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【猪口由美の明日につなぐ食 vol.2】 穴子 〜島根で出会った“こんなに美味しかったんだ!”


既成概念を超えた美味しさ。肉厚穴子の一夜干し

SNSで情報があふれる昨今、“バズる”ことが大量に売れる早道なのは間違いないですが、その多くは一過性であることが多いです。

わたしは長く通販のバイヤーをやってきましたが、売るものが食品である以上、長く売り上げをキープし続けるには「美味しい」ということが大前提にあると思います。加えて「意外性」というのも、お客さまの関心を引く要素のひとつであると思います。

たとえば、穴子。

穴子と聞くと多くの方が“煮穴子”を想像されると思うのですが、わたしが力を入れて育てたのは穴子の“一夜干し”。
実は穴子の一夜干しって、とっても美味しいのです。ただし、生産者は選ばなければいけません。

国内でも屈指の水揚げ量を誇る島根県。なかでも大田市は、早朝に出漁し、日中漁をして夕方帰港する「一日漁」を行なっていて、鮮度の良さは抜群です。

大田市に鮮魚店と加工場を構える「岡富商店」は、一日漁で水揚げされた魚を仕入れ、それぞれの魚種に適した方法で加工を行なっているのですが、社長の岡田昌一郎さんがとりわけ力を入れているのが、穴子です。

国内でも1、2位を争う水揚げ量を誇る島根県のブランド魚として育てたいという思いがあり、弟の和樹さんと共に、より上質な商品づくりをしています。港から数分のところにある鮮魚店には、地元のお客さんが途切れることなく来店されていて、会話を楽しみながら今夜の魚を買い求めていました。

子供の頃から魚を食べてきた目の肥えたお客さんからの信頼こそ、岡田さんの目利きと技術の賜物なんだと思います。

(左から)「岡富商店」岡田和樹さん、昌一郎さん(現社長)、明久さん(先代)

鮮度抜群だからこそ、一夜干しに

取材して驚いたのは、この加工場で働く職人が全員女性だったこと。

この港町では昔から、男性が漁に出かけ、獲ってきた魚を女性が加工するのが当たり前で、今もその名残りがあるのだとか。実は、先代の岡田明久さんが穴子を加工すると言い始めたとき、職人たちは誰も穴子を捌いたことがありませんでした。

しかし、岡田さんの思いに応えられるような一夜干しを作りたいと、なんとYouTubeで基本的な捌き方を学び実践。
穴子は処理の途中で匂いをうまく処理できるかどうかがとても重要で、最初はうまくできなかったものの、長く魚を捌いてきた経験や向上心から、みるみる上達。今では見事な包丁捌きで穴子を素早く、かつ、女性ならではの視点で美しく処理しています。

「岡富商店」の穴子の一夜干しのなかでもイチオシは特大サイズ。他ではめったに見かけないほど大きく肉厚な一夜干しは、脂のノリといい歯ごたえといい旨みといい、とにかく素晴らしい。

分厚い穴子を加熱していくとどんどん身が縮み、くるんと丸まっていきます。
脂がチリチリと音を立てるほどしっかりと火を通した穴子は、噛めばむちっとした食感で、ぎゅっと詰まった身から旨みがあふれ出します。尾の最後の方の小骨が気になる方は、そこを外してお召し上がりください。

「穴子って、こんなに美味しかったんだ」

と思っていただける一夜干しです。

加工場の女性職人の皆さん



ギフトアンバサダー。 食のバイヤー兼ライターとして47都道府県すべてに足を運び2,300名以上の生産者を取材。25年以上の経験を積み、試食件数は20,000以上。 上質な商品企画開発には定評がある。セミナー・講演多数。 ギフト研究所特別顧問


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