『ゴッドランド/GODLAND』

観てきました。
難しかった〜……
映画を観るには歴史的な教養とアカデミックな視点が必要だなって改めて痛感した映画です。


※初っ端からネタバレ含むので注意。




『ゴッドランド/GODLAND』内容

デンマークの牧師ルーカスは、アイスランドにキリスト教を布教するため旅立つ。
通訳や現地のガイドと共に教会の建設を目的として辺境の村を目指すが、言語の壁やその土地の過酷な自然に打ちのめされ、思わぬアクシデントもあり徐々に心身を蝕まれてゆき、旅の途中で昏倒してしまう。

意識を失いながらもガイドたちによって目的地に導かれたルーカス。
その土地ではデンマーク出身の一家の姉妹の存在に癒やされ、教会の建設も順調に進んでいく。しかし、アイスランドを横断し共に村にやってきたガイドとの確執が旅を終えた後も尾を引いており、また村のデンマーク人一家の父親からはなんとなく煙たがられている。
ラストに向かっていくにつれて関係性は良くなっていくどころか、破滅的な展開を迎えていく。


『ゴッドランド/GODLAND』感想


率直な感想としては、
とにかく大自然の厳しさと美しさ。

それを思うにつけ、対象的な人間の愚かさ。
神とはどこに存在するのか。
教会か。牧師か。人々の心の中か。大自然の中か。それとも神など存在しないのか。

牧師ルーカスは、おそらくデンマークでは評価の高い優秀な牧師だったのだろう。
ただ、非常に文学少年的というか、書物や聖書の中に世界を見出しているような人物で、融通が利かず打たれ弱い。
神に自身を捧げていると語りながらも、ストレスに弱く、罪を許せず衝動的に他者を傷つけてしまう。
そのような未熟な人物であっても「牧師様」と敬われてしまう宗教のパワー、ラベリングの力は恐ろしい。

そして、形而上的な神という存在に依存せずともその場に与えられたものに順応して生きている人々の力強さ。
そういった対比をアイスランドの自然とともに描いた映画かなと。

※当時アイスランドはデンマークの植民地であり、ルーカスとガイドたち現地の人々は支配者と被支配者の関係にあり、そういった上下関係もこの映画では重要な要素のようだ。

この記事が参加している募集

映画感想文

映画が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?