動」は、働き手、株主、顧客、パートナー、サプライヤー、地域社会など、すべての利害関係者とのやり取りに関わります。

 ボルドリッジの「核となる価値観と概念」のひとつに「倫理と透明性」があり、そこに「倫理的行動」について、次のようにあります。

組織は、すべての利害関係者とのやり取りにおいて、倫理的行動を強調する必要があります。組織の統治機関は、高度に倫理的な行動を要求し、それに応じてすべての行動を監視する必要があります。経営幹部は、倫理的行動の模範となって、働き手に対する期待を明確にする必要があります。
組織の倫理原則は、組織文化と価値観の基盤です。それは正しいか間違っているかを見分けます。明確に表現された倫理原則は、組織の価値観とともに、人々が効果的な意思決定をすることに力を与え、組織の規範と禁止事項を決定するための境界条件として機能します。
(2021-2022 Baldrige Excellence Frameworkより。翻訳筆者)

 組織の倫理原則は、派遣社員から取締役会のメンバーまで、組織に属するすべての人々に適用されます。これらの原則は、常日ごろ共有され強く意識づけされることで有効に働きます。
 ボルドリッジ・フレームワークは、倫理的行動を確かなものとするための特定のモデルを規定していませんが、経営幹部は、組織のミッションとビジョンを組織の倫理原則と一貫性をもたせる責任があります。

 このため、この質問がリーダーシップにあります。

 適切に設計され、明確に表現された倫理原則により、人々は確信を持って効果的な決定を下すことができます。組織によっては、倫理原則は、もしそれに反すれば組織や社会に悪影響を与える可能性のある行動を制限する境界条件としても機能します。

 重要なのは、組織の倫理原則を、常日ごろ共有し補強することです。また、倫理的行動に対する違反を監視し対応することです。そして、それらの活動の結果を評価尺度・指標によって確認し、改善していきます。

 倫理原則を組織の価値観に組み込んで常日頃徹底すること、そうした「理解」だけでは不十分で、倫理的行動に対する違反があればそれがわかる仕組みづくりも重要です。

 社外取締役の設置によるガバナンスの強化、内部監査など内部統制の仕組みづくり、倫理ホットラインなどと呼ばれる内部通報体制の整備などは、その事例です。 
 顧客、社員、株主、投資家など利害関係者の間ではOKとなっても、SNSなどによって広く社会から信頼を失っていく時代です。たやすく破綻につながりかねないリスクと捉えて、対応することが求められます。

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 ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー(Baldrige Excellence Builder)は日本語で読むことができます。「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトから無償でダウンロードできます。
 下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。


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