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ベストプラクティスとしてのイノベーション

「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、質問を通じて具体的に仕組みに落とし込んでいきます。

 カテゴリー7.環境変化に合わせたイノベーションの実現について見ています。

 競合やその他のイノベーションをベストプラクティスとして認め学ぶことは、イノベーションの実現に近づく方法の一つです。

7.(7)ベストプラクティスとしてのイノベーション
 イノベーションを起こすためには、他業界・同業他社等の成功事例が参考になることを理解していますか。

 ベストプラクティスとは、求める結果を得るための最も効果的、効率的な方法やプロセスのことです。

 業界内や同業者等のベストプラクティスは、情報として既に理解されていることが多く、また、それを取り入れることで競合他社に追いつくことはできますが、たとえ追いつけたとしても追い抜くのは至難の業です。同じ業界でどこよりも豊富に経験を積んだ競合企業は、さらに改善を進め、先行していることが専らだからです。
 こうしたことから、他業界・他業種のベストプラクティスがより参考になります。

 自社に無いベストプラクティスのうち格別のやり方は、イノベーションの種になる可能性が高いです。
 回転ずしの仕組みが、ビール工場の見学から、その工場内での配送の仕組み(プロセス)から発想を得て生まれた話は有名です、

 ベストプラクティスを導入する手続きとして、ベンチマーキングがあります。
 ベンチマーキング活動とは、現在のワールドクラスのパフォーマンスの状況を理解し、不連続あるいは画期的な改善を達成するために取り組む活動です。ベンチマーキングの対象は、業界内や国内にとどまらず、他業界や海外の同様な活動も含まれます。

 自社よりも格段に高い成果を上げているベストプラクティスには、それを支える実現促進要因(イネイブラー)があることがしばしばです。

 例えば、トヨタのカンバン方式は、JIT(ジャストインタイム)という方式で体系化され、書籍も多く流通していますので、その仕組み自体は容易に真似ることができます。しかしそれがトヨタと同じような優れたプロセスにはならないのは、その背景にある改善の文化(「なぜなぜ」など)が組織に定着していないからです。

 このように、見た目は真似することができても、それだけでは結果に結びつかないことがあることは注意が必要です。

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」の制作メンバの一人、高梨智弘氏は、ベンチマーキングの大家です。
 ベンチマーキングの教科書として著名な「ビジネス・プロセス・ベンチマーキング―ベスト・プラクティスの導入と実践 」(ロバート・C. キャンプ著 、1996年刊)の監訳者であり、自身も「ベンチマーキング入門―ベストプラクティスの追求とナレッジマネジメントの実現」(2007年刊)等、ベンチマーキングに関する著書をいくつも著しています。






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