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酸いも甘いもチカーノ・ソウルの極私的プレイリスト

2年ほど前に出版された「チカーノ・ソウル~アメリカ文化に秘められたもうひとつの音楽史」(サウザンブックス社刊)は、自分たちの音楽を生み育ててきた人々の物語を教えてくれた労作です。

同時に、アメリカで暮らしそこに溶け込もうとしながら、アイデンティティと社会との間でプレゼンスを確立させようと苦闘する人々の歴史も考えさせてくれました。

近年さまざまな人たちの活躍もあり、単なるリヴァイヴァルではなく盛り上がっているチカーノ・ソウルの、ほんの一端をご紹介します。

Thee Sacred Souls  ”Can I call you ROSE?”

この曲、甘いにもほどがある。
「キミ(という薔薇)をぼくの心に植えたい」だって!
サンディエゴを拠点にするバンドだけに、このMVではバリオ・ローガン界隈の風景や文化を覗かせてくれます。


Adrian Carmine  ”Listen To My Heart Speak”

こちらも新世代チカーノ・ソウル・シンガーの注目株。
MVでは地元のガキ大将みたいな雰囲気なCarmineさんですが、さすがの歌声。
爽やかな中にも切なさがジワジワくる良い曲。


Los Retros  ”Moon Ride”

さらに若い世代も、素晴らしくドリーミーな曲を聴かせてくれます。
チカーノ・ソウルの下地に良質なポップ感覚が、懐かしくも新しい。
シンセの音色とともに、甘〜い甘い世界へ連れて行かれます。


The Altons  ”In The Meantime”

なんでも取り込んで発展してきたチカーノ・ソウル。
中でもこのバンド、クロスオーヴァーというより貪欲なゴッタ煮感が魅力です。
ロックステディなこの曲、カッコイイ。


Bobby Oroza  ”My Place, My Time”

ヘルシンキ生まれながらチカーノのルーツも持つOrozaさん。
ちょっと影のある歌声も素敵です。
自らの人生を選び取ろうと決意するリリックの上に切なく響くギターがたまらん…


Sunny & The Sunliners  “Should I Take You Home”

そのOrozaさんもカヴァーした、テキサスのブラウン・アイド大将の美しいラヴ・ソング。
「キミを家まで送ろうか、でもまだ一緒にいたいぜ」
そんな月夜の思い出がよみがえりますね旦那!


このテキストは、下記の書籍に強く触発されました。
素晴らしいお仕事、ありがとうございます。

「チカーノ・ソウル~アメリカ文化に秘められたもうひとつの音楽史」
著:ルーベン・モリーナ
訳:宮田 信
出版社:(株)サウザンブックス社

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