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電子書籍作成のチェックの盲点

数年前からアレな電子書籍についてあれこれ書いていますが、最近またすんごいのを見つけました。今回は怨み節と他山の石と近況を兼ねた記事です。ややまとまりがないですがすみません。

実は最近ある本を買いました。「今まで習得していない文字を使う言語をやろう」ということでアラビア語を始めました。ただしがっつりやる気力がある訳ではなく、大変手抜きコースです。以前買っていた『アラビア語のかたち』でざっくり文字の見憶えをつくり、おぼろげに記憶した後、Duolingoのアラビア語コースで音と文字を牛歩のごとく習得していくやり方です。これはこれでまた記事を書きますが、本題はそこではありません。
「うーん、単語ぜーんぜん憶えないのも何だし、単語帳買っとくか」と電書でアラビア語の単語の本を買いました。今回はその話題です。

まだろくに文字を習得していないので、もちろん意味は解りませんが、本の確認をするためにざーっと開いて進めてみました。
ワタシは基本的に移動先か、特殊な理由がない限りはPCで電書を読みます。ここでも某オンラインサイトの電書リーダーで読んでいます。(電書リーダーの不備ではないので、ここでは伏せます)
数秒して何だか変なことに気が付きました。
「これ繋がってないように見える気がする?」
しかもノンブルが内側に入っています。
ややあって「……あー、これは」と思い至ったので、めくるスピードを上げて最後までめくり、そこから逆にめくっていきました。

「……あーあー」
そうです。この本は本来左綴じです。(横書きだということです)なのに縦書きの本と同じく右綴じでページが進んでいたのです。左綴じの本を電書では右綴じとして作ってしまっていたのです。

これ、普通に動作確認していたら一発で解りますよね。
当然イラッとしましたが、ややあって「これが起こりうるとしたらどんな状況なんだろう?」と考えてみました。

いくつかのパターンがあります。
もちろん「雑に作って動作確認しなかった」──これが一番考えやすいパターンです。そういう人もいると思いますが、この本は一応商業出版されている本の電書版です。「2023年時点で」こんなことをする出版社はごくわずかだと思います。

別のパターンも考えました。
「この出版社は実機とスマホ以外で動作確認をしていないのでは?」というやつです。
実はPCの電書リーダーは実機、スマホ以外に大きな特徴があります。(ブラウザで読む場合はどの仕様になっているか不明です。多分「どう作っているか」によると思います)
「見開きで読める」んです。
(個人的にこれはものすごいメリットだと思っています。もしみっちみちに描き込んだ「紙を前提とした」漫画を電書で読むとしたら、現時点ではPC以外にはないです。見開き、ちゃんと読めます。しかもPCの画面が大きければ大画面で読めます。加齢で小さな画面を見たくない人にとっては素晴らしい環境です。個人的にはAKIRAが電書になったら、絶対PCでしか読みたくないです。ただし環境によっては連載時の表示より大きくなるので、粗が出るのを忌避する人はいると思います)

えーと、何が問題かと言いますと「この電書を作った人は見開きを一切考慮していなかったのではないか?」というところです。

見開きという前提がなければ、この不具合を不具合とは感じません。1ページずつ出るならノンブルが「内側に」入ってるなんて思いようがないからです。
「金がないからそんな一部の機能に対処できないわ」という理由でスルーした可能性もなくはないです、が、これの本来の問題は「左綴じの本を右綴じにした」ことです。
これが大多数が右綴じの漫画や縦書きの小説を問答無用に左綴じにしたのだったらクレームはバンバンきたと思いますが、日本ではそんなに学習者の多くないアラビア語です。もしクレームが来ていたとしても「ごめん。そこまでコストかけられない……」でスルーされてしまった可能性がとても高いです。

がっかりしつつ「まあ最終ページまでめくってから逆向きにめくるよ……」ができなくないので個人的にはこの電書についてはもう諦めています。

そして、もうひとつの可能性があることに気が付きました。
「これ、epub2時代とか、かなり昔の電書なんじゃないの?」というものです。
epub2時代、フリーのepubリーダーはありませんでした。(あったかもしれませんが、ワタシの調べられる範疇には当時見つかりませんでした)
うちで最初期に出した『星の残像』の電書や、『落下症候群』の電書はepub2時代のリリースだったこともあって、Kindleで出して実物を確認するまではローカルで表示を確認できなかったのです。(今のデータはもちろんちゃんと読める環境で作りました)
この当時「データを確認しないでアップロードする」方が主流派でした。確認したくてもできなかったのである意味仕方ないです。ワタシも確認するために「全ての電書をアップロード後購入」し、内容に問題が発見されなかった時にやっと告知をする状態でした。

大きな出版社なら、有償の何らかのツールで確認できていたのかもしれませんが、中小の商業出版の会社の場合、個人リリースのワタシと同じような環境だった可能性があります。(ただし、当時はこれさえ持っていればOKみたいなシェアウェアのepubリーダーもなかったと思います。少なくともワタシは当時に情報を得ていませんでした)

そして、これはアナログ的な理由ですが、この時期にはまだ「電書は紙本の劣化版として出すべし。そうでないと紙本が売れない」という方針の会社もありましたし、「自分は本が好きだ。紙の本で読む喜びを捨てて電書なんて触りたくもない」という人もいーっぱいいました。(今でも漫画以外のジャンルにはいっぱいいるんですが)そういうモチベーションで電書を作っている人は「自分で電書を買ってみないので、電書の仕様が頭に入っていなくて、やってはいけない手抜きをしたり、大ポカを放置する」ことがよくあります。いや今もあります。(電書ユーザーが担当していれば死んでもやらない仕様の本は今もいっぱいあります。彼らはきっと紙本が超高級な贅沢品になって自分が買うことができなくなっても電書はロースペのゴミ商品であるべきだと思っているのでしょう)

いずれの理由であっても、せめて商品で出すのだから、多少の倫理観を持って「見開きで読みうる」動作確認くらいはしてほしい。心からそう思います。


追記
とりあえず個人電書制作者の皆さんは、これを他山の石として「ローカルでもepubリーダーでデータを確認し、見開きでどう見えるかチェック」しましょう。
本来はいい本なのに綴じが逆みたいなアホなことが起こったあげく、データのアップデートすらできないようにするのはやめましょう……。

追記2
「具体的にはどうしろと?」という疑問があるかもしれないので、お勧めのチェック方法としては、ローカルで『見開きのチェックができるepubリーダーで確認する』のがいいと思います。超縦書とか!

毎度毎度超縦書の話題を出していますが広告ではありません。

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