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新型クラウン試乗「室内編」

クリックで高解像度


圧倒的な辛口批評


がネット上にも散見される
”クラウンクロスオーバー”

「室内クオリティ」

を体感してみた。


最近のトヨタ・レクサス車の
インテリアクオリティは率直に言って

モデルを追うごとに下降線

を辿っていることには同感。
この10年間で

”プラスチックの使いこなし”

だけは「世界トップレベル」になった
とも思うのだけど・・・。


ひとつには
高額モデルの質感が乏しくなり。

同時に、
庶民派モデルの質感が上昇した。



いう事は言えると考えていて、
これらの変化が同時に進行したことで
ボクシングで言うところの

”カウンターパンチ”

のような倍増効果(!)
になっているような気がしている。


90系のノアや最近新型になり一新された
シエンタの室内を見ていると
特にそんな印象が強まる。

つまりは、

「どこにそれだけの価格差があるのか?」


ユーザー視点では極めて掴みにくくなった。


かつてのような”CELSIORの室内”を見て、

直後に
”Vitzの室内”を見たような。


ため息が出るほど圧倒的な

「差」

がないのが現代のトヨタ。


それでいて、モデルごとの価格差そのものは
高額、庶民派共に上昇したものの

”価格差”

には
さほどの変化がないとなれば

「一言物申したくなる」

というのもよくわかるような・・・・。



なんて戯言にお付き合いして頂くのも
申し訳ない。


前回は”外観”を中心に私見を
述べさせて頂いた

”新型クラウンクロスオーバー”

早速今回はインテリアについても
少し触れさせて頂こうと思い、
お付き合い頂ければと。





「ダークチェスナット」カラーの室内(G Advancedレザー)


第一印象は


決して悪くない。

カーブを多用していてセクションを明確に
区分けするようなデザイン。

大型の中央ディスプレイと外枠で連携させた
メーターセクションも
一見すると最新世代に見える。

いっそメーターがフル液晶になるのであれば

”スクリーンで中央モニターと結ぶ”

デザインなら良かった・・・
なんてよぎった。


「ダークチェスナット」

とされるこの室内には
随所にブラウンのエリアが散りばめられていて
印象が良かった。

ひとつひとつを確認すると
レザーの張り込みもあり、

(そんなに酷評されるものかな?)

と感じる。


まぁ・・・

”第一印象では”

という事なのだけど。


革質も良く外側に向かって広がるようなステッチワークの前席デザイン。


色ではなく、
ステッチワークで魅せるこのシート。

写真で見るだけでも
”フルサイズの余裕”
が伝わってくるようなサイズ感。


助手席の側面に備わる
「ナビシートスイッチ」
を見て安心感。

ただ、今回からは”伝統”でもあった

”運転席ドアのトランクオープナー”

は見つけることが出来なかった。

(遂に途絶えたのか・・・)

と、心の中で。


ダークチェスナット内装のドアライニング(前席)


ドアを開けてライニングを見る。


既に22系で免疫も出来ていた(?)
ためか、

ここでも事前に目にしていたような
”ネガな要素”
をそこまで強くは感じなかった。

むしろ近年”一体成型パート”が
急激に増えていく中で、
今回の35系は分割箇所が多い気もした。

ただ、強いて言うならば
もう少し随所に

”80系ハリアーのような”

ステッチラインがあれば
もっとわかりやすく高級感を演出できた

そんな気もした。


あと、ひとつ気になったとすれば

「ライニングが異常に薄いこと」

だろうか。
”異常に”と表現したが

軽バンのように薄型で、
下手をすると

”肘も乗らないか?”

という
薄さが気になった点といえばそう。


完全オリジナル意匠となったステアリングセクション。


左右に丸型の配列でおなじみだった
トヨタのステアリングスイッチ。

これが今回から一般的な
ボタン配列に改められていた。

(ようやく慣れたのに・・・)

という声も聞こえてきそうだけど。


下部のオーナメントに特徴あり。

”末広がりと尻すぼみ”

を中と外で同時進行した意匠。
好き嫌いが分かれそう。

加飾に関しては”キャリーオーバー”か。


一新された操作系意匠、左はオーディオや表示内容の切り替え



いつもの通り右側には「TSS」操作系を配置する。






「ボタン式」をあっさり辞め「電気式」となったシフト操作。


次にこちらはシフトセクション。


僕が僭越ながら・・・

”最も大事だ”

と常に訴える
室内においての重要パート。


最初に気づくのは
”ボタン式AT”
が消滅し、

30プリウスから続く電気式ATへと
戻っていた事。

ただし、
こと「クラウン」の歴史としては初採用。

指先でつまんで操作する感覚は
最新の”911”にも通ずるタッチ、

あるいは「プリウスアルファ」
思い出した(笑)


そして、これは重要だと思うが

「センターコンソールが細い!」

この事実に終始頭の中が
”不満”に支配されてしまった。


形は変われど、駆動は変われど・・・


「されどクラウンなんだろ?」



あらゆる事柄を

「一旦棚に上げて」

ニュートラルに見ようと思ったのだが。

これを見て、感じて
一気にその先の期待感は消滅。

”素材”に関しての指摘を多く見ていたので
免疫は出来ていたのだが、

「サイズ感」

にこれほどガッカリするとは
想像していなかった。

計測したわけじゃないので
”そう感じただけ”
なのかもしれないが・・・。


おくだけ充電もコンパクトに進化した新意匠。


「ストン!」と落とすように入れると充電が開始される。


シフトコンソールの先端に

「おくだけ充電」

が配置されるのは定石の通り。

ただ、ご覧のようにスマホを寝かせて
ベタ置きするこれまでのものとは
大きく変わっていた!


縦型に収納して、というのは
限られたスペースを有効活用できるので
今後スタンダードになる予感。

コンパクトカーなど室内空間が限られるほど
この方式は他の機能にデザインを
明け渡せる優位性があるように思えた。


メッキリングを廃止した新デザインのボタンを採用。


スタートボタンもここで一新。

まず、”ブルー”を廃止。
その上で”メッキリング”も廃止。

これから愛車を起動させる上での

ワクワク感があるか?

と、聞かれると・・・
答えはどうか。

採用を決定した者に尋ねる他ない。


ブロンズカラーのセミグロス意匠を室内全体に配置する。


そしてこちらも新しい試み。

正式名称を調べていないが

「ブロンズ基調のセミグロス」

なモールやガーニッシュ類が
室内を全体に支配しており、

先にご紹介した
”ステアリングSW”
の一部にも採用されている。

全車なのか、
この内装の特権なのかは不明。

質感はあるが、クセもある。

そんな印象を持った。


横一列にまとめられたエアコン操作系のパート。


シフト周辺から視線を少し上に上げる。

センターレジスター、
こちらも遂に

「スイングレジスター」

を排除したもの。


”脱クラウン”
にはできる限り付いていきたい。

”新世代クラウン”
をできる限り応援したい。

気持ちはあるが、これが彼らの土俵。

”上がるか上がらないか”

は、こちらの自由。


「クライメイトコンシェルジュ」同様の機能は継承されていた。


「シートヒーター&ベンチレーション」

の作動点灯時、
ランプ照明のカラーを確認したくて
夏だと言うのに
”ヒーターをON”
にしたのだが・・・

作動したのは
”クーラーの1段階”
だった。


(押し間違えた?)


と、思い再び操作。

やはりヒーターを押しているのに
クーラーが点灯する。

ちなみに”緑色の点灯色”で・・・。


どうやら先代と同じく

「コンシェルジュAUTO機能」

が内蔵されており、
ヒーターを押したものの

”今の気温ではクーラーですよ!”

と、機械が強制的にクーラーを
作動させたもの。

「AUTO」

の表示があまりにも小さすぎて
その機能にしばし気づけなかった。


遂に画面の全てを地図に、が可能となった真の12.3型モニター。


そこからさらに視線を上に向けると
最新世代の中身を持つ

”12.3大型モニター”

が鎮座するセンターパート。


20系のLEXUS NXなどにも採用された
今一番新しいもの。

高精細、画質は良好♪

この後、80ハリアーに乗り
同じ12.3モニターを見て意気消沈した(苦笑)


画質もドイツ車にはまだ及ばないが飛躍的に向上していた。


自車を透過して車両の真下も確認できる機能を採用。


デフォルトはホワイトだが、好みで自車のカラーを変更できる。




GWS204ハイブリッド以来のフル液晶採用となったメーター。


大型モニターのお隣には
こちらのメーターセクション。


「フル液晶になった!」

は正確ではなく。

200系HYBRID以来の

というのが正解。

”フル液晶メーター”はクラウンにおいて
既に3世代前(!)が
採用していたが、

さすがに現代のメーターは
比較にならないほどの高精度&高精細(笑)


当時、クラウンではないが
同じくフル液晶の”LS600h”に乗っていたが

バン!!

とアクセルを踏むと
タコメーターの針が一拍遅れて
動くような記憶で、

その後「Ⅲ型」になって再び一般のもの
に改められていたが。


当然、今作ではそんな笑い話は
遠い昔と思えるほどの

”高精細&高解像度”

で先進的だった。

数々の表示方法や、表示内容の
全てを吟味するには

”少しの試乗時間”


全てをチェックするのは難しいくらいの
膨大な表示パターンだった。


先ほども記載したが、この品質でこれが
大型モニターと同じ

「スクリーン方式」

になっていれば
かなり先進的な印象になったのに・・・

と少し感じてしまったけど。



今後多くのモデルが採用すると思われるフル液晶メーター。


「ECOモード」はブルーグリーンの演出。


「SPORTモード」は車輪も燃え盛るレッド。




ちなみにルーフセクションでは


このグレードの場合は

「デジタルインナーミラー」

が採用されており、

”兼ドライブレコーダー”

は前後対応の仕様に。



そしてそのまた上に眼をやってみると
これもまた少しがっかりな一面・・・


カローラファミリーと共用されるフロントマップランプ。


カローラファミリー

と兼用されるこちらの
フロントマップランプ。

なにもこれが悪い

とは決して言うつもりはないのだけど
22系、それ以前のクラウン・・・

を思うと切なくなる景色だった。


せめて形状は共用しても

”加飾が異なっている”

などの工夫が見れれば少しは・・・
というところ

そのものズバリで流用してきたところに

「クラウンに対する想い」

のような所での
悲しみを感じるのは僕だけじゃないはず。


点灯時のフロントマップランプ、照射はLED光源。






最も重要な


そう、この車が姿・形を変えていても

”トヨタクラウン”

を名乗る以上
最も重要なのは


現行SUVモデルらの後席とは一線を画す規格だったクラウンのリヤシート。


後席の”居住品質”だと思う。

移動空間としてこの後席は
どのようなものか?


最初に乗り込んだ際、
まず

乗りやすい高さ

を前席以上に実感した!


これはひとつ、
”クロスオーバーの恩恵”

を垣間見た気分。

そして、

サイズ感が抜群な上に、

”根本的なお尻の座り”

が、とにかく上質に感じた。
これはもう一度乗って
再確認したいと思えている点。


座面は確実に長いと思う。

でも、それだけじゃない!
何かが決定的に違うと感じた
リヤの座り心地。

極めて良好なポイント

で間違いないと思う。


「Gアドバンスレザー」の後席ヘッドレスト。


ヘッドレストに見慣れない意匠。

頭を乗せると当然このヘッドレストは
見えなくなるのだが、

事前に記憶していた”あの形状”を
想像すると
極めて贅沢な気持ちになる♪

中央と両サイドの硬さにも
若干の変化があるように思えた。

残念なことに

”電動パワーシート&後席エアコン”

などのクラウンらしい装備。
これが選べるのは今回、トップエンドの
”RS Advanced”
のみらしく・・・。

これが残念。

リクライニングして座れば

相当に寝心地の良い空間

なのは確実だと思った。



USB-C規格を備えた後席レジスター。


ドアアームレストにはシングルステッチ採用。




足元&頭上共に”クロスオーバー”の利点を感じる後席スペース。


レッグスペースも”クラウン”と考えると
飛躍的に広くなった。

何よりも頭上空間に恩恵あり!

SUVほどではないにしろ、
この点はなにより

”クロスオーバーになって良くなった”

点だろうと思う。

ただ・・・
ここまで書いた後席の印象というのは

「全て乗車時」

によるもので・・・。


”目視”とか”ヴィジュアル”
の点で言い直してみよう。

この車は特段、高級車ではない。


率直に言って申し訳ない(汗)


指で触れるもの、眼に入るもの。

この内容であれば「カムリ」でも「ハリアー」
でも充分同等、
下手をするとそれ以上の空気は味わえる。


”セダンは諦めた”

上で

”高級車も諦めた”

というのなら話は別だ。

FFベースのAWDであっても、
HOT WHEELのような外観になっても

「トヨタのトップエンド」

だと位置づけているのであれば
これは違う。


世界各国のクルマヲタ


に向けては

「日本のクラウンって本来はこうじゃない!」

と、無作為にDMでも
送りたくなる衝動(汗)


「それはちょっと言い過ぎなんじゃない?」

と感じる人がいたら
ぜひ!

”カローラSPORT GZグレード”

も同時に覗いてみて欲しい。


2,521,000円のプライスを掲げるモデルと

「一体どの程度、何が違うのか?」

を後席から眺めてみて欲しい
と感じる。


「新しい新世代のクラウン」

という事で、
自らのフラッグシップに対しては

”意を決して!”

舵を切ったのだ・・・と
自分をなんとか納得させようとした
側面も実際の所あったのは確か。


ただ、通常多くの人はきっと
気にも留めないだろう・・・

と思える細部を見ていくに連れ
これはもう、造り手側としても
異なる基準値なのだ

と、思わざるを得ない要素が散見された。


「車格や敬意の方向転換」

も含めての

”新世代クラウン”

なんだとするならば
ハッキリとそう言ってくれたら良い。


その方がむしろスッキリと
割り切って接することが出来たのに・・・

だが、
そこを割り切ったとしても

6,400,000円の価値

を見極める必要はあり。

とても複雑で難しい問題だと感じた。



「セダン」あるいは「エステート」
期待感を繋ぐ要素

これが全く見受けられないことが
更に大きな不安なのかもしれない。


もしかすると一番大きな要因は
多用されたプラスチックや
強烈に変形した外観等ではなく、

”敬意”

なのかもしれない。




END



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