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【詩の翻訳】黄金の球/ベリース・フォン・ミュンヒハウゼン

黄金の球

父が愛ゆえに私に何を与えたとしても、
私は父に報いることができなかった。というのも私は
子どものころまだ贈り物の価値を知らず
男になってからは男らしく厳しくなったからだ。

誰よりも熱烈に愛され、父の心を注がれた
息子は今や私へと成長し、
そして私はかつて与えられたものに報いているのだ、
私にそれを与えなかった人に——まだ返している。

というのも彼が男になり、男たちのように考えるとき、
彼は私のように自分の道を行くようになるからだ、
私はあこがれるだろう、しかし嫉妬はせずに眺めるだろう、
彼が、私に与えられるべきものを、孫に贈るのを。

時の広間の中で私の視線は遠く
生の戯れを眺めている、泰然と朗らかに、
黄金の球を誰もが笑いながら遠くへ投げる、
——そして黄金の球を投げ返すものはいない!

Börries von Münchhausen: „Der goldene Ball“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.42.

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