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いち病院薬剤師が『アンサング・シンデレラ』第4話を見た感想

『アンサング・シンデレラ 第4話』
※今回の思い切った発言で誰かに迷惑をかけたら申し訳ないことです。あくまでも個人の偏った感想です。

えー、ワタクシ、今までで一番、筆が進みません。

分かったことはただ一つ、おじいちゃんの胃がんはHER(-)だったので、トラスツズマブは効かないタイプだということ。

……えっ?……そこじゃないですよね?ハイ。

なんで筆が進まないか?
ハイ。分かりました。
医師に対して遠慮、自分は身分が下であるという自覚があるからです。

筆を進めるには?
全部取っ払って自分の思うままのことを書くしか方法が見つからない。やってみます。

まずは、自分の家が代々続く医者一家とかでないので、そういうプレッシャーは感じずに生きて来られました。
もしかしたら、「ハク」さんと同じような、親が医師で、自分も目指したが叶わなかったという人は世の中にたくさんいるかもしれません。

実際、自分が医学部を目指すとしたら、と仮定した時に、自分には相当難しいことでした。もっと頭脳があるか、お金があるか、でないと無理でした。加えて、医師という職業は自分には物理的にも感情的にも無理だとは思いました。

一回りも二回りも歳が下の医師にも、相手が医師なら、下に潜り込んで「先生〜、お忙しいところをすみません〜」と謙り(へりくだり)まくって二重、三重敬語のおかしげな日本語を駆使しまくります。

患者中心のチーム医療と叫ばれながらも、実質的には医師に多くの権限があるので、医師が昔ながらのピラミッドの頂点であることに変わりはないと正直思っています。

ドラマの中で言われていた「薬剤師は医師の奴隷だ」という言葉は、今まで一度も聞いたことはないし思ったこともありません。

薬剤師法第24条で疑義照会を認められている治外法権のような独立した立場であるとは思っていました。

前回の感想でたまたま「医師の持参薬はグチャグチャだ」と言ったように、医師は知識があるので自分に対して過信があるように見受けます。(あーあ、言っちゃった)

ハクさんのお父さんのように、正直、えらそうな、態度のデカい医師、いますゎ。医師というだけで、1.5倍から2倍カッコよく見えるらしく、そりゃあ、モテますゎ。

遠慮がちに疑義照会しているけれど、理不尽に通されること、ありますゎ。ギリギリセーフの内容なら、処方せんに「確認済み」必ず書きます。こっちは聞いたよ、と。

そんな、医師には敵わないと思う気持ち、医師に「何だ、医師の真似事か」とイケずなことを言われた時のモヤモヤした気持ちに対する返しの言葉を、葵さんは見事に言ってのけてくれました。

これまで、手柄は医師、医師以外も含め、誰かのミスは、「薬剤師さんは何しとったのー?」と言われて矛先が向けられる損な役回りに泣き寝入りしてきた私たち薬剤師へのエールを葵さんは送ってくれました。

「医者になれなかった時薬剤師を目指したのは違う形でも患者さんのために何かできることをしたいって考えたからじゃないの?」

「確かに薬は医師にしか処方できません。薬剤師はそれを調剤するだけです。ですがそこでダブルチェックをすることで(この言い回しが正しいかはわからないけど…私見です)本当に安全で安心なお薬が患者さんに届けられているんじゃないですか。医者だからといって一人で勝手に判断なさらないでください。」

「ここにいる人たちは薬のプロだ。薬については誰よりも詳しく知ってる!」

そこまでできているかは別にして、薬剤師へのエールだと感動して、たくさんのセリフを引用させてもらいました。問題は、周りの薬剤師以外の人がそう思ってくれるかどうかですけどね。

それと、時々(笑)、本当に普通にいい人柄の医師はいます。ガラパゴスか新種かは知りませんが、見かけると珍しくて感動します。「医師なのにめちゃくちゃいい人だ!」と。

………☆………☆………☆………

ここからは余談です。

薬手帳アピール、してきよったな。
しれっと。

それはおいといて、
別の意味で考えさせられる内容もありました。

祖父母、親、子供(孫)の関係の難しさです。とかく、祖父母と孫はうまくいく。祖父母と親(祖父母の子)、親と子、これがなかなかうまくいかない。そして、親が一番権限を持っている。親が体力、経験その他総合的に。その分、負担がかかっているのは親なんだけど、親が全体をこじらせていることってあるんだな、と思いました。
まさに今の自分は中華屋さんの店主の立場であり、胸を締め付けられるような思いで見てしまいました。

また、ハクさんのお父さんがハクさんが医師になれなかったことに対して罵詈雑言を浴びせるところ、親として心をえぐられました。医師であることどうこうは私には関係ないのですが、自分の価値観と大いに異なる道に足を踏み入れかけた娘に、自分の価値観を押し付けて、迷走させてしまいました。

そんな親世代として見た時に、別の意味で心がキュンと痛む場面がありました。

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