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【コラム】2020年 マイベスト40曲

2020年のベスト40曲を選んでみました。洋楽邦楽問わず、そして順不同です。以下、トピックごとにその背景や思いを書いていきたいと思います。


コロナ前なのに
コロナがやってくる前に作られたのに、まるでコロナを予見していたように感じさせる曲が印象に残りました。

”人間だった(羊文学)”が示す行きつく文明化と自然の恐ろしさ、”東京(GEZAN)”が表す社会との対峙とその混沌さ。ただしいずれも、空恐ろしい雰囲気の中にも未来に希望を抱かせるところが印象的、そして救いでした。

コロナの中で
直接的に、間接的に、音楽家にとってはどうしてもコロナの影響を受けざるを得ないそんな2020年。

"極彩 | IGL(S) (Roth Bart Baron)"のような救いと希望、"Make Me An Offer ~(Sufjun Stevens)"のような仄暗いカオス、”3.28 (cinema staff)”のように自分たちらしさに回帰して強く狼煙を上げる。
それぞれに大きな影響と独自の雰囲気、意志が感じられつつも、音楽性はバラエティに富んでいて、純粋に音楽を楽しませてくれる側面もあったなあと感じました。

内省へ
世界中でStay Homeにならざるを得ない状況の中、メディアでは内省的な曲が多く取り上げられました。個人的に振り返っても、そのような曲を求めて聞くようになり、ふり返っても多く印象に残っています。

"On My Way Home (Kan Sano)"、"Distant Axis (Matt Berninger)"、"everyting i wanted (ビリー・アイリッシュ)"など、聴いていて落ち着く、でも、そのどこかに「今こういう曲を聴いているけれど、自分は疲れているのかな?」、「歌詞を見ると2人がすれ違っているようだけど、どうしてだろう?」など、気に留まった曲は思考の余白を残していくようでした。

また、"anything (Adrianne Lenker)"や"Vanishing Twin (Black Mills) "など、最近日本でもピックアップされつつあるインディーフォークは、特に心地よく感じました。森の中を彷徨っているような、どこかの原風景に浸っているような感覚。ポジティブにもネガティブにも頻繁に取り沙汰されたデジタル化や都市化に対をなす形で、自然と相容れた曲は多くの人たちの心を癒しているのでしょうか。

武器としてのギター、ロックの攻撃性
EDMの終焉が叫ばれる中、「ロックはいつ盛り返すのか?」の議論がここ数年続いている気がします。その中で2020年を迎え、ライブやコンサートはその多くがパソコンやテレビの画面越しになり、五感+αで音楽を体感する場が極端に少なくなって、ロックはどうなることかと思っていました。

結果的にギターやロックの必要性は、有りも無しもそれらの折衷も因数分解も行われるように感じましたが、その中でも個人的には攻撃性のある曲にやられました。
"THE CHAIR (w.o.d.)"、"狂おしい (polly)"、”ガラクタの楽団 (ストレイテナー)”など、やっぱりギターはかっこいいし、ロックは吹っ飛ばしてくれる。
初めて聴いた瞬間の洗礼を受けるあの感じは、生では体感しにくいご時世でも、ロックが持つカタルシスの重大な任務だと思います。

日本のメロディ
世界中の音楽を聴いていても、演歌的・歌謡曲的・J-POP的にもとれる日本のメロディは、頻繁に帰ってくる大切な場所なのだと再認識した年となりました。
音楽でも、音楽では関係ないところでも、ご時世的に「世界に対して日本って何だろう」と考える機会が多かったからかもしれません。

"光の中に (踊ってばかりの国)"の日本人なら間違いなく琴線に触れるであろう雄大で切ないメロディ、"ヘルシンキの夢 (クレナズム)"のシューゲイザーの中で一層煌めくキャッチ―なメロディ、"三文小説 (king gnu)"の儚げで圧倒的に強いメロディ。
サブスクリプションサービスでひと昔の日本の曲が注目されるように、日本的なメロディが響く曲が今後も世界に広まっていければなと思います。

最後に
予想以上に長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます。

聴く音楽ジャンル的にはまだまだ偏りがあり、特にボカロ系統、ラップ系統は全く通っておらず…すでに盛り上がりを見せているこれらも今年着目できればと思っています。
また、どのくらいの時期にコロナが落ち着くかわかりませんが、現在のデジタル感や内省・静けさの流れの逆をいく、人間らしくて生々しい活気のある音楽が今年は復刻するような気がします。
どんな音楽が流行るにせよ、今年も心に響く音楽に多く出会えたらと思っています。

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