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K-POPのタイポグラフィ -2021年上半期編-

2021年上半期のカムバックを、楽曲タイトルロゴを見て振り返っていきましょう!!Let's get it ✊


Butter / BTS

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まずはみんな大好き Butter!。ジャケットのイラストとロゴがとにかく可愛い…。BTS のジャケットアートワークは繊細な線的表現が続いていたが、突然のアメリカンポップアート風。

ティザーサイトもワクワクさせられる。写真が多いのにベタ面とシンプルなロゴでまとめられていて、何より最初のモーションが気持ちいい。

どうやらButter ロゴは「Lobster」という書体が元になっているらしい。Google fonts なので、無料でダウンロードできる!

ただ既存書体をそのまま使うのではなく、B や r のツヤっとしたあしらいや tt に合わせて u の頭を斜めにカットしているのが効いている。e の巻き方もキュートで、なんだ全文字いいじゃん…。すべての角が取れているのもバターっぽいし、細部までデザイナーのこだわりを感じる。

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ちなみにティザーサイトの小見出しに使われているフォントはNorB Comic。まさにSmooth like butter なデザインに脱帽だ。


마.피.아. In the morning (GUESS WHO) / ITZY

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このミニアルバムは全曲いい。CDも買っちゃった。前回のnote でも紹介したけれど、ITZY作品はタイポグラフィの処理が丁寧だ。

ロゴタイプは2種類のフォントを組み合わせている。細めの「North Carossela Font」とうねる線が特徴的な「TAN - GRANDEUR」だ。

https://creativemarket.com/tantype/5824279-TAN-GRANDEUR

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よく見て!!メンバーの名前!!特にチェリョンのCH のとこ!!リガチャ*の処理カッケェ〜〜

*リガチャ(合字)とは、複数の文字を繋げて一文字にしたもの。tt や ff 、ae などはよく見られる。

イェジのE やリュジンのJ は、線のねじれがアクセントになっていて目を引く。

「TAN - GRANDEUR」だけだとちょっと特異すぎるけど、比較的スタンダードな形の「North Carossela Font」と組み合わせることで、インパクトがありながら、バランスの取れたロゴタイプに仕上がっている。

そしてCD特典のフォトブックもファッション誌のような出来栄え。インタビュー記事じゃなくて歌詞の組版ですよ、これ。クレジットを見たところ、デザイン事務所ではなくJYPのデザイン室の制作らしく、めちゃくちゃ驚いた。

芸能事務所の内製でここまでカッコイイものが作れるのか。王道アイドル路線のグループが多いJYPでガールクラッシュを突き進むITZY、本当に推せる…。

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Hello Future / NCT DREAM

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最後はNCT DREAM より今週リパッケージアルバムとしてリリースされたばかりのHello Future。ジャケットデザインはサイケデリックアート風だ。これは日本語訳詞を見て泣いた。ハッピーな歌だが、兵役を控える彼らが歌うと重みを感じる歌詞だ。

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そう、曲のテーマは世界平和。戦争なんかやめようぜ!未来は明るいから俺らについてこいよ!という歌だ。歌詞の内容や衣装から分かるようにビジュアルのイメージはヒッピー / フラワーチャイルド。どちらも反戦運動を含む思想・カルチャーだ。

サイケデリックアートはLSDがキマってる状態の世界を表現していて、ヒッピーとは切っても切れない関係。革命的な政治性やロックの精神性も担っている。ラリっているので視界は歪み、極彩色、当然文字もぐにゃぐにゃに見える。ジャケットの文字表現もこれが源流になっている。

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画像出典:https://www.nytimes.com/2020/02/20/arts/bonnie-maclean-dead.html



Hello Future のジャケットやMVはそんなヒッピーのカルチャーを元に世界観が作られていて、歌詞に込められたメッセージを見事に視覚化している。

パステル調のサイケデリック表現は古いようで新しく、そして何よりNCT DREAM の7人がその中にいることで完成している。ヘチャンの歌声もマークのラップも最高…ダンスで虹かけてるし🌈虹色は多様性の象徴でもあり、多国籍なNCTらしい作品だ。


ジャケットアートとは別にHello Future のロゴも。Hello部分 は2005年にカナダで作られたフォントで、Future部分 は70年代にオーストラリア人に作られたフォントだ。どちらの書体もヒッピー全盛の60年代の制作ではないが、サイケデリックかつポップでドリムの雰囲気にぴったり!

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ありがとうフォント特定班

今回各楽曲ロゴの使用書体は、すべてTwitter で見つけた。というのも各グループのフォント特定アカウントがあるのだ。「グループ名 + fonts」アカウントで検索をかけるとすぐに出てくることを発見した。

K-POP界隈、オタクの守備範囲が広すぎるだろ…。

私は使用書体を見つけ出してライブ参戦用のタトゥーシールを作ったりしている。早くオフラインライブ解禁されないかなぁ。そしてこの記事のカバー画像はLobster を使ってButter 風にタイトルロゴを作ってみました🧈 

あなたもぜひ「推しグループ名 + fonts」で検索してみてね!



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