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グラフィック・レコーディング のお金に関するお話

グラフィック・レコーディングの依頼を受けても、金額を提示すると「予算が合わず・・・」と断られることも少なくない。
ボランティアや謝礼金程度で描くことができる場は増えてきたけど、グラフィック・レコーダー単体の職業として成立するぐらいの対価を得て描くことができる場はまだまだ少ない。

グラフィック・レコーダーという職業がきちんと認められてほしいなぁ、という想いはあるものの難しいよなー、という愚痴めいたそんなお話。

グラフィック・レコーディングのお値段

最初にぶっちゃけると、グラフィック・レコーディングの依頼を受ける場合、2時間ぐらいのイベントで最低「5万円〜(+別途交通・宿泊費、備品費等を実費)」を提示させてもらっている。
これをベースに、拘束時間の長さや難易度、ファシリテーションが必要か?といった必要なスキルによって上乗せをしていく。下げることはない。
あくまでグラフィック・レコーディングを単発で受ける場合のお値段だ。

(※本人が楽しむための場合は例外あり。)

価格の決め方

では、どうやってこの価格を決めたのか?
グラフィック・レコーダーを職業として成立させようと考えた場合、「年収600万円」ぐらいは欲しいなーと。そうすると「月収50万円」は必要。
無理なく現場で描けるのは1ヶ月10回ぐらい・・・?(脳みそも体力も毎日はさすがにキツイ。)ということで、最低でも「1回5万円は欲しい」という逆算で出したのがこの価格。

5万円×10回×12ヶ月=600万円

グラフィック・レコーディングの価値がどうこうではなく、単純に自分がこれだけ欲しい、という決め方だ。
相場があるのかも、高いのか安いのかもわからない。
実際にこの価格で1ヶ月10本も依頼があるなんて、どんな大人気グラフィック・レコーダーだよ!という数なので、これでもグラフィック・レコーダー単体の職業として成り立たせるのは難しい金額だと感じている。しかも、場に働きかけられるものを描こうと思えば思うほど事前の打ち合わせや準備の時間も増える。
うーん、無理。

一部のマネタイズできている人たちも「グラフィック・レコーディング」として依頼をうけているのではなく、「組織開発」や「事業創出」といったもっと大きな単位で仕事を受けて、その中の一部として「グラフィック・レコーディング」を使っているに過ぎない。(と思う。)

グラフィック・レコーディングの価値とは?

本来ならグラフィック・レコーディングの価値そのものから価格を提示できればいいけど、その価値をきちんと言語化できていないのが現状だ。

イベントなどはグラフィック・レコーダーよりも登壇者の方が重要だし、ワークショップではファシリテーターやワークショップをデザインする人の方が重要。どうしてもグラフィック・レコーダーに対する予算は後回しとなる。
また、対話や議論の促進やふりかえりに使うと言っても、グラフィック・レコーディングがある場合とない場合の違いを具体的な数値で表すことも難しい。

「ないよりはあった方がいい」ぐらいが今のグラフィック・レコーディングの地位だと思う。

あぁ、マネタイズ

時には、時給換算してみると最低賃金を下回るような依頼もある。
特殊スキルが必要な仕事に思われるかもしれないけど、市場価値はそれほど高くない。
「会社に一人はいて欲しい」という声もよく聞くが、実際にグラフィック・レコーダーとして雇ってくれるような会社もなく。

価格を下げれば依頼を増やすことはできるだろうけど、それだと先がない。価格に見合うだけの価値を感じてもらえるようにならなければ。もっと価値を高めていかなければ。

画力なのか、デザイン力なのか、切り取る言葉の的確さなのか、はたまたファシリテーション力なのか、場を俯瞰して見る力なのか。もしかしてアイドル性なのか。
誰が描いても一緒だと思われていたら、この先厳しいよなーと思う今日この頃である。

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