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【無料記事】司法試験予備校の理想的な使い方

 バッタです。
 質問箱でもたくさん質問の来る司法試験予備校の理想的な使い方について執筆してみようと思います。

 僕が受講してたのが伊藤塾なので伊藤塾を前提にしたnoteですが、他の予備校でも基礎講義→論文講義という流れは同じだと思うので援用できると思います。

 この記事は有料扱いになっていると思いますが、最後に投げ専用に課金システムを設置してあるだけで、最後まで無料で読むことができます。

 毎度のことながら、あくまで僕個人の意見として書いています
 このnoteだけを鵜呑みにするのではなく、ネットに溢れた数ある情報の1つとして読者様それぞれの形で消化してください



1 自己紹介

 お前誰だよ!!!って人もいると思うので、簡単に自己紹介をしておきます。詳細なものは以前noteに書いたのでよければ読んでみてください。


 経歴としては、令和5年度予備試験にB3で最終合格しています。

 成績は短答200点越え、論文2桁後半、口述は123点・5位です。

 伊藤塾はB1の5月から塾長クラス(現合格プレミアムコース)で聴き始め、論文受験時には論マスを完走できておらず、◎だけ一通りやったという状況でした。

 なので僕は基礎マスターを使い倒して2桁合格という結構珍しい属性の合格者だと自負しています。

2 基礎マスターの理想的な受講スタイル

(1) 僕がやっていた方法

 僕は基礎マスターを相当、いや、めちゃくちゃ丁寧に受講してました。
 完全に受講スタイルが確立したのは下4法に入ってからでしたが、サイクルはこんな感じです。

Step① 講義を聴く

 1.5倍速で聴いてました。

 たまにパワーポイントはどうしてたかと聞かれますが、B5用紙に印刷して26穴を開けて基礎マスターテキストのファイルの最後に閉じてました。

 パワーポイントを印刷しておいて助かったことがあるかといえばそうでもないので、めんどくさければわざわざ印刷しなくてもいいと思います。ただ、論マスの差替え答案はさすがにバインダーに入れた方がいいので26穴の穴あけパンチはいずれにせよ必須です。

*バインダーはメルカリでまとめて購入してました。

 講義を聴くときのポイントも聞かれることがあるのですが、noteに書くほどのポイントは特にないです。強いて挙げるならメモを積極的にしましょうということくらいですね。

Step② 復習1:テキストの復習と単語カードの作成

 講義を聴いたらテキストを読み込んで、単語カードを作成してました。

 この単語カードには、論ナビ掲載の論証や講師に覚えろと言われた定義について書いています。

 当時は、論ナビ以外に頼りになるものがなかったので、9割方は論ナビか講師修正の論証を書いていました。

↑論文受験時までに作り上げたカード

 この単語カードは移動時などに眺めるようにしてました。
 また、次の日には勉強を始める前に(記憶が曖昧ですが)1~3日前くらいに作ったカードまで復習してました。

 基礎マスターテキストも講義開始前に前回やった部分を確認してましたし、たまに頭からざっと全部確認することもありました。

Step③ 復習2:短答過去問を解く

 短パフェを使って講義でやった範囲の短答過去問も解いてました。
 使用教材は短パフェです。

 時々、基礎マス段階で短答過去問を解く意味が短答対策と思っている人がいます。
 もちろんそれも間違いではないのですが、一番の目的はあくまで網羅的な復習です。

 短答過去問は重要な論点から細かめな条文知識まで網羅的に聞いてきますから、分かったつもりで分かっていなかったところをアウトプット形式であぶり出すわけです。

 なお、本田講師の場合、ⅠとⅡに分かれていたので、Ⅰの段階では短パフェはやってません。


(2) 僕の方法の改善点


 全体の反省としては、とにかく時間がかかりすぎています。
 特に単語カードの作成は時間をかけすぎました。

基礎マスターは論文マスターと一体となってひとつの知識として完成するものなので、さっさと基礎マスは終わらせるべきなのです。

 基礎マス段階で単語カードを作るべきでない理由はほかにもあります。

 まず、論証は自分のレベルが上がるにつれてどうせ修正することになります。実際、基礎マスの段階で作った論証も結構な数どこかのタイミングで修正しています。

 また、論証をこの時点で詰め込んでも効果が薄いです。どうせ論文直前期には忘れていますし、多くの人は直前期に論証を詰め込みます。

 そんなわけで、基礎マス段階から論証を覚えようとなんてしなくて良かったわけです。

 時間をかけすぎたという点では、短パフェもわざわざ全問解かなくてもよかったなと感じています。
前述の通り網羅的な復習という観点で有意義なのですが、全問解かなくてもその効果は十分に得られたと感じています。


(3) 基礎マスターの受講スタイルの理想解


元も子もないことを言いますが、人によります。
 というのも、基礎マスターにかけるべき時間というのは可処分時間に大きく依存するからです。

 次の予備を目標にしていて、とにかく時間がないんだ!という人は出来る限り早急に論マスに移行すべきですから、以下の僕が考える理想解から更に取捨選択して受講してください。

 結論から言えば、僕の考える基礎マスターの理想的な受講スタイルは、

①講義受講後、テキスト・論証集を確認する
②短答過去問をある程度絞って演習する


①テキスト・論証集の確認

 基礎マスターテキストを読み込むべきことは言うまでもないと思います。

講義受講後できるだけ早いタイミングで、講師がなにを言ってたかを思い出しつつ基礎マスターテキストを読むことと、次の日新たに講義を受講する前に2~3日前くらいまでのやった範囲をざっと読むことくらいはやっておくと役立つと思います。

 問題は、論証集も見ろという部分です。
 この部分については僕以外言っている人見たことないですし、反対意見も多数あると思います。そもそも、ついさっき論証は基礎マス段階で覚えなくていいって言ったばっかじゃねえかと思われている方もいらっしゃると思います。

〇論証集を確認すべき理由

 ではなぜ論証集も確認すべきなのか。

 まず、論点を学んだらそれをどのように答案上展開するかは早いうちからイメージしておくべきです。それを学習するには論証集が最適です。

 また、論証はその論点を最もコンパクトにまとまています。大体の論証は、肝となる理由付けと判例・通説の規範で構成されていますから、論点の復習として優秀なのです。

 さらに、論証を早いうちに見ておけば、直前期の覚えやすさに影響します。いくら直前期に論証を詰め込むとはいえ、全く見たこともないものを覚えるのと何度か見たことのあるものを覚えるのでは覚えやすさが全く違うわけです。

〇肝心なのは”覚えなくていいこと”

 論証集の確認で肝となってくるのは、”見れば良い”のであって”覚えなくていい”ことです。

 先ほど述べた単語カードを作っていたことの後悔は、あくまで僕が論証を”覚えようとしていたこと”に起因しています。

 単に論証集を眺める程度ならば、そこまで時間もかかりませんし、修正による時間をムダにした感もありません。

目安としては、テキストの復習と併せて、講義後と新たに講義を受講する前に2~3日前まででやった範囲を確認すると良いと思います。すなわち、計3~4回確認するくらいということですね。

 もちろんやる気のある方は、隙間時間などにできる限り確認するとより効果抜群だと思います。

〇確認の際の意識

 確認の際は、理由付けと規範の結び付きを意識するとよいでしょう。

 不法領得の意思の論証で考えてみます。

不可罰的な使用窃盗や毀棄罪と窃盗罪を区別するため、不法領得の意思は必要であり、その内容は権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用処分する意思であると解する。

 この場合、使用窃盗と窃盗の区別という理由付けが権利者排除意思に、毀棄罪と窃盗罪の区別という理由付けが利用処分意思に繋がっているわけです。


 なお、憲法は論証という論証もないので、わざわざ論証集を確認しなくていいです。
 その分、他科目よりも判例を重視して復習しましょう。


②短答過去問をある程度絞って演習する

 先ほども述べましたが、短答過去問を演習する最大の理由は網羅的な復習にあります。

 この目的を達成するという観点からは、短パフェを全部解くというのはオーバーワークです。

 そのため、ある程度絞って演習しても十分目標は達成できると考えます。

〇絞り方

 絞り方としては、正答率で絞るやり方と年度で絞るやり方がありますが、これは好みによります。

年度で絞るメリットは基準が明確で画一的なことです。
 正答率は科目によってかなり違います。公法や商法は軒並み正答率が低いですが、民法や刑法はかなり正答率が違います。
 そのため、正答率はあまり画一的な目安とは言えない気がします。

 一方で、正答率で絞れば、受験生ならだれでも抑えている重要な知識から優先的に復習することができます

〇絞る範囲

どこまで絞るかについては、可処分時間と相談としか言いようがありません。
 5年分くらいが目安かなと僕は勝手に思っていますが、何の根拠もない数字なのであてにせず、自分でやってみて判断してください。

 短パフェではなく、合格セレクションを使うというのも一つの手だと思いますが、基礎マス段階の復習としてはこれでも若干多いかも?とは思います(実際に合セレを見たことがないので分かりませんが・・・)。


3 論文マスターの理想的な受講スタイル


 論文マスターの理想的な受講スタイルは、あまり特徴がないのでサクッと説明します。

①答案構成
②講義視聴
③かるーーーーく復習

Step① 答案構成

 論文マスターの予習方法としては、脳内答案構成、紙で答案構成、フル起案と段階があります。
これらは問題に応じて使い分けましょう。

〇それぞれの方法の特徴

<脳内答案構成>
 メリットは、時間がかからないことです。単純明快ですね。

 一方で、複雑な事案や難度の高いものだとこれで済ませるのは難しいかもしれません。

 また、講義を聴いたときに元々分かっていた気になってしまうという問題もあります。
 論文の答案は、論じる順序・流れや当てはめの評価、三段論法の徹底といった事項が重要なことは言うまでもないですが、脳内答案構成だとこれらを始めとする重要事項が曖昧になってしまいます。

 その結果、なんか元々分かってた気がするという気持ちになってしまうので要注意です。

 さらにいえば、これと似ていますが、復習のときに自分がどこができてなかったかを分析するのにも適していません

 また、必然的に一問にかける時間と労力が減るので頭に残りづらくなります。


<紙で答案構成>
 メリットは、フル起案と脳内答案構成のいいとこどりです。
時間はそこまでかからず、かつ、自分のできていたところ・できていなかったところを明確にできます

 一方で、脳内答案構成よりは時間がかかってしまうことは事実です。


<フル起案>
 これはあまりに時間がかかりすぎます。そのため、オススメしてません。

 ただ一応メリットもあり、紙で答案構成する以上に自分の細部の弱点が分かります
 また、タイムマネジメント能力はフル起案でしか身につけようがありません


〇具体的な使い分け

 まず、△と指定される問題については脳内答案構成でいいです。

 一方で、〇と◎と指定された問題は一周目は紙で答案構成しましょう。
 可処分時間によっては、◎だけとかAランク〇と◎だけとかでもいいです。

---2024/4/19追記
 改めて問研を見直してみると、〇と◎を全部紙で答案構成するのは効率悪そうだなと考えを改めました。

 ◎は紙で答案構成し、〇は脳内答案構成だけでいいかもしれません。

 要は重要な問題だと講師から言われる問題は紙で答案構成し、それ以外は脳内答案構成で足りるということです、

フル起案は、予備の過去問のうち何年度分かだけで良いです。
 さすがに初見で一回も過去問を起案したことがないとタイム感覚が分からないと思いますし、書いてみると自分の悪い癖とかも見つかるので、多少はやりましょう。

2周目以降は、全問脳内答案構成でいいです。
 複雑な事案で、脳内じゃ処理できない場合には紙を使えば良いともいますが、それならば1周目ほど丁寧な答案構成じゃなくて良いでしょう。

 1周終わってしまえば、あとは時間が許す限りとにかく回しまくりたいので、脳内答案構成が最も適しています。


Step② 講義視聴

 講義視聴中は、基礎マスター以上にメモをとりまくりましょう

 復習のときに、あてになるのはこのときとったメモだけです。

 パワポに書いてある内容でも、復習のときにどうせパワポ見ないのでしっかりメモしておくべきだと思います。


Step③ かるーーーく復習

 論マスの復習は軽くでいいです。

 出てきた論証の確認や、ナンバリングごとに議論していることを一言にまとめれば何なのかをイメージすると良いと思います。

 これは僕がXで度々言っているのですが、問研の問題は、”この問題が解けること”を意識するのではなく”答案が書けること”を意識して復習しましょう。
 すなわち、できる限り抽象化して問題から学びを得るべきということです。

 例えば、この論点ではこの事情が特徴的で〇という結論になってるけど、こういう事情になったら×になるよなとか。

 もっと広い視点でいうなら、このパターンの主張反論はこういう生の主張から考えると導きやすいんだなとか。

 さらにダイナミックな視点でいえば、ナンバリングは規範、当てはめ、結論で分けると読みやすいんだなとか、三段論法ってこうやって書くんだなとか。

”この問題が解けること”に注目しすぎると答案例の暗記に走ってしまいがちですし、応用力が身につきません

 もっと抽象化して学びを得ようとすると1問から次々に学びが出てくることに気付くはずです。

 あとは、復習の最後に、その問題から学んだことを3つくらいピックアップしてみるのも良いと思います。
 そうすることで、漫然と答案例を読むだけという復習を回避できます。


4 とにかく早く一周しろは本当に最適解か


 受験界隈の通説的な見解としてこんなものがあります。

講義は、分からなくてもいいからとにかく早く一周しなさい。

 これは一概に間違いとはいえませんが、誤解すると危険な考えだと個人的には思っています。

本当に持つべきマインドは”とにかく早く一周”ではなく、”最低限の復習をしつつ、なるべく早く一周”だと考えています。

確かに、講義はさっさと一周すべきです。

 基礎講義と論文講義は2つが一体となって1つの知識になりますから、なるべく早く論文講義は受けるべきです。

 また、学習を進めていくことでどんどん法的思考力が身につき、最初分からなかったことが後から振り返ってみると簡単じゃんということも多々あります。

 しかし、これは復習なんていらないということを意味するわけではありません

 まず、法律の学習は積み重ねが大事です。
 伝聞証拠を知らないままでは伝聞例外を理解できません。

 法律は繋がりをもっていますから、最低限の基礎知識がないまま次々に進んでいくと、最初から最後まで何も分からないままということになりかねません。

 また、論文講義を効率的に吸収するには最低限の知識が必要です。

 Aランク論点ですら「そんな論点あったっけ?」という状態だと、効率的に論文講義は吸収できません。

 感覚的な論じ方で申し訳ないのですが、基礎マス段階で完成させることのできる知識の精度は60%が限度で、論マスを受けて100%まで上限解放できます。
 しかし、基礎マス段階で25%くらいの知識がないと、上限解放の儀式を受けることができません。

 合格者なら多くの人が、短答に合格した後に論文に戻ってくると見える景色が違うという経験をしたことがあると思います。

 やはりある程度の知識を持った状態で論文の学習をすると、”どう書くか”に集中することができ、伸びが早いのです。


 なにも徹底的に復習しろとは言いません。

 早く一周することは大事ですし、復習に時間をかけすぎるのはよくないことです。
基礎マス段階ですべてのことを理解するなんて不可能ですから、分からないことが沢山あってもいいんです。


 しかし、早く一周という受験界通説を、復習不要説とイコールだとは思わないようにしましょう


5 最後に

 いかがでしたでしょうか?

 僕の意見は他の人の意見とは違う部分もあると思います。
 なかには、僕と真っ向から反対の意見を提唱する人もいるはずです。

 最初にも言いましたが、僕の意見を鵜呑みにするのではなく、色んな人からお話を聞いて、自分が一番合ってると思うやり方で上手く予備校を使いましょう。


 非常に勝手で申し訳ないのですが、どのくらいの人がお金を払ってもいいくらい役に立ったと思ってくれたのかは僕のモチベ維持の観点から気になるところではあります。

 そのため、投げ専用に課金を置いておくので、万が一お金払ってもいいくらい役に立ったよ!という人は投げ銭してください🙇‍♂️

ひとつでも投げ銭が来たらとても喜びます。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 この記事を読んでくれたすべての人の努力が報われることを影ながらお祈りしています🔥

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