見出し画像

2030年のクリエイターの働き方

こんにちは。グランドデザイン・代表の西克徳です。今回のnoteはこれからの働き方を考えてる人と一緒に考えたいテーマです。思えば、なんで欧米人は夏に1ヶ月も休めるの?から始まり僕はずっと『新しい働き方』を考えていて、先日も以下のウェビナーに参加し、そこでちょっとした発見と気づきがあったので、それを整理し考えを深めていくことにします。気になる人がいたらお付き合いいただければと思います。

ちなみにこのウェビナーの登壇者のお二人について少しだけお話ししておくと、石塚 由紀夫(いしづか ゆきお)氏は、日本経済新聞編集局経済解説部解説委員をされており様々なコロナ後の企業を取材されていて、とても幅広い知見をお持ちの方。一方の主催者、堀井 秀之(ほりい ひでゆき)氏は東京大学発のi.schoolの発起人でありエグゼクティブ・ディレクターをされており、イノベーションを作り出すワークショップのあり方を研究されていて、特に今年はずべてオンラインでi.schoolを運用する中で見つけた知見をお持ちの方です。そういう意味でこのウェビナーで僕は重要な示唆を得ることができました。

この記事の趣旨は、日本だけにとどまらない、全国的なまたは世界的な働き方を側に、僕らクリエイティブにおいて、
✔︎ オンラインの強みは何か
✔︎ オフラインの強みは何か
✔︎ んで、結局ハイブリッド?(集まる)それはなんで??
この辺りに関心のある方に読んでもらえたらと思っています。

新成長戦略4項目ってものがあるらしい

みんな知ってましたか?経団連が発表した2030年の働き方指標なるものがあるって。それは以下の4項目だそうです。

※全体的にタスク型雇用の方へ流れていきつつ、
①時間・空間にとらわれない自由な働き方が可能になる
②多様で複線的にキャリアを形成できる
③女性・外国人・シニア多様な人が活躍する
④産み育てやすい社会が実現し、出生率が回復

まず大手企業と中小企業の僕らを並列で考えるのはどうかと思うものの、大企業だって部署などの最小単位になれば10〜30人ほどの中小企業なので、基本が大きく違うということはない前提です。その大企業では大勢の管理職の不要論で大騒ぎしていますね。これはチーム型雇用の副産物であり、タスク型のクリエイティブ会社には『ちょっと何言ってるのかわからない』課題です。だから①の時間空間にとらわれない働き方には自然と移行できてるクリエイティブ会社は多いと聞くし、②の多様で複線的というのも、会社に勤めながらバイトで友人の事業のデザインを手伝ったりし、それが上手く転がりそうなので友人と独立、、なんてのに似てて、こういうのも僕らの界隈ではよく聞く話です。それに③の就業外国人の少なさはまだまだ解消されないものの、デザイン界では結構女性が活躍していているし、課題といえば④産後の復帰だと言えるのではないかと思っています。

つまり一般企業社員も僕らクリエイティブ系の方向へ働き方が変わっていく流れが生まれているということは、僕らって特殊な働き方だと思っていたら、意外とIT系と並んで割と先進的な働き方をしている職種?などとの気づきがありました。

オンライン・オフラインそれぞれの強み

結論から言うと、それでも僕らは集まっちゃうんです。なんでなんだろう?この半年ずっとテレワークで仕事してる人って結果として少ないんですよ、オフィスを解約してしまってない限り。僕はそれはなぜかと考え続けています。元どおりがいいとは思っている人はそう多くないはずなのに。せっかくの機会だし、僕らは前進した方がいい。ではオンラインの便利さってなんだろうと整理してみるとこんな感じかなと。

【ONラインの良さ】
①出勤の必要がない(往復1〜2時間の短縮)
②すぐに社内外問わずオンライン会議ができる
③作業的な仕事ならチャットツールさえつながっていればどこでもいい
④余った時間を自由に使える

以上って一般職であれクリエイティブ職であれまぁ一緒ですね。またオンライン会議で使う付箋系ソフト『MIRO』などは通常の会議の質を超えているとさえ思っていて、これは得難い発見をしました。ただ④がちょっと問題で、本当に余った時間を有意義に過ごせているかというと、ここは個人差が多いようで、日経の石塚さんいわく、今の日本では余った時間も結局仕事に費やす人が多いというアンケート結果があるようです。例えばこんな感じ。

④-1:余った時間も仕事に充てる
④-2:余った時間を趣味や家事に充てる
④-3:余った時間を自らの視野を広げることに充てる

どれがいいかといえば④-2か3ですが、考えてみれば、自分の仕事は何か?が明快でないと(タスク型)④-3の選択はできないですよね?余った時間を仕事に使っている人と、自分の視野を広げたり家族との時間に使っている人では、時間が経てば差がつくことは明らかです。一方OFFラインの良さはというと、

【OFFラインの良さ】
①ささいな相談をきめ細かくできる
②現場では毎日、笑いもあるし事件もある
③新人・新入社員のオンボーディングが難しい問題
④技術の伝承は対面がやっぱり効率的

これら2020年の通信技術前提での話ですが、いまの技術じゃ上記4つはまだまだ難しいです。僕らは毎日『何かを作りだす』ことが仕事で、そこにはいろんなレベルの壁があります。このちょっとした壁は今まで『そこにいる人』に聞くことで前進したり解決したりすることが多かった。社内にいる仲間なら誰がどんなことを知ってるかを知っているので、①や②はそこに集まっていればストレスを感じずに進められます。それと③や④については、一般的にも課題として上がる項目ですね。

僕らは『セレンディピティ』が最重要なんじゃないか

僕は先日のウェビナー参加やいろんな論説を読んでみて、僕らが集まって仕事をしたくなる一番の理由は『セレンディピティ』なんじゃないかと僕は仮説を立てています。言い換えれば、オフィスにはセレンディピティが必要。僕も数百人が共に働く広告代理店で仕事をしていた時期がありますが、そこに何千人いようとも、意識して交われる、会話できる仕事仲間は数十人です。つまり僕らはいっぺんに何百人に意識を向けることはないし、自然と知り合いの数十人に意識を絞ってそこに通っている。社内ですれ違うときにちょっと『最近どう?』的な会話したり、トイレでばったり出会って飲みの約束したり。そういったセレンディピティがなくなっても1〜2ヶ月間は問題なく過ぎ去るでしょうが、3ヶ月経つと様子は変わってきます。
10月に7000人の無制限テレワークを始めたYahooも、11月時点で『朝礼・夕会』のようなものをオンラインで再会したと聞きます。なんで再開したのかは分かりませんが、このYahooの動向は追っかけてみようと思います。

「知の深化」と「知の探索」をアウトプットする

もう一つ疑問なのが、そもそも100年前からデザイナーってタスク型職種であるのに、いまだになんで集まるの?(会社に所属するの?)という疑問。もちろん一つは技術の習得・成長であるし、また収入の安定も保証される。しかし本当にそれだけだろうか?という疑問がずっと僕にはあって。これは僕の仮説なんだけど、3つ目の重要な要素は『その会社にある集合知』なのではないかと。一人で独立したことのある人ならわかると思いますが、独立って仲間から離れる=集合知の外に出ることで、これが結構きつい。どんなに優秀なデザイナーでも孤立状態で自信を持って以前のパフォーマンスを出すことはなかなか大変なのです。オンタイムで仕事の進捗状態に触れられなかったり、壁に当たったとき相談できる人が隣にいなかったり、出来上がったものをどう思うか、感じるか聞くのはとても大事なことです。何よりクリオエイティブは個人になった途端、尖り続けることが難しくなるのはこのせいです。僕は作ったものに途中でいろいろ言ってくる営業が鬱陶しかったですが、そんな人間も恋しくなる。一人の天才より100人の集合知の方が賢いという言葉があるように、どんな会社でも一人よりは賢いというのは真実だと思う。
僕は新型コロナが流行り始めたとき、もしこの状態が続くのだとしたら自分らの『集合知』をいかに共有していくのかについて考えました。いま流行りの『両キキの経営』じゃないんですが、僕らの集合知を『深化したり、探索したり』して共有していくことは僕らの存在する本質を示していることにもなるのではないかと。それで作ったWEBページが以下のLABページです。スタート以降、今も毎週1テーマづつあげています。

今回のまとめ。

結局、出社した方がいいのか、しない方がいいのか、っていう単純な2元論は本質に触れてない議論です。一方がその人の恒常的な成長を必要としないのであれば、タスク型のテレワークは非常に理にかなった仕組みで、僕らの業界では何十年も前からコピータイターやカメラマンの外注という形で仕組み化されている。一方、数年にわたってその人の成長を重要とするなら、集まることはそんなに簡単に手放せるものではない。(少なくとも今の通信技術では)クリエイティブにおいて完全テレワークするということは、会社の外注要員になるということでもあって、それができるスキルの人とできないスキルの人に選別される。では会社はテレワークできるスキルの人だけで成立させればいいともいえるが、それではセレンディピティが減少することにつながる。実は熟練者に気づきを与えているのは若手なんです。
これから職場は『出社する価値のある職場か?』が問われている。これからの働き方を考えるとき、職場って仕事を通していろんな出会いや刺激を受ける場所であることと、集合知を集めやすいことが『いい職場の条件』になっていくんじゃないか?というのが今の僕の考えです。というわけで長くなりましたが、今日はこの辺で。

Twitterもやってるので、よかったらフォローしてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?