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育児とあいつ

あいつは気持ち悪いヲ取りに来た
恐ろしい勢いで気持ち悪いを私に与える
そして狂おしいほど私を愛している
そんな自分に酔いしれている漢の話


山奥の谷だか崖だかわからんようなところで子供のころはよう遊んだ
あいつと出会ったのはそのころから
まさかあんなバケもんみたいな奴に自分が惚れられてしまうとは思わんかった。そう言うとこのバケもんはじっとこっちをにらみつけて次の日には私の大事に為ているちりめんのお遣袋にわざわざに粗相を残し去る
ああやられた またあいつのしわざだ
あいつは あたしに嫌がらせをするのが大好きで
それは はっきり言って迷惑なことであり
こちらとしてはいささかもふささかもなくとても、気味が悪いまた
世界一嫌いと言えばことさら喜んであたしの記憶に色濃く残ったことを
これ幸いと手応えに感じている。

だからあたしはもう なにも感じないように無反応を決め込むだんだんそれがポーズではなく私の記憶から彼が遠ざかってゆく
これは我ながら得策であった
と言うかそのバケもんは所詮私のこの足元から私の前身にかけ私の本当の質量など全く知らないのだから。



たったそれだけのことだ別段かくいうこともない


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