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9 ときめきが私にくれた贈り物

彼と出会った日から私の毎日が変わった。

灰色でモノクロの日常が、突然輝き出した。

色とりどりでキラキラして、生きている喜びにふるえた。

彼と出会えて、こんな気持ちになれた事に感動した。

ミュージカル映画の、

会話の途中で気持ちが高まって、急に歌い出して踊り出す、あの感じが少し苦手だったけど、

今なら少し好きになれる気がする。

いや、出来そうな気もする…


突然の感情に自分で上手くコントロール出来ない。

過去の出来事全てと、過去の全ての出会いが、この彼に会う為のプロセスだった。と思えた。

過去の一つ一つの絡まりや、悲しい出来事も辛い経験も、人との出会いや、行いがこの出会いに繋いでくれた。

彼のどこが好きなのかは、説明出来ない。

好きな所はいくらでも言える。見つけられる。

でも、無条件にただただ、存在するだけで幸せで、全部好きだと思える。

彼の何もかも全てに惹かれる。

彼が生きて存在して、私を知ってくれている。

私を認識してくれている。

きっと私はこんな風に人を好きになりたいと望んでいたのかもしれない。

この世の全てが愛おしく思えた。

友達や仕事先の人にも、会う度に必ず、口々にきれいになった!と褒めてもらえて、初めて会う人からは、勘違いで無ければ何度も見られている様な気がした。


いつもなら反応しない、そこらじゅうに流れている、音楽にも感動して泣けてしまう。心に染み入る。

心がいつも細かい振動であたたかく揺れていた。

私は彼に、きれいだと思われたい一心だった。

彼はいつもきれいだと褒めてくれるから、せめて彼の中で、きれいだと思える人のナンバー1になってほしいから努力した。

努力が楽しかった。

人に優しくなれた。おおらかな気持ちになれた。

いつもなら気だるく始まる朝の目覚めも始まりも

毎朝が始まる事が楽しみで喜びに変わった。

メガネが多かったけれどコンタクトに変えた。

メイクも変えた。

食べるもの、肌のケア、服装、足の先から髪の先まで、

どこから見られても、何をしていても彼に美しく映る様に努力した。

そして、心からどういう女性でありたいか。という事を真剣に考えた。

心の中にいつも、とんでもないときめきとドキドキと愛しい気持ちがあって、きっとそれは雰囲気として全身から溢れ出ていたのでは無いかと思う。

喜びに溢れる反面、こんなときめきがあると、いつか失う時の事を考えると少し怖いと思う気持ちもどこかにあった。

だけど、

それは打ち消して、こう思う事にした。

これは頑張ってきたご褒美。

今までよく頑張ってきた。

何度も見た映画、猟奇的な彼女の言葉

”運命は努力をした人だけに偶然という橋を架けてくれる”

彼との出会いは私への最高の贈り物。

だから、私の思いつく限り、出来る限りの全力できれいになりたい。

自分をあまり好きでは無かった。

でも彼を通して

自分と、自分の人生を愛せると思えた。













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