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PS5「スパイダーマン2」これはアメイジングを超えた……アルティメットゲーム体験だ!!

初めは賛美だったか、それとも皮肉だったのか。

CG技術の超進化に伴うシーンの写実美化を受けて「ゲームが映画になった」という決まり文句が使われるようになったのは、もう20年以上も前のことだろうか。

その後、エンタメ超大作映画はより「シネマティック」な派手さを極め、一方のテレビゲームはプレイヤーが働きかけることによる「体験」の独自価値を深めていくことで、この二者はそれぞれ異なる道を進んでいった。ような気がする。(メガトン雑語り)

しかし2023年、この二つの道は再び一つになり、ゲームを超え、映画を超え、獣を超え、人を超えたアルティメット傑作が降臨した!!

「スパイダーマン2」!!!

今更やったけどアルティメット面白いぞ、このゲーム!!!

おっと。この手の「話題の超大作」なゲームって、PVで面白い要素や派手な演出シーンを全部出し切りがちだよね、と思ったことのあるそこのあなた。俺もそうでした。最近のモンハンとか、PVでほぼ全モンスター出てくるから本編物足りないよね……。

真逆なので、不安感じてるやつは迷わず買え。

目玉ヴィランのヴェノム出てくるまでもだいぶ長いぞ。というか俺もまだ出会ってないぞ。

本作が大傑作であることは発売直後から大いに話題になっており、ド派手なシーンの数々などは公式PVでもチェックすることができるので、本稿では主にPVだけでは伝わらないゲームの手触り面での爽快感、完成度の高さについて触れていきたい。

ちなみに私のスパイダーマン歴はというと、旧映画版(サム・ライミ版)は見たが記憶が曖昧、「アメイジング」2作と「ホーム・カミング」〜「ノー・ウェイ・ホーム」までは全部見てて、スパイダーバース」は見てるけど「アクロス〜」は見てない、コミックは全く未読。

で肝心のゲームの方はというと、PS4での一作目「スパイダーマン」を途中までやって止めてしまった、という感じだ。続編の「マイルズ・モラレス」は未プレイ。なので、以降の記述の中ではその要素前からあったぞ、という点が出てくるかもしれないが、悪しからずご了承いただきたい。逆に言うと、これまでのゲーム版を未プレイでも全く問題なく楽しめるという点はここで強くアピールしておきたい。

ではでは、参りましょう。

◆アルティメット・ヴィラン
最初のチュートリアルで戦うことになるサンドマンがもうすごい。サウンドマンではない。

こいつは無印映画版の「3」でもおなじみの砂の巨人なのだが、圧巻の演出にはPS2時代のゴッド・オブ・ウォーの衝撃を思い出した。やはり巨大な敵とウェブやチェーンアクションの相性の良さは特筆すべきである。GOW、PS4版も武器はブレイズオブカオスがよかったなあ。

そして、今回のメイン敵となるのがクレイブン・ザ・ハンターと彼の軍団(ハンター)だ。こいつは一言で表すならば、ヴィランを狩るヴィラン。なんだただのおっさんかよ物足りねえな、と思っていたらステルス戦闘機からミサイル撃ってくるわ、Horizonシリーズばりのメカビーストをけしかけてくるわ、アンカー銃で船を沈めてくるわ、もうやりたい放題。

ちなみにクレイブン以外のハンターは全員名無しモブなのだが、飲み会で毒吹き矢の試し撃ちされて昏倒するやつとか、ハルクバスターみたいなスーツに巨大斧持ってる中ボスとか、実力もキャラクターも妙に印象に残る。

何よりこいつらの数が凄まじく、小さな町くらいの総人数がいると推測される。先述の通り一人一人は血に飢えた荒くれ者の集まり(一応階級はあるらしいが)なので、クレイブンのカリスマが相当なのだろう。

で、当のクレイブン本人もなんかドーピングしてるらしく、シンビオート(ヴェノムの黒いアレ)とも平気で殴り合える冷酷系ゴリマッチョ。監獄にいるやつは脱走させてから狩る。更生してるやつは再就職先を襲撃して狩る。なんだこいつ怖すぎる。ネームドのヴィランもバンバン殺すし、やると決めたらどこでも襲撃してくる。プロシュート兄貴並の潔さだ。ちなみにサブクエストをやるとなんとクレイブン一家の過去を知ることができるのだが、それがまた狂っている。必見。

あとは本作最大の敵とされているヴェノム……なんだけど、サブクエに夢中でまだ出会ってない。正直クレイブンだけで手一杯お腹いっぱいなんだけど、どうすんだこれ。


◆アルティメット・ムーブ
基本的にビル街でウェブ伸ばして飛んでるだけで楽しい。これはPS4版一作目から共通だ。

で、それに加えて今作ではウェブ・ウィングという、モモンガ式のグライダー飛行アクションが追加。

動画で見てる限りだと地味でわざわざ使う必要ある?って感じなんだけど、これがめちゃくちゃ便利で気持ちいい〜!!!どうしても従来からの糸スイングは挙動のクセがあるため、完璧に決まると爽快な一方、障害物の配置によっては狙ったところに向かえなかったり地上に降りてしまってカッコ悪いことも多かった。その点、直線的に進めるウィングの便利さが際立つ!

しかもニューヨークは風都かってくらいにいい風がそこら中に吹いているので、加速したり上昇気流に乗ったりもし放題。単にゆっくり落ちながら前進するのとは段違いの爽快感を味わえる。


◆アルティメット・アンブッシュ
ゲーマーの間でも好き嫌いが大きく分かれる要素であり、シリーズを通したアクション面での目玉の一つがステルス

バットマンよろしく、高所から気づかれずに敵を始末していくがその主戦術……なのだが、第一作では個人的にこれがあまり得意でなかった。電柱の上とか屋根の上に飛び移りながら地上の敵を吊るしていくのがスパイダー・ステルスの流儀なのだが、当たり前ながらどうしても彼が待機できるポジションには限りがあるため、その下に敵を誘き出して機会を伺う場面が多かった。また、点から点へと飛び移るアクションが慣れるまでは暴発しがちで、結局大騒ぎされて大乱闘、あわれスパイディは囲まれてフクロに……という展開になってばかりだったのだ。

そんなステルスアクションにも今回からの新強化要素として、ウェブ・ラインが登場。狙ったところにウェブをまっすぐ伸ばし、その上を自由に歩けるようになるというものだ。

文章にしてしまえばそれだけ。

え、それだけ?と思われるだろうが、これがまたマジで便利で楽しい!設計されたマップのオブジェクトに捉われず、自分でどんどん糸を張り巡らせてリアルスパイダーのように上空から襲い掛かれる……というのがどれほど革命的なことか、3Dのアクションゲームを遊んだことがある方なら想像がつくだろうか。

敵の真上、あるいは裏側へ、自分なりのルートでウェブを展開したら、あとは簡単。真上までこっそり忍び寄って(基本的にこのタイミングで見つかることはないので安心)、⬜︎ボタンをワンタッチ。次の瞬間、あわれ犯罪者は顔面と四肢をグルグルに塞がれ絞首刑に(※殺してません)。

しかしまあ、犯罪者諸君も鍛えられたハンターの皆さんも、本当に上を見ない。愛すべきツッコミどころの筆頭なのだが、「スパイダーマン!どこだ!」「蜘蛛がいるぞ!」「ウェブだ……」とか言いながら、絶対に首を上に向けない。坂本九を見習え。人間はほとんど頭上に注意を向けないという話が出てきたのは「喧嘩商売」の櫻井裕章のエピソードだっただろうか。

そのため、こちらがやることはとっても簡単。そこら辺のドラム缶かなんかにウェブを当ててスパイダーポルターガイストを引き起こせば、どんなに訓練された傭兵も「様子を見てくる」とか抜かして単独行動し始めるので、あとは一人ずつ宙吊りに処すだけだ(※殺してません)。しかもスパイダー見切りによって、襲ったら気づかれる敵は「危険」、セーフな敵は「安全」と表示される親切仕様なので、吊るし上げが捗る捗る。昔の大型掲示板みたいだね。

全く上を見ようとしない哀れな犠牲者たちであるが、もしひとたび天井に目をやればそこには縦横無尽に張り巡らされた蜘蛛の巣、そしてミノムシめいて討ち取られた仲間の死体がダース単位!(殺してません)これにはいかに訓練された強者でも、急性SRS(スパイダーマンリアリティショック)の発症を禁じ得ないであろう。

とにかく、この空中からのアルティメット・ミノムシ・キル(正式名称は「ハングフィニッシュ」)が便利で楽しいという話でした。武装したならず者どもを瞬殺でどんどん処していけるので、すっかりハマってしまった。



◆アルティメット・コンバット
いきなりだが、本作のスパイダーマンは弱い。

さらに言えば第一作目から彼は弱かった。

というと、さすがに語弊がありすぎるので補足しよう。

正確には「慣れないと弱い」、そして「打たれ弱い」。

プレイ動画並みのスタイリッシュアクションをマスターすれば、大勢を相手に無双も夢ではない……のだが、高速かつ縦横無尽すぎるその特性ゆえに、アクロバティック四次元殺法をモノにするのは簡単ではない。アクションゲームのタツジンなら容易かもしれないが、私はというと難易度ノーマルでもちょくちょくやられて「へっ、こんなものか!」とニューヨーク・ヤンクにも嘲笑われている有様なので、なかなか厳しい。

特にスパイダー耐久力はスーパーヒーローにしては切ないものがあり、そこらのクソガキに鉄パイプでパンチをガードされれば手が痛くて怯むし、銃弾を喰らえばメリメリ体力減るし、火炎放射が直撃すれば消し炭一直線だ。

当たり前だろうって?そこはほら、スーツのパワーでなんとかしてほしかったじゃん。ちなみにそんな死闘の傷跡はスーツの外見にもしっかり反映されるので、ムービーシーンで素肌が見えてたりすると痛々しい。

この虚弱問題が相まって、特に苦しいのが集団戦。後述した通り、本作のネオニューヨークの治安はまさにマッポーカリプスの様相を呈しているため、敵がまあたくさん湧く。もちろんこちらにもド派手なフィニッシュムーブはあるのだが、龍が如くよろしくゲージを使うためなかなか多用はできず、あとはどうしても敵の猛攻を回避しながら個々に空中戦に持ち込んだりして、地道に数を減らしていかざるを得ない。

あとこれも如くシリーズを思い出す点だが、ブルートと呼ばれる巨漢タイプの敵がクソ強い。ちょっと体格に恵まれているというだけでスパイディの打撃を物ともせず、スーパーアーマーでどんどんこちらを追い詰めてくる。ハルクかよ。

そんなわけで、私のような凡人では物量作戦と銃弾嵐の前に防戦に徹してチャンスを待たざるを得ないことが多々あり、なかなか映画のスパイディのような無双ムーブは叶わなかった。第一作ではこの点が個人的にまだ厳しく、バトル疲れしてしまった点は否めない。

しかし、今作は違う!

バトルが楽しい、とにかく楽しい。

残念ながらスパイディ自身の打たれ弱さは解消されていないのだが、代わりに時間経過で使えるようになる各種アビリティが充実。フィニッシュに次ぐ準必殺技として、ド派手な戦いを可能にしてくれている。

ご存知元祖スパイダーマン・ピーターの初期アビリティは背中からドクターオクトパスめいたメックアームを飛び出させて敵を滅多打ちにしたり電流を流す技で、こちらもまずまず強い……のだが、圧巻はもう一人の二代目スパイダーマンことマイルズのアビリティだ。あ、書き忘れてたけど本作では二人のスパイダーマンを使い分けながらゲームを進めていくことになる。今夜は俺とお前でダブルスパイダーだからな。

で、このアルティメット高校生だが、鬼太郎ばりの体内電気を身につけており、電パンチや超電ドリルキックをはじめとしたド派手かつ超破壊力の技を繰り出すことができる。この爽快感たるや素晴らしく、アビリティだけでなくフィニッシュでもたびたび金の力をまとった演出を決めてくれるのでとっても気持ちいい。

ちなみにこのマイルズスパイダーマン、なんとスーツに光学ステルスまで搭載されており、透明になればほぼ無条件でバックスタブをかまして敵一人を暗殺できる(殺してません)。この高校無法すぎるだろ。

他にも、弾数は限られているが便利なスパイダー・ガジェットも攻撃に使用できるため、このあたりを惜しみなく使うことでかつて悩まされたバトルのマンネリ感は解消され、むしろ戦いたくて仕方ないスパイダー闘争本能に支配されるようになった。レベルの上がりやすさとそれに伴ってアンロックされるスキルの強力さ・便利さも相まって、とにかく犯罪者狩りが楽しい。このニューヨークは全て俺のキリングフィールドだ。

とか書きつつ本編を進めてたら、中盤でピーターにシンビオート(ヴェノムのアレ、ジブリでいうところのまっくろくろすけ、ニンジャスレイヤーにおけるアンコクトン)が寄生した。

もうPVとかで出まくってるから言っちゃうと、その結果ピーターはヴェノムめいたガチ暴力を振るえるようになりました。

そしてそれがスゴクツヨイ!!コワイ!!!

ずっとネックだった、スパイダーマンというキャラクターの線の細さゆえの通常打撃の軽さ、言ってしまえばフィニッシュ以外のペチペチ感が完全に消え去り、加えて攻撃範囲も大幅に拡大。湧いてくるハンターどもを力任せにちぎっては投げちぎっては投げできるようになった。

なんといってもヒサツ・ワザがツヨイ!!L3・R3両押し込みするとシンビオートがその暴力性を全開にし、攻撃力が限界までアップ。適当にパンチ連打しているだけでフィニッシュをオートで繰り出すという、嘘喰いの伽羅さんめいた暴の嵐が吹き荒れるのだ。

L3・R3、すなわち両スティック押し込み!このコマンド、ゲーム史上で一番好きです。世代的に236Pより好き。ゴッドオブウォーでレイジ発動(シンビオート全開とだいたい同じ技)に割り振られたときから大好き。左右スティック押し込むの、スーパーロボットの秘密兵器感がすごくないですか。

とにかく、シンビオートがもたらしてくれたヘビー級格闘アクションのカタルシスは凄まじい。ここまで足りていなかった最後のピースが埋まったかのようだ。やっぱり近接アクションは重さが大事だよね。

ちなみにL3+R3のコマンドをマイルズで入力すると必殺パワー・サンダーブレークが発動、全身から大放電を行って周囲の敵を一掃できる。通常の強盗ならこのワンパンで決まることもあり、めっちゃくちゃ気持ちいい。

こうして最終的にはどっちのスパイディでも無双できるようになったのが楽しくて仕方なくなり、ストーリーそっちのけでサブクエを片っ端からコンプリートしてもなお物足りず、サンドバッグ求めてニューヨークを飛び回っては通報に歓喜するようになってしまった。大いなる責任がなんだって?


◆アルティメット・治安
ネオニューヨークは修羅も逃げ出す弱肉強食の街。

オープンワールドが退屈にならないよう、本作では街を移動中にもランダムにスパイディの元へ通報が入り、街中での犯罪を解決するミニミッションが発生するのだが、この頻度がまた凄い。体感20秒に一件は犯罪が発生している。

それもコソ泥や喧嘩じゃないぜ。装甲車が暴走したり、メカビーストが跋扈したり、タンカーが襲撃されて爆発寸前だったり、機関銃と火炎放射器で武装したカルト集団が往来で一般市民に焼印を押す儀式を企てたりしている。もう世紀末どころの話ではない。こんな人類に救う価値はあるのか。シン・ウルトラマンのゾーフィが見たらゼットンを10体くらい起動させると思う。アレは科学の話だからまた別か。

そもそも犯罪者どもも殺されないからって調子乗りすぎだよ。絶対ナメてるだろ。キングダムの桓騎くらいインパクトあるオブジェ作ってやって少しは恐怖ってものを教えた方がいいんじゃねえか(殺してはいけません)。サムライソルジャーのジョーくらいの生き恥系公開処刑ならどうだ。伝わる人いないか。

そんなわけでマ・ドンソクも呆れそうな犯罪都市ネオ・ニューヨークだが、とはいえ一方の一般市民たちもただ蹂躙されるだけの存在ではない。具体的に言うとクソ図太い。スパイダーマンがいる日常に慣れすぎた結果、平気で不要不急のスパイダー・パシリ依頼を入れてくる。

ホームカミングに彼氏を誘う手伝いをしろなんてのは序の口、ドローンが壊れたから代わりに学校を撮ってくれとかいう依頼で空を延々飛ばされたときはドローン部部長をミノムシ・キルしてやろうかと思った。こいつらにスパイダー時給を秒単位で請求してやろうか。今この瞬間にも武装カルトの被害が発生しているんだぞ。親愛なる隣人だからといってこいつら馴れ馴れしすぎるマジで。



あととにかく演出が凄いとか映画ばりのストーリーが楽しいとかMJがイコライザー並のステルスコンバットで怖いとか色々あるのだが、書ききれない&ストーリー自体がまだ多分中盤過ぎたあたりという体たらくなので、今回はここまでにしておこう。


最後にアルティメット・まとめだ。

・ド派手な演出はゲームの最高到達点へ
・敵の存在感もバッチリだ
・移動も暗殺もより便利に、遊びやすくなったぞ
・タイプの違う二人のパワーで街のクズどもを叩きのめせ

以上!迷ったら買え!決断的に!


アルティメット・終わり!


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