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【解説】第17話 女性博士のリアルな現状にゃ!

まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載

ここから後半戦がはじまります。前半はアカデミアに関するさまざまな仕組みの紹介でしたが、後半では女性研究者を取り巻く問題を具体例を挙げて紹介していきます。プロローグでも述べましたが、人によって状況が異なるため一般論で語るのが非常に難しい職種です。そこをどのように表現するかさんざん迷った結果、博士を持つ女性研究者のいろいろなパターンを挙げることにしました。それが10匹の博士にゃんこさん達です。
 
1匹のキャラクターの中に私がこれまで見てきた例を凝縮させています。このトピックは自己紹介といった立ち位置になります。そして、後半戦において、彼女たちは辞めたり、転職したり、出産したり、昇進したり、とそれぞれのキャリアを歩みます。そこはリアルを追求しつつもどのキャラクターも前に進んでいくストーリーにしました。最後の第28話では皆なそれぞれの道をしっかり歩んでいます。10匹のにゃんこさん達がまわりから言われているセリフは実際に聞いたことがあるものばかりです。本当に良く聞くのが「男性は家族を養わないといけないから・・」というもの。だからポジションが空けば優先的に採用するし、採用される男性側もそれが当たり前だと思っている。同様のストラテジーで、夫婦共にしっかりとしたポジションを持って収入があると「贅沢だ」というやっかみにあうという話も良く聞きます。
 
このトピックの全てのセリフに解説を付けたいぐらいですが、ここではBにゃんの例を取り上げましょう。Bにゃんは女性教員数を増やすための女性限定職についています。それに反対する男性の声も聞きますが、本当にその待遇で採用されたいと思いますか?と問いたくなります。私が聞いた中で一番収入の低い女性限定職は月収15万円です。さらに気になったのは、その話をしていた男性研究者が「あれは無いわ~」と他人事だったことです。自分はそういうポジションに誘われないと思っていることは明らかでした。しっかりした女性限定職には不満の声を上げるが、微妙な女性限定職には自分は関係ないというスタンスになるのは解せません。
 
ちなみにBにゃんは第28話ではその任期が終わってしまい研究員に戻っています。そして、若手のEにゃんが同じポジションに採用されます。この女性優先雇用はまだまだ一過的なものなので今後どのように定着していくのか、本当に定着するのか?気になるところです。


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